私と運命の番との物語

星屑

文字の大きさ
31 / 36
3章 転生者

第29話 もう、嫌というほどわかったわ…

しおりを挟む




2週間ほどして……。


3人は王太子であるリックの執務室に呼び出されていた。



「ルードは昨日会ったばかりだけど、サフィーは久しぶりだね。メラルダ公爵令嬢は、実質はじめましてだよね。
シンフォル国王太子、エリック・ルイ・アンダーソンだよ。パーティーで見かけることはあったけど、挨拶は初めてだよね。これからよろしくね」

「はい。エスティアナ・ティナ・メラルダですわ。どうぞよろしくお願いいたします」

「うん、よろしくね。
堅苦しいのはここまでにして、僕のことはリックと呼んでね。
2人の友人なら僕とも友人になって欲しい。

規格外の2人だからね…。
常識を持った人が側にいてくれれば、精神的な安定を持てるかもしれないし、色々協力してもらえるかもしれないし」

「ふふ、大変そうですわね」

「あはは…。今回が初めてだけど、どこからその情報を得たの?って聞いたら精霊たちからだって言うし。調査する規模も、芋づる式にドンドン出てくるから広がっていって大変なんだよ。
友人っていうことで頼ってくれたのはとても嬉しいんだけど、正直毎日大変だよ。でも、これで膿を出せると思ったら気合が入るよね」

「申し訳ありませんわ。私の家の問題ですのに……」

「そこは気にしなくていいよ。メラルダ嬢の叔父に関しては、家の問題として解決する範囲を超えてしまっているからね。
それに、裏にいた黒幕も徐々にだけどわかってきたし、証拠も集まってきた。この調子で行けば黒幕の貴族も捕まえることができるよ」

「もうそこまで辿り着いたのか?予想より早いな」

「ふふっ。ルードの手伝いで精霊たちの協力が得られるからね。通常だったらもっと時間が掛かっていたと思うけど、精霊たちのおかげで情報はドンドン集まってくるからね。助かっているよ」

「ふふ。役に立ったなら良かった。
今回は結構無理を言ったと自覚しているから、協力は惜しまない気でいたんだ。
なるべく早めにフィアの不安を取り除きたいと思っている」

「やっぱりルードの基準はサフィーなんだね。
この件をなるべく早く解決しろって言うから、なんでそんなに急いでいるのか不思議だったけど、今分かったよ。
サフィーの友人のことでサフィーが不安になって、そのことばかり考えているのが不満だったんだろう?
クスクス。相変わらずの独占欲だな。常に自分のことを考えて欲しいなんて」

「まぁ……」



ルドがそんなことを考えているとは思っていなかった為、驚きが強い。

それでもリックが先程言っていた言葉がジワジワと染み込んできて、その言葉の意味をしっかり理解した時、歓喜とも愛しさとも判別がつかない感情が、身体中を駆け巡っていった。

それにより顔が徐々に赤くなっていく。



「クスクス。今照れるの?サフィー」

「かわいいなぁ」

「………」

「ルード、さらに照れてるからその辺にしてあげて。首まで真っ赤になってるから」

「ふふ。リック様、その発言も追い打ちをかけていますわよ。これ以上は可哀想ですわ」



恥ずかしいことを言わないで欲しい。

リックはフォローしようとしているのだろうが、首まで真っ赤になっているのはわざわざ言わなくていいと思う。

余計恥ずかしい。



「……っと、話が脱線してしまったけど、戻すよ?
まず、メラルダ嬢の叔父は明日捕縛する。尋問をして協力した人物や誰かに命令されたのかなどを聞いていこうと思う。それで黒幕が出てくればいいけど、出て来なかったらまた更に証拠を集めて行くしかないかな」

「分かった。この事件は魔法騎士団所属、特別部隊も対応させてもらう。他の部隊じゃこの先の対応が大変になることもあるかもしれないからね」

「分かった。そうしようか。
この話はここにいる者と特別部隊に所属している者だけの話で留めておこう。これ以上この件を知っている者が増えると、どこかから黒幕に話が漏れる可能性が高いからね」

