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理沙が教室に戻ると志保は自分の机の上で頭を抱えていた。
「ほら、志保。帰るぞ」
自分のカバンを持ち、志保の側に歩み寄る。しかし、志保はまったく自分の声に反応しない。
「本当に帰るぞ」
「うえ~ん、理沙~。メンバー集めるのにどうしたらいいのか全然わかんないよ~」
顔を上げた志保は涙目になっていた。
「どうやってメンバーって集めたらいいの?」
そう言いながら抱きついてくる志保は自分の胸に顔を埋めてきた。
「あ~はい、はい。そんなことだろうと思った。だから、帰ってメンバーを集める為のアイディアを考えようって言っているんだろ。早くメンバー募集をしないと他の部に取られる」
胸の中で泣く志保の頭をなでて落ち着かせる。こういう所が志保の可愛いところであった。
「……うん。帰る」
「じゃあ、今から私の家に行くぞ。進学校だから勉強を優先するのは間違いない。部活をやっても良いって人は少ないと思う。だから部員は取り合いになる事は必至だからな。明日から行動しないと」
「わかったよ、理沙」
そう言って志保はカバンを用意して自分の元にやってくる。そして、2人は急ぎ足で教室を後にした。
「でもさ、本当に何をしたらいいんだろうね?」
「そうだな、とりあえず絶対にしないといけないのは勧誘ポスターだな」
「おぉ~理沙、頭いい~」
「志保さ、この廊下を歩いていて何にも気づかないのか?」
下駄箱まで向かう廊下には至る所に勧誘ポスターが貼ってあった。そんなポスターを見て志保は
「あっ、本当だ。野球部、バレー部、吹奏楽部……。見て、見て、軽音部なんてのもあるよ。私、ここにしようかな~」
「うん、ないよ。このボケはないよ~。フットサル部じゃないのかよ!」
志保の天然ボケに呆れて何も言えなくなる理沙。
「あっ、そうか、えへへ」
「って言うか、今日の朝からポスターあったぞ。今まで気づかなかったのか?」
「うん、全然。全く目に入らなかったよ」
真顔で理沙の問いに答える志保。
(この勧誘ポスターを書いた人の努力はどこへ行けば…… 興味が無くても見るぐらいはしてあげるべきだろ)
理沙は志保に背中を見せ悲しんだ。が、当の本人の志保は理沙がなぜ背中を見せて肩を震わせているのか分からず、頭の上に?マークが浮かんでいる。
「まあいい。とりあえず、勧誘ポスターは必須だから、今から帰ってすぐに作るぞ」
立ち直り気合を入れ直した理沙が志保の手を引っ張り、下駄箱まで連れて行く。
「うん、頑張って作ろうね」
志保のノンビリ口調に気合が抜けていく理沙。もう少し気合を入れてほしいのだが、それが志保だから仕方がないと諦める。2人が下駄箱に到着すると校庭から様々な声が聞こえてきた。
「なに? なんかあったの?」
「志保、行けば分かるからとりあえず靴を履け」
「なんか、理沙、お母さんみたい」
「いいから履け」
靴を履き終わった理沙が玄関前で志保を待っている。志保も慌てて靴を履き、急いで後に続く。志保達が校庭に出ると色んな部活の生徒たちが勧誘ポスターを配っていた。あまりの勧誘の多さに志保と理沙は唖然とするしかなかった。
「こんなに部活の勧誘しているんだ? まるでTVで見た大学並み」
「理沙は相変わらず博識だね」
「そんなこと言っている場合じゃないぞ!」
「顔が近いよ、理沙。まあ落ち着いて」
「本当に落ち着いている場合じゃないわよ。志保ちゃん」
いつの間にか志保と理沙の後ろに立っていたゆかりがそう言った。
「どわぁぁぁ~、びっくりした。本気でびっくりした」
いきなりのゆかりの登場に2人は後ろに飛び退き、心臓を押さえる。
「い、いつからいたんですか?」
「理沙、私、心臓が痛い……。わ、私がいなくなっても、フットサル部は永遠……だ……か……ら……」
「し、志保ぉぉぉ~! って、フットサル部はまだ出来てないぞ!」
理沙が倒れた志保を抱えながらツッコミを入れる。が、それを見ていたゆかりは冷静に事態を収拾させた。
