香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く 

液体猫(299)

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一族の謎

二匹の受難

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 【やきとり】は玄塵シュェンチェンに向かって、あることを質問する。

『……あんた、海羅ハイルゥォって人と似た香りがするわね。でも、根元がまるで違うわ』

 似ているようで似ていない。ゴマのようなかわいらしい瞳で玄塵シュェンチェンを凝望した。ジュリリと鳴きながら、キッと両目を強く細める。瞬間、二匹のシマエナガの身体は、あっという間に大きくなった。

「え!? 【やきとり】と【もち】が大きくなった!? そんなこともできるの!?」

 どうやら香 麗然コウ レイランですら知らないことのよう。
 シマエナガたちはニッと笑い、したり顔だ。そしてすぐに眼前にいる玄塵シュェンチェンへと視線を戻す。

『これ以上、おいたをするのなら……あたしらは、あんたを食うわよ?』

「……っ!?」

 そう言うのが早いか。それとも食べられてしまうことが先か。
 玄塵シュェンチェンは悲鳴をあげる暇もなく、【やきとり】に食されてしまった。【やきとり】は玄塵シュェンチェンを噛むことすらせずに、容赦なく飲みこむ。



 それを目の当たりにした香 麗然コウ レイランたちは、ぽかーんとするしかなかった。

 (……え? な、何してんのよ!? この鳥たちは。これは本気で、串焼きにするべきかしら!?)

 いくら相手が得体の知れない者だからといって、食べていいということにはならない。
 香 麗然コウ レイランは深呼吸しながら、人間を食べた二匹の鳥を睨んだ。その額には血管が浮かんでいて、今にも沸騰ふっとうしそうなほどだ。

 そんな彼女をそばで見ていた曹朱ツァオジュたちは彼女から距離を取る。玄偽シエンイ金明ジンミンは彼の後ろに隠れ、ガタガタと体を振るわせた。曹朱ツァオジュは声をかけることが怖いようで、真っ青になっている。

「……ごめんね皆、ちょっーと、待っててくれるかしら?」

「あ、はい。どうぞ!」

 曹朱ツァオジュ金明ジンミンが同時に拱手した。
 それを確認した香 麗然コウ レイランは笑顔のままがに股で、ズカズカと、二匹のシマエナガへと近よっていく。

「【やきとり】、【もち】」

 いつになく、いい笑顔になった。

 呼ばれた二匹は楽しそうに振り向く……前に、もふっとした羽毛を両手でつかむ。そして最高の笑顔を二匹に向けた。

「串焼き、ご所望かしら?」

『じゅ、ジュリリ!?』

「あー、答えなくていいわ。金明ジンミン玄偽シエンイ! 今から焚き火用意してくれない? 今日のご飯は串焼きよー」

『わー! 待って待ってー! 理由を話すから! だからやめてちょうだいー!』 

 【やきとり】は本気で恐怖しているよう。
 巨大な鳥の鳴き声が山中に響いた。
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