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しおりを挟むその後、相手チームの攻撃は、わたしに集中したが、その分、攻撃が読め、
難なく防御出来た。その上、他の子たちが狙われる事が無く、
試合は硬直したまま、前半戦は6対5で《百花繚乱美しき薔薇》チームが取った。
「気にする事無いよ、良くある事だから、元気出して」
「失敗は誰にでもあるからね、君の情熱でボールも熱くなったのかな?」
パトリックとジェロームが励ましてくれ、他の子たちも、「そうですよ」と頷いていた。
「さぁ、時間は短いんだし、しっかり補給しておこう!」
「食料買って来ました!」
応援の子たちが、試合の合間に食料を買って来てくれていた。
それに加え、小さな薬の小瓶を7本取り出した。
「それから、我がファンダムより、回復薬の差し入れです!」
気の利いた差し入れに、皆が沸いた。
「回復薬はうれしいよ」
「これがあれば、疲れも取れるわ!」
「流石、僕のファンダムだね☆ありがとう」
わたしは必要無かったが、気持ちがうれしかったので、受け取った。
回復薬とサンドイッチを持ち、クララの側に座った。
「クララ、しっかり食べておいてね!」
だが、クララの顔は暗かった。
神妙な面持ちで、わたしを見た。
「私の所為です!私、もう、試合には出られません…」
「あなたの所為じゃないわよ、あんな威力魔法掛けられないでしょう?」
「でも!それしか考えられません…アラベラ様は、途中で魔法を加えたりしていませんよね?
私、近くに居たから分かるんです…私が間違えたんだわ…
それなのに、アラベラ様の所為にして!自分が恥ずかしいです!」
クララが「わっ」と泣き出した。
「クララ!?ドレイパー、君、クララに何をしたのさ!」
パトリックが迷い無く、わたしを責める___わたしの信用など、無いも同然だ。
分かってはいた事だが、こんな状況もあり、胸にどす黒いものが沸き上がってきた。
堪らず言い返そうとした所、クララが遮った。
「違うの!アラベラ様を責めたりしないで!私が悪いの…」
その一言で、わたしの内にあったどす黒いものは掻き消えたが、
パトリックの方は納得出来ないのか、尚も怖い顔でわたしに詰め寄った。
「ドレイパー、説明してくれるよね?」
わたしは嘆息し、心を落ち着け、話した。
「あの時の事で、クララが勘違いしてるのよ…
クララの魔法で、ボールに威力を増す事は出来ない、
それは、パトリックにも良く分かっているわよね?
クララがどう間違ったとしても、あんな風にはならないの、
だから、クララの所為じゃないわ、そうよね、パトリック?」
パトリックは「ああ」と、それを思い出した様だ。
パトリックはクララの隣に座ると、そっと、その肩を撫でた。
「クララ、自分の所為だと思ってたの?
ボールの容量を超えるなんて、君には無理だよ、馬鹿程魔力がなきゃ」
馬鹿?他に言い方は無いのかしら?
「でも、アラベラ様じゃないんです!私じゃなかったら、誰にそんな事が出来るの?」
パトリックが怪訝な顔で、わたしを見た。
「君じゃないの?ドレイパー」
「分からないの…でも、危険だと分かったから、もうフュージョンシュートは使わない事にしましょう!」
わたしは明るく解決策を言った。
パトリックも、「ああ、そうだね、問題解決だね」と頷いた。
クララはまだ引き摺っていたので、後半戦は外す事にした。
本来ならば、わたしも外れるのが正しいだろう。
だが、わたしはチームの主力でもあるので、チームとして「勝ちたい」という思いが強かった。
その判断が間違いだった事に、わたしたちは直ぐに気付く事になった___
後半戦が始まり、相手チームもわたしだけでなく、他の子を狙い始めた。
序盤は上手くいっていたのだが、わたしにボールが回り、それは起こった。
わたしが投げたボールは、わたしの意志に反し、急激なカーブを見せると、
恐ろしい威力でエリーを狙った。
前半戦の時と同じだ___
「キャ!!」
パン!!
エリーに当たる寸前に、ボールが破裂し、避けようとしていたエリーは地面に倒れた。
相手チームのメンバーたちは、エリーの元に駆けつけた。
「大丈夫か?エリー!」
「ったく、酷い事するよな!」
「おい!おまえ、いい加減にしろよ!」
「危険球だぞ!」
「明らかに悪意を感じる!退場にするべきだ!」
相手チームが訴え、わたしは審判から警告を受けた。
「次に同じ事をした場合、退場して貰います」
わたしの魔法ではない。
誰かが途中で魔法を掛けたのだ…
だけど、近くにいなければ、そんな事は出来ない…
一体、誰が?
わたしはそれとなく、周囲を伺った。
だが、それが出来る者は、限られている。
ジェロームか、パトリックしかいない…
まさか!
