暗殺者の少女、四大精霊に懐かれる。〜異世界に渡ったので、流浪の旅人になります〜

赤海 梓

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第2章 海を目指して

第28話 カナラワの街と四季折祭

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 あれ以降特にハプニングも無く、無事に街に辿り着くことができた。

「着いた、ここが……!」

 目の前に広がるのは提灯、旗、そしてなんと言ってもたくさんの屋台のある賑やかな街、カナラワの街に着いた。

「お祭りでもやってるのかな……!」

「ああ、ここの祭りはこの大陸でも有名で、街の人口の倍近い観光客が訪れるんだ」

「やっぱりこの密集してるのに窮屈な感じのしない雰囲気が好きなんだよねー!」

「僕もここは悪くないです」

「ルミツちゃん、早速行きましょ~」

「うん!」

 こうして私たちは各自返送をし、街へと足を運ぶ。



「うわぁー! ここがお祭りかぁ~!」

 どんちゃ、どんちゃと賑やかな音がどこからともなく聞こえ、人々の笑い声、商人の不特定多数を呼び寄せる声が響く。

「すごい密度だね?」

「この街では年に4回、大きな祭りを開く」

四季折祭しきおりさいって言うんだよー! 今は季節的に春だから、春を祝うお祭りなんだー!」

「ふーん、楽しそう……!」

「いい屋台があるのよね~。射的なんだけど、毎年良い景品を用意してるお店があってね~」

「えっ、行きたい!」

「私もー!」

「じゃあ決まりだな。私も射的とやらには興味がある」

「じゃあしゅっぱーつ! 目指すは射的~!」

「行きましょ~、こっちよ~」

 そうして私たちは射的屋台へと向かうのであった。



「あったわ~、こっちこっち~」

 そうして辿り着いた射的屋台。見ると高そうなアクセサリやらぬいぐるみやら、お菓子やらが立てられている。

「すごい、楽しそうだね!」

「景品もすっごい豪華ー!」

「早速やってみよ!」

 そうして私は店主のおじさんに声をかける。

「おじさん! 1回良いで……」

 ん、待てよ? 屋台ということは当然お金がいるよな?

「あの、お金って……」

「ん? 嬢ちゃんここの祭りは初めてかい! ここの射的は1回20ムシェルだよ! やってくかい?」

 あちゃー、やっぱりそうだよねぇ……。そういえばヒューナ村でお金稼ぐつもりだったけど、結局うやむやになっちゃってたなぁ……。

「どうしたんだい嬢ちゃん? やって行かないのか?」

「いや、それが丁度今は手持ちが無いので……、またの機会……」

「それじゃあ1回だけタダで挑戦してみるかい!」

「えっ、いいの!?」

「ああ、こいつも何かの縁だ! それに、嬢ちゃんはカワイイから特別だ! ワッハッハ!」

「あはは……、じゃあお言葉に甘えて……」

 そして私はコルク銃を店主から貰う。

「へへっ、こう見えて俺は元冒険者だからな! 怪我で引退したが、銃さばきは御茶の子さいさ……」

 私が銃を構えた瞬間、店主は黙りこくった。流石に経験者ならわかるか。

 暗殺者であった私の射撃技術は世界トップレベル。技術の発展していないこの世界なら、間違いなく1番であろう。

「……どれ取る?」

「私あのお菓子がいいー!」

「あの貴金属の方が良くないですか? 売ったらかなりの金額になりそうですし」

「ふむ、私は無難に肉とかの食品でいいと思うのだがな」

「私はあのクマのぬいぐるみが良いわ~」

「……分かった」

 私は照準を合わせる。スコープを覗く眼と、小手先に意識を全力で向ける。

「……」

「ッ……!」


点火イグニッション


 発射されたコルクはぬいぐるみの額を打つ。そして跳ね返った球はアクセサリーへと向かい、HIT。その後さらに跳ね返ったコルクは肉に当たり、さらにすぐ近くのお菓子をも貫いた。
 当たった景品は全て倒れ、コルクとともに床に落ちる。

「……ふぅ」

「お、えっ、んん……!?」

「ありがとね、おじさん! 楽しかったよ!」

「えっ、あ、?」

「景品貰ってもいいかな?」

「え、ああ」

 こうして私は店主のおじさんから景品を貰い、腕いっぱいに抱える。

「みんな、取れたよー! あげる!」

「うわ、すっごい技術なんだけど……!?」

「流石ルミツちゃんね~」

「じゃあ僕はこの貴金属で……」

「私お菓子ー!」

「ぬいぐるみ貰っちゃうわね~」

「……あれ?」

 みんなの取ってあげようと思ったけど、私の分取るの忘れてた……! しまったぁ!!

「……ふむ。ルミツ、それはルミツが食べなさい」

「えっ、いいの!?」

「あぁ。どれだけ凄い技術を持った少女でも、成長期にはおおく食べた方がいい」

「……!! ありがとうモース!」

 私はちょっぴり高そうなお肉を掲げ、モースにお礼を言う。

「ちょっとー! なんか私たちが小さく見えるからなんかやだー!」

「……実際そうだろ」

「モースぅ!!」

「あははっ!」

 私はつい笑い出してしまう。

「何笑ってんですか主様」

「ルミツちゃ~ん??」

「ご、ごめんって……! あはははっ!」

「……」

 ポカーンとした店主をほったらかし、私は祭りを楽しんでいるのであった。
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