あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

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フラーが下がった後、アリアナは何の気なしにベスに尋ねた。

「彼女、顔が赤かったけれど熱っぽかったのかしら」

ベスは一瞬アリアナを見つめた後、微笑んだ。

「お嬢様が美しいからでしょう。同性でも整った容姿の方に声をかけられれば緊張するものです。憧れておられるのかもしれませんね」
「からかってる？」
「本心ですよ。」

ふふふと笑いながらベスは答えた。そして次の瞬間、真顔に戻ると分けられた書類の山を半眼で眺める。

「これ、いまから確認するんですよね。今日だけで足りるでしょうか」
「どう見ても無理よね。さてとまずは我が家の支出から見ますか」
「あら、そうなのですか。てっきり規模の大きい領地部分からご確認されるのかと」
「普通はね。でも多分そっちはあまり見直せないのよね」
「どういうことですか」

不思議そうに首を傾げたベスにアリアナは答えた。

「領地経営は半分崩壊してるんじゃないかしら。つまり、クレメント様がご興味を持たれてない以上無駄なお金どころか必要な経費すら支出していない可能性があるわ。だから領地経営の書類を見たところで浮かび上がって来るのは経費の投入が必要な箇所だけだと思うのよね。」
「それは大事なことではありませんか」
「もちろん大事よ。でも、無駄な支出があると思われる家の支出で、切り詰められる金額確認してからでないと、実際いくら使えるか分からないでしょう。」
「では収入も合わせてご確認されますか。」
「それがね。収入はさっき書類分ける段階であらかた確認したのよね」
「え？でも、どの書類もそんなにじっくりは眺めておられませんでしたよね。」
「ふふ。まあね。だから一瞬で覚えられる程度のものだったのよ」

眉尻を下げながら困ったように言うと、ベスも溜め息をついていた。

「念の為、収入をお聞きしてもよろしいですか」
「ええ、もちろんよ。まず領地からの収入が1000エラン。それとケイビス様が公爵家に入れてくださっている分が200エランね。これはケイビス様のお給金から仕送りをしてもらってようね。以上よ」
「え、それだけですか？」
「ええ、これだけ」
「1200エランの収入といえば、男爵家程度でなんとか収支があうのではないでしょうか」
「ああ、そうそう。大事なことを忘れていたわ」

ポンと手を叩いてアリアナが付け加える。

「ケイビス様から無利子で500エラン、貴族銀行から年利8パーセントで3000エラン借りてるみたいよ。」
「…」

絶句するベスにアリアナは楽しげに続けた。

「馬鹿な人って怖いわよね」