「そうね」

「分かりましたわ」



話が一通りまとまり、その後はエスティの叔父を捕縛してから決めることになった。




***




……翌日の正午。

昨日に引き続き、リックの執務室に集まった。

集まったメンバーは特別部隊の隊員の、ルド、シャル、アレックス、エドワードとリック、エスティ、私である。



「昨日に引き続き呼び出してごめんね。
今日メラルダ嬢の叔父を捕縛して、尋問した結果、黒幕にシルド公爵がいることが分かった。ただ、もっと証拠を固めて裁判にかける必要があるから、もう少し時間がかかりそうなんだ。メラルダ嬢の叔父の処罰は、死ぬまでの強制労働で決まりそうだよ」

「……はい」

「ターヴェント嬢の両親の件は、シルド公爵を捕縛して尋問すれば、犯人がシルド公爵だと裏付けできると思う。
ルード、その時は協力してくれるかな?精霊の力を借りて、嘘がつけないようにして欲しいんだ」

「ああ、協力する。ウチの隊員が関係していることだしな」

「ありがとう」



シャルの両親の件も犯人が特定できたようでよかった。



「サフィーの言った通りになったわね」

「そうね。エスティとシャルの両親の死が犯人が同じだったなんて……」

「サフィー様、ありがとうございました。貴女様のお陰で、両親の無念を晴らせます」

「私だけではないわ。みんなの頑張りのおかげでしょう?」



涙ぐんでいるシャルへと、貴女の頑張りでもあるのだと伝える。

実際、今回の件を調べるにあたって、シャルは仕事の時間が終わっても必死に調べていたそうだ。

あまりにも無理をするので、つがいであるアレックスが強制的に家へ連れ帰り、無理矢理寝かせた。

2人は今は婚約して一緒の場所に住んでいるようで、私達の結婚式と蜜月が終わった後に結婚式をすると話していた。

お祝い事が続くのは良いことだと思う。



「あ!」

「どうしたの?エスティ」

「どうしましょう、すっかり忘れてたわ」

「何を忘れていたの?」

「サフィー、貴女も忘れているでしょう?ヒロインの出会いイベント」

「あ……!」

「「「イベント?」」」



ルドには前世の話をしていたが、今ここにいる他のメンバーには何も話していない。

今後も何かと協力して貰うだろうし、迷惑もかけるかもしれない。

ここで話しておくのが正解かもしれない。



「フィア、話すの?」

「うん、今後協力して貰うこともあるだろうし、協力者がいるのは心強いと思うの」

「そうね。私も一緒に説明するわ」

「うん、そうだね。ここでみんなを巻き込んでしまおうか」



エスティも一緒に説明してくれると言うし、ルドも肯定してくれた。

それに安心感を抱きながら、覚悟を決める。



「話は長くなるのだけど、実は……」



一通り前世の話をし、これまでのことを全て話した。

みんなの反応はというと、何故か妙に納得した顔をしている。



「……その反応は予想していなかったわ」

「サフィーは出会った時から妙に大人びていたからね。前世の記憶があることは納得したよ。ただ、乙女ゲームもいうものはどうしようか、という話になるけど…うん。まぁ、地道に一つずつ変えていくしかないかな。
強制力?というもの今は特に感じていないのだろう?なら、この世界は類似した世界ということでいいのではないかな?私達は”生きて”いるからね」



リックのその言葉なにハッとさせられる。

イベントは乙女ゲームのように起こるかもしれない。

だが、強制力が働いていないこの世界ならば、いくらでも結果を変えることができる。



「サフィー、みんなが協力してくれるなら、乙女ゲームのような結末にはならないわよ。
少しは安心しても良いのかもしれないわね。
もちろん、油断はできないけれど……」

「そうね。ヒロインはどうにかしなければならないけれど、少しは安心できるかもしれないわ。
でもやっぱり、それが1番不安なの。
……ルドを取られたらどうしようって思ってしまうのよ。なにせ、相手はヒロインだもの……」

