【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!

白雨 音

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第四試合の後は、二回戦が始まる為、
前半戦が終わり、ハーフタイムに入った所で、わたしたちは会場に移った。

第四試合は、ブランドンのチーム《炎の連隊》の試合なので、
わたしはパトリックとクララと共に、ブランドンに声を掛けに行った。

「ブランドン!観てたわよ!勝ってるじゃない!」

前半戦は、5対0で圧勝だった。

「おお、おまえらか、どうだ、レベルが違うだろう?」
「ふん!油断してると、足を掬われるわよ?」
「はっ!そんな間抜けじゃねーよ!」
「どうだろうね、ブランドンだし…」

パトリックもからかいに加わり、皆で笑った。

「ブランドン、時間だぞ!」

仲間から声が掛かり、ブランドンはタオルを椅子に放った。

「おっしゃ!カッコイイ所、見せてやるから、しっかり目開けてろよ!」

わたしたちはブランドンに「頑張ってね!」とエールを送った。
その時、わたしはチームベンチに、その姿を見つけ、目を止めていた。
ピンク色の頭…

「エリー?」

ブランドンたちのチームベンチに、何故か、エリーの姿があった。
エリーはこちらなど気付いていないかの様に、チームの応援をしている。

「パトリック!エリーがブランドンのチームに居るわ…」

パトリックも知らない事だと思っていたが、彼はあっさりと頷いた。

「うん、僕たちがチームを作ったから、ブランドンもエリーを誘うって言ってたよ」

わたしたちがチームを組むのと、ブランドンがチームにエリーを入れるのと、
どんな関係があるというのか??
だが、わたしたちがチームを作った所為で、
ブランドンとエリーが近付く事になってしまったのなら…

「ああ!!何て事、しちゃったのかしら!!」

本末転倒だわ!!
わたしは自分の失敗に気付き、思わず頭を抱えていた。

「ドレイパー、どうしたの?」

パトリックが怪訝に見てきたのを、わたしはギン!と目を強くし睨み返した。

パトリックもパトリックよ!
ブランドンがエリーを誘う事を知っていて、わたしに言わないなんて!!
言ってくれてたら、何がなんでも阻止したのに~~~!!
ええ、所詮、あなたは攻略対象者!ヒロインの味方よね!!

「ほら、審判が睨んでるよ、早く行こう!」

パトリックに急き立てられ、わたしは頭を抱えつつ、戻ったのだった。


ブランドンのチーム《炎の騎士》は、難なく一回戦を突破した。
エリーはタオルを持ち、笑顔でブランドンを迎えている。
他にもチームメイトはいるのに、その目には、ブランドンしか映っていない様だ。
ブランドンの鼻の下は、さぞ伸びきっているだろう。

「よぉ!俺らと戦いたいなら、次も勝てよ!」

ブランドンがエリーを連れて声を掛けて来た時、
一瞬、殴ってやりたい気持ちが沸き上がったが、何とか我慢した。
その分、試合にぶつけるわ!

「おい、ドレイパー、不機嫌じゃね?」
「うん、さっきから何か怒ってるみたいだよ、理由は知らないけど」
「さては、俺らの試合を見て、ビビッたんだな!はっはっは!」
「ビビッてないわよ!コテンパンにしてやるわ!」
「おう!決勝で会おうぜ!」

ブランドンは屈託なく言い、手を振った。
エリーはわたしの事など眼中に無いという風に、ブランドンに引っ付き、会場を出て行った。

くううう!おのれ、ヒロイン!!

「勝つしかないわね…」

わたしたちのチームが勝とうが負けようが、何の影響もない訳だけど…
悪役令嬢としては、ヒロインのチームを優勝させる訳にはいかないわ!
今こそ、運命に抗う時よ!!いざ、下剋上!!

「皆!次の相手は強敵よ!」

皆で円陣になった所で、わたしは声を掛けた。
何故、強敵かというと、相手チーム《流星軍》は、男女混合チームだからだ!

「ジェローム!相手チームの女子に、手加減なんかしないでよ!」

「勿論だよ、心配はご無用さ!」

バチっと、ウインクが返って来た。
信用に足るかどうかは、判断が難しく、わたしは頭を振った。

「それじゃ、行くわよ!我ら、」
「百花繚乱!美しき薔薇!」
「勝つのは?」
「百花繚乱!美しき薔薇!」

「イェ~~~!!」と、皆が盛り上がる中、
パトリックは一人、恥ずかしそうに身を縮め、小さく手を上げていた。


試合が始まってみれば、心配していた様な事は無かった。
だが、わたしは気付いていた。
ジェロームの狙いは、男に限られていると…

「まぁ、その位ならいいけど…」

それに、逆に、相手チームの女子たちは、ジェロームに見惚れるあまり、自滅していっていた。

諸刃の剣かしら?