「私はこのコントをいつまで見てればいいのかな?」
「大丈夫です。これで終わりですので。それでどうゆう意味ですか、ゆかり先生?」
「そうですよ、落ち着いている場合じゃないって?」
今度は2人がかりゆかりに詰め寄って質問攻めにする。
「いや、だから落ち着いて。と言うか、2人とも変わり身早いわね……。とりあえず、はい、深呼吸~」
ゆかりが志保と理沙に深呼吸するように促し、落ち着いたのを確認してからゆかりが2人に説明をし始めた。
「あのね、一応うちは市内では数少ない進学校なの。だから部活よりも勉強。就職より大学。部活や就職を考える学生は市外の高校に行ってしまう。だから部活に入部する人が絶対的に少ない。どの部活も部員確保に必死なのよ。5人以下になったら同好会に格下げで部費も出ないし、部室も使用禁止。次の部活定例会に部活として報告しないと1年間は同好会だからね」
「へえ~そうなんだ」
ノンビリした口調で志保がそう言った。
「お前、絶対に状況を飲み込めてないだろ?」
「えへへ」
頭をかきながら照れ笑いする志保を見て理沙はがっかりする。
「駄目だ。志保はやっぱり駄目な子だ」
その様子を見たゆかりも(この子、本当に部活、作れるのかしら)と、思いながら肩を落とす。
「やっぱり部活をする人って少ないんですね。先生、ありがとうございます。私達、頑張りますから」
ゆかりの方に振り返り、拳を握り締めて志保が力強く宣言する。
「はい、頑張って。先生、応援しているから。それから部活定例会議は5月のGW明けだから。時間はちょっと余裕があるけど、部活をする生徒は本当に、本当に少ないから頑張ってね」
ゆかりが理沙に向かって優しい声で伝える。その言葉を聞いた理沙の顔が青ざめていく。
「こんな事をしている場合じゃないぞ、志保。行くぞ!」
志保の後ろ首を掴み、ダッシュで帰宅しようとする理沙。理沙にされるがまま、志保は
「先生、さようなら~」
と、理沙に引っ張られながらゆかりに挨拶をした。ゆかりは2人の背中に声をかけ、温かく見つめた。
「ほら、志保。帰るぞ」
自分のカバンを持ち、志保の側に歩み寄る。しかし、志保はまったく自分の声に反応しない。
「本当に帰るぞ」
「うえ~ん、理沙~。メンバー集めるのにどうしたらいいのか全然わかんないよ~」
顔を上げた志保は涙目になっていた。
「どうやってメンバーって集めたらいいの?」
そう言いながら抱きついてくる志保は自分の胸に顔を埋めてきた。
「あ~はい、はい。そんなことだろうと思った。だから、帰ってメンバーを集める為のアイディアを考えようって言っているんだろ。早くメンバー募集をしないと他の部に取られる」
胸の中で泣く志保の頭をなでて落ち着かせる。こういう所が志保の可愛いところであった。
「……うん。帰る」
「じゃあ、今から私の家に行くぞ。進学校だから勉強を優先するのは間違いない。部活をやっても良いって人は少ないと思う。だから部員は取り合いになる事は必至だからな。明日から行動しないと」
「わかったよ、理沙」
そう言って志保はカバンを用意して自分の元にやってくる。そして、2人は急ぎ足で教室を後にした。
「でもさ、本当に何をしたらいいんだろうね?」
「そうだな、とりあえず絶対にしないといけないのは勧誘ポスターだな」
「おぉ~理沙、頭いい~」
「志保さ、この廊下を歩いていて何にも気づかないのか?」
下駄箱まで向かう廊下には至る所に勧誘ポスターが貼ってあった。そんなポスターを見て志保は
「あっ、本当だ。野球部、バレー部、吹奏楽部……。見て、見て、軽音部なんてのもあるよ。私、ここにしようかな~」
「うん、ないよ。このボケはないよ~。フットサル部じゃないのかよ!」
志保の天然ボケに呆れて何も言えなくなる理沙。
「あっ、そうか、えへへ」
「って言うか、今日の朝からポスターあったぞ。今まで気づかなかったのか?」
「うん、全然。全く目に入らなかったよ」
真顔で理沙の問いに答える志保。
(この勧誘ポスターを書いた人の努力はどこへ行けば…… 興味が無くても見るぐらいはしてあげるべきだろ)