「フィア、俺を信じて?
俺のつがいはフィアだけだし、俺が愛しているのもフィアだけだよ」

「わかっているわ。わかっているけど……」

「それでも不安なんだね?」

「うん……」



はぁー、とルドが大きな溜め息を吐いた為、嫌われてしまったのかと、呆れてしまったのかと思い、ビクッと震えてしまった。



「ふぅーん。じゃあ、分からせるしかないか」

「ふぇ?」



そう言ってルドは私を横抱きにして、みんなに話しかける。



「今日はここまで。この後何かあったら連絡して。俺達は屋敷に帰るから。フィア、覚悟しててね?」



色気全開の笑みでルドが私に言い、首まで真っ赤になった。




……この後ひたすらキス攻めされて、嫌でもルドが私しか眼中にないのだと理解させられた。

焦らされた時間は拷問だったし、ひたすら甘い言葉を囁かれ、脳内を甘く蕩けさせられた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】地下牢同棲は、溺愛のはじまりでした〜ざまぁ後の優雅な幽閉ライフのつもりが、裏切り者が押しかけてきた〜

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
悪役令嬢の役割を終えて、優雅な幽閉ライフの始まりだ!! と思ったら、なぜか隣の牢との間の壁が崩壊した。 その先にいたのは、悪役令嬢時代に私を裏切った男──ナザトだった。 一緒に脱獄しようと誘われるけど、やっと手に入れた投獄スローライフを手放す気はない。 断れば、ナザトは「一緒に逃げようかと思ったけど、それが嫌なら同棲だな」と言い、問答無用で幽閉先の地下牢で同棲が開始されたのだった。 全4話です。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

モブ令嬢、当て馬の恋を応援する

みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。

心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。

三月べに
恋愛
古川七羽(こがわななは)は、自分のあか抜けない子どもっぽいところがコンプレックスだった。 新たに人の心を読める能力が開花してしまったが、それなりに上手く生きていたつもり。 ひょんなことから出会った竜ヶ崎数斗(りゅうがざきかずと)は、紳士的で優しいのだが、心の中で一目惚れしたと言っていて、七羽にグイグイとくる! 実は御曹司でもあるハイスペックイケメンの彼に押し負ける形で、彼の親友である田中新一(たなかしんいち)と戸田真樹(とだまき)と楽しく過ごしていく。 新一と真樹は、七羽を天使と称して、妹分として可愛がってくれて、数斗も大切にしてくれる。 しかし、起きる修羅場に、数斗の心の声はなかなか物騒。 ややヤンデレな心の声!? それでも――――。 七羽だけに向けられるのは、いつも優しい声だった。 『俺、失恋で、死んじゃうな……』 自分とは釣り合わないとわかりきっていても、キッパリと拒めない。二の足を踏む、じれじれな恋愛模様。 傷だらけの天使だなんて呼ばれちゃう心が読める能力を密かに持つ七羽は、ややヤンデレ気味に溺愛してくる数斗の優しい愛に癒される? 【心が読める私に一目惚れした彼の溺愛はややヤンデレ気味です。】『なろうにも掲載』

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

乙女ゲームに転生したので、推しの悲恋EDを回避します〜愛され令嬢は逆ハーはお断りです!

神城葵
恋愛
気づいたら、やり込んだ乙女ゲームのサブキャラに転生していました。 体調不良を治そうとしてくれた神様の手違いだそうです。迷惑です。 でも、スチル一枚のサブキャラのまま終わりたくないので、最萌えだった神竜王を攻略させていただきます。 ※ヒロインは親友に溺愛されます。GLではないですが、お嫌いな方はご注意下さい。 ※完結しました。ありがとうございました! ※改題しましたが、改稿はしていません。誤字は気づいたら直します。 表紙イラストはのの様に依頼しました。

処理中です...