そんな事もあり、試合は、前半5対2、後半4対0で、
《百花繚乱美しき薔薇》チームの圧勝だった。

続いて行われた、ブランドンのチームも、危なげない試合運びで、勝利を収めた。

二十分の休憩があり、その間に、体を休め、魔力の回復に努める。
ブランドンのチームには、回復魔法の使えるエリーがいるので、魔力切れの心配が無い。
尤も、回復魔法が許されるのは、休憩時間とハーフタイムのみだ。

回復魔法が使えないわたしたちは、兎に角、体を休ませ、補給をするしかない。
とはいえ、一試合分は休めたので、十分な様だった。


【決勝戦は、《百花繚乱美しき薔薇》チーム対《炎の連隊》です!】
【試合は前半十分、ハーフタイム五分、後半十分となります!】
【前半戦の選手はコートに入って下さい!】

合図で、わたしたちはコートに入った。
前半戦のメンバーは、わたし、パトリック、ジェローム、クララ、ドロシア、マーサ、ソフィ。
ジェロームの指示で、フォーメーションを組んだ。

わたしは攻撃力、防御も強いので、今回は前衛だ。
わたしとフュージョンするクララはわたしの斜め後方、
わたしの隣は、要のシュータージェローム、その後ろはパトリックだ。

相手チームには、ブランドンの姿は勿論、エリーの姿もあった。
エリーはこれまで試合には出ていなかったのに、ここで出て来るなんて…
流石、ヒロインね!

【それでは、試合、開始!!】

ピーーーーー!!

笛が鳴り、矢の勢いでボールが飛んで来た。
だが、試合を重ねていたお陰もあり、そのスピードに驚く事も無かった。

「薔薇シールド!」

わたしは前衛でそれを防ぎ、ボールをパトリックに回した。
その間に、ジェロームが打って出たが、防がれた。
パトリックがジェロームを盾にし、ボールを放つ。
速攻だ。
相手チームは、ボールが何処から投げられたか分からず、打ち取られていた。

ピーーーー!!

「やったわ!パトリック!小柄の勝利ね!」
「小柄って言うな!次、来るよ!」

一人打ち取ったものの、相手にボールが二つ渡った状態に、緊迫する。
ボールを持っているのは、前衛の左端と右端。
スピードに乗ったボールが、ジェロームを襲う___

「シールド!」

意識がそちらに引かれた瞬間を狙い、もう一つのボールが隣のドロシアを襲った。

バン!!

ボールがドロシアに当たった。
ドロシアは悔しそうな顔をし、コートを出て行く。

「ドロシア!後は任せて!」

ドロシアの位置にソフィが移動した。
ボールの一つはジェロームが持ち、
もう一つのボールは、ソフィからパトリックに渡されていた。

ジェロームが大きく踏み切り、上空を飛ぶ。
皆の意識がそちらに向かうのを狙い、パトリックが速攻を仕掛けた。

バン!!

パトリックの素早い球が、後方左の男子を仕留めた。
それと同時に、上空のジェロームが前衛右の男子を狙ったが、それは防御された。

再び、相手チームにボールが二つ渡った。
一つは前衛中央のブランドンが持ち、もう一つは、ぐるぐるとメンバーの間を回っていた。
誰に渡るか分からない様にしているのだが、わたしには読めていた。

この場面、絶対にエリーが投げるわ!ヒロインだもの!

それは当たっていて、ブランドンの威力のある豪快なボールが低空から浮き上がり、
ソフィを仕留めるのと同時に、エリーが放ったボールが、分裂魔法で数個に別れ、
揺れながら襲ってきた。

「全員!シールドよ!!」

わたしが叫ぶ。
練習の成果もあり、皆、反射的にシールドを張る事が出来た。
尤も、エリーの狙いは、わたしだった。
一瞬、エリーは悔しそうに顔を歪めたが、メンバーに声を掛けられ、それを消した。

ふん、わたしを狙うなんて、流石、ヒロインね!

それじゃ、こっちも、お返しさせて貰うわ!

「クララ!」

わたしはクララに合図を送ると、ブランドンを目掛けボールを放った。
それは回転しながらブランドンの方へ飛んで行く。
ブランドンは防御を張るが、その寸前、それは急に向きを変え、エリーを狙った。
それは計算だったが、ここで、計算外の事が起こった。
ボールの威力が容量を超えたのだ。
ボールが恐ろしい威力でエリーを襲う___

「キャー!!」

パン!!

それはエリーの目の前で弾けた。
エリーは驚いたのか、尻もちを着いて倒れた。

「エリー!大丈夫か!?」

ピーーーー!と笛が鳴り、一旦試合が中断する。
同じチームのメンバーたちがエリーを心配し、集まった。

「《百花繚乱美しき薔薇》チーム、減点!」

何が起こったのか分からず、わたしは茫然としていたが、
「はっ」とし、クララを振り返った。
彼女は青い顔をし、ふるふると頭を振っていた。

クララではない…
クララは魔力も弱いので、ボールの威力を増す事は出来ない。
だったら、誰が?
他の誰かが、意図的に、途中でボールに魔法を掛けたのだ___

わたしは周囲を見回した。
そこでわたしは、皆が疑いの目で自分を見ている事に気付いた。

「ご、ごめんなさい、次からは気を付けるわ…」

事を荒立てるよりはと、わたしは謝った。
相手チームからは敵意の目が向けられたが、メンバーからは、
「間違える事もあるさ」と励まされた。

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