【完結】悪役令息⁈異世界転生?したらいきなり婚約破棄されました。あれこれあったけど、こんな俺が元騎士団団長に執着&溺愛されるお話

さつき

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5、のんびり生活?

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朝の目覚めは昨日より良いような気がした。
私の中のシエル、おはよう。
今日は何しようか?

昨日目覚めた時、シエルの両親にシエルが王妃から受けていた様々な事を話した。
公爵は怒りを滲ませながらシエルの頭を撫でてくれた。公爵夫人は涙を流しながら抗議するわ!!と言ってくれていた。
だけど抗議してしまったら、またシエルが酷い仕打ちを受けてしまうと思ったけど、王子に婚約破棄されたから王子妃候補の教育はなくなったはず。
もう城に行かなくてもいいことに気づいた。
もう辛いことは起きないはず。
シエルと私は、ぽっかりと時間が空いた事になったのだった。
両親からはゆっくり身体を休めて、食事量も徐々に増やしましょうねと言われた。
寝る前に、暖かくて甘いココアを(この世界で)初めて飲んだ。
甘い。甘くて美味しい飲み物に思わず涙が滲んでしまったが、両親は微笑みながら私が眠るまでそばにいてくれた。
泣いていたのは自分の中のシエルなのか、それとも……どちらなのかはわからなかった。
前世も合わせて、数年ぶりに朝の時間を気にせずゆっくり起きた。
だけど起きた後、この何もしない時間をどのように使えばいいのかわからなかった。
昼夜問わず仮眠から起きたら素早く身支度を整え、栄養ゼリーを飲み出勤が当たり前だった。
以前の私も自分の時間がほぼなく、自宅には寝るためだけの場所になっていた。
食事は自炊どころか、栄養ドリンクと栄養ゼリーが主食で、たまにコンビニ飯だった。
暇さえあれば、睡眠をとりたいと思っていたからどこかに出かける気力すらなかった。

現在の自分…私は使用人に世話をされていた。ふらつく足に力を入れながら身支度を済ませた。
恥ずかしいけど、身体を思うように動かせないから仕方がない。
シエルの身体のあちこちにはアザや傷があった。
王宮で倒れたが心配ないと王妃付きの使者から連絡を受けた時、何度もシエルを公爵邸に戻す様に訴えていたが、ことごとく断られていた。
倒れたのに心配ない?心配するに決まってるだろうがぁぁぁぁ!!!との事で、公爵夫妻は使者とともに王宮に登城した。
そして公爵は学生の頃からの親友という国王に謁見を申し込んだ。
本来なら数日かかるが、あまりの剣幕に国王へ公爵夫妻が登城してる事を伝えたのだった。
王妃は公爵の分際で~!!と怒りを含ませながら臨時の謁見の場に現れた。
公爵夫妻に文句を言おうとした。
シエルが倒れた事は王子にも伝えられていた。
シエルと婚約破棄をした当日であったが、男爵令嬢と婚約を勧める為、話をするはずが国王である父に呼ばれ説教されてしまった。
さらに懇意にしていたはずのマーヤ男爵令嬢は身分的にも王子様とのお話はありえません。ありがたいお話ですが、辞退します。ではおいとまさせていただきます。と言い残し、待たせていた部屋から帰ってしまった。
誰かがマーヤに何か言ったんだと王子は思った。
シエルが倒れたと嘘をつきマーヤを脅したのだろうと考えた王子は一度退室した謁見室に再び足を向けたのだった。

*王子目線

プロムだというのになぜか制服で、プロム会場に現れたシエル。
青ざめた顔がまるで死んでいるかの様に見えた。
な、何があったんだ?

謁見室には王妃である母と王妃付きの侍従たちと公爵夫妻が舌戦を繰り広げていた。
内容はシエルの事。
公爵邸から学園に通っていると思ったが15歳からなぜか王宮に泊まり込み王妃によって王子妃"候補"としての教育を受けていたらしい。
王子妃
まだ婚姻せず婚約していたからか?
まぁ、今日婚約破棄してしまったからでもなんでもなくなったがな。
そういえば、学園でシエルと会ってない事に今更ながら気づいた。
我が子を取り返す為、公爵夫人は王妃に丁寧な言い方で早くシエルを公爵邸に戻すように言っていた。
家に戻っていなかったのか。
俺と会うためなのか。
それを俺は無視していたのか。