理沙は志保に背中を見せ悲しんだ。が、当の本人の志保は理沙がなぜ背中を見せて肩を震わせているのか分からず、頭の上に?マークが浮かんでいる。
「まあいい。とりあえず、勧誘ポスターは必須だから、今から帰ってすぐに作るぞ」
立ち直り気合を入れ直した理沙が志保の手を引っ張り、下駄箱まで連れて行く。
「うん、頑張って作ろうね」
志保のノンビリ口調に気合が抜けていく理沙。もう少し気合を入れてほしいのだが、それが志保だから仕方がないと諦める。2人が下駄箱に到着すると校庭から様々な声が聞こえてきた。
「なに? なんかあったの?」
「志保、行けば分かるからとりあえず靴を履け」
「なんか、理沙、お母さんみたい」
「いいから履け」
靴を履き終わった理沙が玄関前で志保を待っている。志保も慌てて靴を履き、急いで後に続く。志保達が校庭に出ると色んな部活の生徒たちが勧誘ポスターを配っていた。あまりの勧誘の多さに志保と理沙は唖然とするしかなかった。
「こんなに部活の勧誘しているんだ? まるでTVで見た大学並み」
「理沙は相変わらず博識だね」
「そんなこと言っている場合じゃないぞ!」
「顔が近いよ、理沙。まあ落ち着いて」
「本当に落ち着いている場合じゃないわよ。志保ちゃん」
いつの間にか志保と理沙の後ろに立っていたゆかりがそう言った。
「どわぁぁぁ~、びっくりした。本気でびっくりした」
いきなりのゆかりの登場に2人は後ろに飛び退き、心臓を押さえる。
「い、いつからいたんですか?」
「理沙、私、心臓が痛い……。わ、私がいなくなっても、フットサル部は永遠……だ……か……ら……」
「し、志保ぉぉぉ~! って、フットサル部はまだ出来てないぞ!」
理沙が倒れた志保を抱えながらツッコミを入れる。が、それを見ていたゆかりは冷静に事態を収拾させた。
「私はこのコントをいつまで見てればいいのかな?」
「大丈夫です。これで終わりですので。それでどうゆう意味ですか、ゆかり先生?」
「そうですよ、落ち着いている場合じゃないって?」
今度は2人がかりゆかりに詰め寄って質問攻めにする。
「いや、だから落ち着いて。と言うか、2人とも変わり身早いわね……。とりあえず、はい、深呼吸~」
ゆかりが志保と理沙に深呼吸するように促し、落ち着いたのを確認してからゆかりが2人に説明をし始めた。
「あのね、一応うちは市内では数少ない進学校なの。だから部活よりも勉強。就職より大学。部活や就職を考える学生は市外の高校に行ってしまう。だから部活に入部する人が絶対的に少ない。どの部活も部員確保に必死なのよ。5人以下になったら同好会に格下げで部費も出ないし、部室も使用禁止。次の部活定例会に部活として報告しないと1年間は同好会だからね」
「へえ~そうなんだ」
ノンビリした口調で志保がそう言った。
「お前、絶対に状況を飲み込めてないだろ?」
「えへへ」
頭をかきながら照れ笑いする志保を見て理沙はがっかりする。
「駄目だ。志保はやっぱり駄目な子だ」
その様子を見たゆかりも(この子、本当に部活、作れるのかしら)と、思いながら肩を落とす。
「やっぱり部活をする人って少ないんですね。先生、ありがとうございます。私達、頑張りますから」
ゆかりの方に振り返り、拳を握り締めて志保が力強く宣言する。
「はい、頑張って。先生、応援しているから。それから部活定例会議は5月のGW明けだから。時間はちょっと余裕があるけど、部活をする生徒は本当に、本当に少ないから頑張ってね」
ゆかりが理沙に向かって優しい声で伝える。その言葉を聞いた理沙の顔が青ざめていく。
「こんな事をしている場合じゃないぞ、志保。行くぞ!」
志保の後ろ首を掴み、ダッシュで帰宅しようとする理沙。理沙にされるがまま、志保は
「先生、さようなら~」
と、理沙に引っ張られながらゆかりに挨拶をした。ゆかりは2人の背中に声をかけ、温かく見つめた。
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