あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです

じじ

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「うーん、やっぱりこれは相当ひどいわね」

西陽のさす窓際のテーブルに並べた書類を見ながら、ペンで額をコツコツ叩きながらアリアナは唸った。


昼過ぎ、昼食をとり終えた頃に書類の山は届いた。それらをざっと見て、アリアナは必要な書類を選別していた。

「これ、どう言うつもりなんでしょう」

青筋立てて、書類の山を睨みつけるベスにアリアナは笑いながら答えた。

「どう言うつもりも何もないと思うわよ」
「嫁いで来られたばかりのお嬢様に書類を見せるのが気に入らなくて、このように不要な書類を混ぜたのでしょうか」

びっくりしてアリアナは思わずベスを見た。本気で聞いていると分かり、アリアナは思わず笑ってしまった。

「やだ、ベス。いくらなんでもそこまで意地は悪くないと思うわよ」
「ですが、それならばこの書類の渡し方はあまりに乱雑です。これでは必要な時に見返すことができないではありませんか」
「見返してなかったんでしょう」
「そんなまさか。」
「不思議じゃないわよ?なにせ、領地経営もガタガタだもの。赤字の現状なんて直視したくなかったんじゃないかしら」
「そんなことでは破綻してしまいますよ」
「だから、ぎりぎりのところで私と結婚したんでしょう」

さらりと答えながら書類を分け続ける。

「手伝わせていただきます」
「ありがとう」
「どのように、分けておられるのでしょう」
「ここが領地の運営に関する経費、こっちはそれ以外のハンゼ公爵家にかかる支出、それとこっちが収入の項目ね」
「分かりました。ちなみにこれ、昨年の物ですか」
「ええ、本当は5年分くらいは欲しいところなのだけれど。仕分けからするのは流石に私も嫌だし、とりあえず1年分見てみるわ」

黙々と作業をこなし、書類がそれぞれの山に分けられた頃には午後のお茶の時間になっていた。

「一休みしましょうか」

そう声をかけて、アリアナはハンゼ公爵家のメイドにお茶の用意を命じた。フラーという名のメイドで、とても気立てが良さそうな娘だ。

「奥様、お茶の用意が整いました」

程なくしてフラーがワゴンにティーセットを乗せて現れた。

優雅な手つきでアリアナとベスにお茶を注ぎ、クリームとラズベリージャムをそえたスコーンを置いてくれる。

「ありがとう。下がっていいわよ」

アリアナがにっこり微笑むとフラーは頬を赤らめて頭を下げた。
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