二人がやったとはとても思えない。
そもそも、こんな事をしても、何の得にもならない。
「アラベラ、攻撃は僕たちに任せて、君は防御に徹してくれるかい」
ジェロームの指示に、わたしは「分かったわ」と返した。
わたしは防御に徹し、取ったボールもジェロームやパトリックに回した。
それ以降は、何も起こらなかったが、
攻撃は単調になり、後半は3対6で、《炎の連隊》が取り、
前半戦と合わせても、《炎の連隊》の圧勝だった。
《炎の連隊》チームは喜びに沸き、観客席からは大きく歓声が上がった。
その一方で、わたしたち《百花繚乱美しき薔薇》チームは、
観客を敵に回してしまっていた。
「何が、《百花繚乱美しき薔薇》だよ!」
「あいつらに、大会に出る資格なんかねーよ!」
「汚い手使いやがって!」
「競技だってのに、そこまでするか?」
「あいつらが勝たなくて良かったぜ!」
わたしたちに向けられたのは、ブーイングで、メンバーたちは気まずく顔を伏せた。
「大会になんて出るんじゃなかったわ…」
ドロシアの呟きに、わたしは反射的に彼女を見た。
ドロシアは「はっ」としたが、手に拳を握り、わたしを睨んだ。
「ジェローム様を巻き込むなんて、耐えられませんわ!」
「そうよ!ジェローム様の評判を落とすなんて!酷いですわ!」
「ジェローム様は正々堂々と戦っていらっしゃったのに…」
『あなたが!』と、皆の目がわたしを責める。
「皆、この程度の事で憎しみ合わないでくれよ、僕は十分に楽しめたよ。
それに、彼女は良くやっていたよ、僕たちがここまで勝ち残れたのは、
アラベラが居てこそ、彼女は僕たちの女神さ___」
ジェロームがわたしの肩を抱き、いつもの調子で言ってくれたが、
「でも…」と、ファンダムの子たちは不満そうに顔を見合わせていた。
「アラベラ様がやったんじゃありません!」
普段、小さな声しか出さないクララが、意を決したかの様に、大きな声を上げた。
「私、ずっと見ていたんです、だから、分かります、
あれは、誰か違う方の魔法です!」
皆、探る様に互いを見た。
「私じゃありませんわよ!」
「私も、そんな事出来ませんわ!」
「アラベラ、君は何か気付かなかったかい?」
ジェロームから聞かれ、わたしは頭を振った。
「わたしの魔法じゃない事は確かだけど、誰も思いつかないわ…」
わたしの無実を証明出来るものは何も無い。
「人に罪を着せるなんて、酷いな!それこそ、憎むべき行いだね!」
「だけど、証明出来ないもの、どうしようもないわ…」
どうせ、信じては貰えない。
わたしは《悪役令嬢》だもの…
「でも、クララが信じてくれたから、それでいいわ!」
わたしはクララの肩を抱いた。
「アラベラ様…」と、クララが顔を赤くする。
「クララだけじゃないよ、僕も君を信じるよ、ドレイパー」
パトリックがクララの隣から顔を覗かせ、わたしに頷いた。
「ありがとう、パトリック…あなたが信じてくれるとは思わなかったわ…」
攻略対象者が、悪役令嬢の味方なんて、しないでしょう?
だが、瞬間、パトリックは不機嫌そうに頬を膨らませ、子犬の如く吠えた。
「僕だって、直ぐ側に居たんだから、君が追加で魔法を掛けていない事位、分かったよ!
言っておくけど、僕は二年生の次席だよ?君よりずっと、勉強もしているんだからね!」
それは、重々承知しております。
わたしは、「ふっ」と笑い、パトリックに手を差し出した。
「ごめんなさい、それから、ありがとう、パトリック!」
「分かったなら、いいよ、けど、あまり僕を見縊らないでよね、ドレイパー!」
パトリックは高飛車に言い、わたしの手を握った。
そこにジェロームも加わった。
「勿論、僕も君を信じるよ、アラベラ。
君は大技は得意だけど、技術的な事はクララ任せだったよね?
今思えば、あれは君らしくない、君の投げるボールはもっと純粋で邪気が無い」
その感覚は分からないけど…
「信じて下さって、ありがとございます、ジェローム様」
「君の汚名を晴らせない事が、残念だけどね…」
ジェロームは頭を振った。
様子を伺っていた、ドロシアとジャネット、及びファンダムの子たちも、考えを改めた。
「アラベラ様、申し訳ありませんでした…」
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「どうか、お許し下さい…」
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「いいのよ、仕方ないわ、わたしの所為で優勝も逃してしまったし…
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埋め合わせに、皆で《打ち上げ》をしない?
応援してくれた子たちもよ!
準優勝のお祝いに、わたしが奢るわ!ああ、ジェロームとクララは強制参加よ!」
この二人が来れば、皆来るだろう。
その狙いは当たり、ファンダムの子たちは、「キャー!」と奇声を上げた。
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ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
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