暗殺者の少女、四大精霊に懐かれる。〜異世界に渡ったので、流浪の旅人になります〜

赤海 梓

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第2章 海を目指して

第27話 一掃

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 辺りは狼、人型、スライム状など、様々な魔物が有象無象とこちらを向いていた。

「とりあえず一掃しちゃうか」

 冒険の合間に魔法は研究しているが、未だこれといった魔法は生み出せていない。
 魔力の制御に失敗したばかりの今では魔法を確実に発動するのも難しいだろう。
 だけど、別に余裕だ……

「私にやらせて~」

 そう挙手したのはウンディーネであった。

「えっ、どうしたの急に?」

「う~ん? ちょっぴり試したい魔法があってね~?」

「まぁならいいけど」

 そしてウンディーネは一人でやるようだ。魔力を手のひらに集め、魔力を渦巻かせる。


「水の威力は渦と波で強大になる。ただの雫も極めれば岩を穿つ。水魔法とはただの火消し魔法じゃない、打撃の魔法」

 その瞬間、ウンディーネの渦が逆回りになる。


 水魔法『絶対攫の魔惨津波アクアス・ジェネル


 ザァァァァァァァァアン!!!

 私たちの周りに円形の魔法陣が出来、そして外側に対し荒れ狂う大波が広がっていった。

「すごい、これが試したい魔法?」

「一応この波自体は元々の魔法よ~。ここからが本番だから~」

 その言葉を聞き、ふと見ると津波の中には謎の水球が幾つも存在していた。

 次々の魔物が波に飲まれてゆく。その様を見ていると、ものすごい轟音が目の前から響いた。

「水球が爆発した……!」

「これが試したい魔法よ~。対象をこっぱみじんにしちゃうって技、どうかしら~?」

「すごい……!」

 次々と響く轟音が鼓膜を揺らす。どうやら魔物に触れた瞬間に爆発しているようだ。

「私の作り出した水の中で凶大な威力を誇る実質的な兵器、」


 水魔法『爆散水魔アクアルティックボムズ


「この魔法なら燃やされた物ごと、大破できるわ~」

「……へぁぁ」

 普通に怖い魔法を持ってこられてびびった。
 だけど辺りに集まった魔物は次々と爆散され、討伐し続けている。この調子ならウンディーネに任せておいても大丈夫だろう。

「そうだ、例の冒険者は……」

 そうして気配を探る。

 ……どうやら津波には流石に近づけず、とはいえ私たちの身を案じてくれているようだ。申し訳ないが些か邪魔くさい。

「姿は見られたくないなぁ」

 そうして私は耳をたたみ、髪の毛の下に隠す。
 白猫族という情報はあまりにも大きい。あまりこれを周知されたくはない。

「ルミツちゃ~ん、もう全部片付けたけど、魔法解除しちゃうわね~?」

「あー、うん! わかった」

 まぁこのままここに留まる訳にもいかないし、さっさと出て、さっさと身を隠してしまおう。

「みんな、これが解除されたらそれぞれ隠れてね。案外近くに例の冒険者がいるから」

「はいはーい」

「了解だ」

「わかりました」

「わかったわ~」

 少しずつ水の勢いは収まっていく。爆散水魔も不発の物は水風船のように割れ、ただの洪水跡が外側から順にできていく。

「じゃあ隠れるよ。私は気配察知が得意だから、それぞれ気配は限界まで消していいから」

「そろそろ水の高さが無くなるわ~」

 私たちは姿を隠すためにそれぞれ湿った草原へと駆けてゆく。
 高草に身を潜めながら少しずつ洪水跡から離れる。

 流石は精霊のみんな、一切悟られることない程に気配を消している。これは気を抜いたら見失いそうだ。



 進んでいく内に濡れた草が減っていき、ほとんどが乾いた草原となってきた。恐らく500m以上は離れただろう。
 とりあえず例の冒険者の動向を把握しておこう。

 津波の中心まで辿り着いたようだ。どうやら私たちには気が付いていないらしい。

 よかった。とりあえずこのまま魔力を抑えておきながらもう少し離れておこう。

「グァルル……」

「うわっ……!」

 処理しきれない魔物がいたのか……! 気が付かなかった……!

 スパァン!!

 私は狼の魔物の頭を殴る。頭蓋骨陥没、即死。

「……気づかなかった? 私の気配察知を掻い潜ったとでも? ……そんな訳」

 なんだこの魔物は。一切異変のない普通の魔物であるはずなのに、私の懐に潜り込むなんて。油断していた訳でもない、唸り声を上げたから殺気が無いなんてことはもなかった。

 ……まぁいい。弱い個体で良かった。

 一旦みんなと再開しよう。






 ◇◇◇

「これで最後」

「わわっ、主様!」

 あれから30分程経って、私はサラマンダー含め、全員を見つけ出した。これで全員集合だ。

「見つけられないほど隠れていたのに、お見逸れしました」

「いやいや、サラマンダー探すのに10分以上使っちゃったよ。流石だね?」

「いやぁ……、それほどでもぉ」

「よし、とりあえず皆集合だね!」

「ああ」

「はい」

「うん」

「そうね~」

「それじゃあ改めて、次の街に向かおーう!」

 そうして私たちは旅路を再開するのであった。
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