城に着いて聞いたのか、に婚約破棄していただいたそうなので、もうウォード公爵家である私の愛息子であるシエルと王家との縁は切れました。ですので、愛息子であるシエルとともに私どもはウォード公爵に戻ります。
早くシエルの所に案内するように、王妃の侍従に言った公爵夫人は、きれいなのに怖かった。
なぜかマーヤと俺に笑顔を向けたシエルの顔を思い出していた。
「承知しました。ただ、私は本当に何もしていませんが、お二人の幸せを願う事はお許しいただけたら」「うるさい!!そんな顔して、おまえはまた何を企んでいるんだ!!」」
「……何も」「いい訳はもうよい!!とにかくおまえとは、婚約破棄する。」
「ありがとうございます。感謝します。では、失礼させていただきます。」
あの時、笑っていた。
なぜ笑うんだ?婚約破棄だぞ?
泣いてすがって婚約破棄しないでというのが普通なんじゃないのか?
幼い頃、すごく可愛いだと思った。
女の子は貴重で優しくするのが、かっこいい男になると聞いた。……きいた?誰に?たまにくる王妃である母ではないと思う。
乳母かそれとも他の使用人だろうか?
シエルを女の子だと思い婚約したいと母に伝えると、一瞬怖い顔をした気がした。
だけど、婚約が整った日からシエルと城で一緒に遊べる様になった。
2人のお茶会の時やおやつを食べる時は、当たり前だが俺のところにはおやつがあった。
…シエルのところにはなかった。
お菓子を分けようとした時もあったが、いつもお腹がいっぱいなのでとか、食事を誘っても、辛そうに断っていた。
何かおかしい。
シエルはあまり笑わなくなり、薄気味悪く、ぎこちない笑みを浮かべ、服装もまるで使用人の子ども?いや、使用人の子どもより質素な服装をし、いつも同じような服ばかり着ていた。
成長とともに、城では顔を合わせるがシエルの笑顔はなくまるで人形と話してるかの様に思う事が増えた。
婚約者と王子のお茶会も、相変わらずお茶ばかり飲んでいた。
美味しそうなお菓子に目を向けないシエル。
俺といるのが苦痛なのか?
何か言いたげにする時もあるから聞いても、何でもございません。と言い、ご不快な気持ちにさせてしまい申し訳ございません。失礼します、と言ってお茶会を早々に終わらす事もよくあった。
いつからか、まともに話もしなくなった。
つまらないやつだと思う様になった。
いつからだ?
いつからこんなことに?
丸みがあった頬も痩せこけ、顔色も悪い。
本当に生きているのかと思ってしまった。
シエル…今日のプロムの時は、なぜか制服を着ていた。なぜ?
俺はシエルと話をまともにしたのは、いつだったか思い出していた。
シエルは、青白い顔で制服のままベッドにいた。
上掛けすらかけられていなかった。
ほとんど何もない狭い使用人部屋に寝かされていた。
なぜ?
なぜこんなところに?
使用人部屋?しかも改装前の狭く古い壁紙の部屋。
ここはもう使われてないはずの部屋。
小さなロッカーにわずか数着の着替えと最低限の学用品が置かれていた。
なぜ?
王子の婚約者なのになぜ?
母上?
王妃である母上に目を向けたが、目が合う事はなかった。
国王である父上も驚いていたが、公爵夫妻が悲鳴の様にシエルの名前を呼んでいた。
公爵はシエルを抱き抱え、王族にあいさつをし立ち去っていった。
「なぜシエルが…こんなとこに?」
婚約者に贈るシエルがキレイだと言っていたピンク色のドレスシャツも、髪飾りも身につけていなかった。
あまり話さなかった俺だけど、プロムの数ヶ月前にシエル用のも、ちゃんと発注はしたはずなのに、なぜ?
そういうことなのか?

***

王宮から気絶したまま公爵家に帰宅したシエルは、数人の医師と薬師に手当を受け、身体の隅々まで診られているらしい。
治療のためだとしても…気絶していたからわからないが、あとから聞かせられた時、羞恥心が半端なかった。
体力が、ほぼないシエルと私。
私の中にシエルが眠っている感じだ。
たまに、私が知らないはずなのに言い表せない感情が湧き上がったり、王妃や王族に対して恐怖心があり胸が苦しくなる。
私としては、王族というか王妃に怒りのような、文句をつけギャフンと言わせたい気もするのに、シエル本人が拒絶しているのか、身体が動かせない時がよくある。
両親に王妃からされた事を伝える時にも、言葉が詰まり身体の震えが止まらなかった。
体力も筋力も少なくなったシエルは歩くのもやっとで、結局自室で食べる事となったのだが……。
公爵夫妻と兄弟妹たち、総勢7名プラス使用人たちが私の…シエルの部屋に、料理とともに来たのだった。

「私がシエルお兄様に食べさせてあげたいの!!」
「ミーユ、今日はお母様が先にシエルに食べさせてあげるから、貴方は次にしなさい」
「……。」
可愛い妹、10歳のミーユはすべすべのほっぺをぷくぅーと膨れさせていたが、次は私がするからね!!と言っていた。
お母様はシエルの隣に座り、寂しそうにする公爵…お父様。
一口ずつ数種類のパンと具のある美味しいスープ。
ハムやソーセージ、チーズ入りのオムレツっぽいものや数多くの料理を、一口ずつ味わった。
どれもこれも美味しい。
デザートの小さめのチョコレートケーキ?も二口くらいしか食べられなかったけど、お腹が苦しくなるほどたくさん食べたのは本当に数年ぶりだった。
昨日から涙もろくなっていた。
極度の栄養失調と過労、睡眠不足のシエルは歩くのもおぼつかない状態なので、広い部屋の臨時にセッティングされた食事の為のテーブルと椅子からの移動は、公爵…お父様がシエルをお姫様抱っこしベッドに戻ったのだった。
ものすごく恥ずかしい。
この年で、お姫様抱っこは本当に恥ずかしい。
公爵…お父様はシエルが18歳だと言う事、忘れてしまったのか?

シエルの記憶によるとウォード公爵の家族構成は
シエル・ウォード
ウォード公爵の三男 18歳
紺色の髪、紫の瞳

ローマン・ウォード 37歳 公爵
オリビア・ウォード 36歳 公爵夫人

エドワード 長男  20歳
ライル   次男  19歳
シエル   三男  18歳←ここ
ルイリー  四男  17歳
ミーユ   長女  10歳

ウォード公爵はオリビアお母様と貴族には珍しい恋愛結婚をした。
オリビアお母様はベルウッド侯爵の長女。
国王と公爵夫妻は同級生。
女性が少ない世界だから、女性が生まれると身分を問わずほとんどが王族で大切に育てられ、国王や王子と婚姻するそうだ。
お母様も国王との婚約が囁かれていたらしいけれど、お母様は公爵であるお父様を選んだ。
選んだ理由は、"ほっとけなかったから"だそうだ。
何がほっとけなかったのかは、わからない。
二人は美男美女だ。
紫がかったネイビーブルーのシエルの髪に対して、お父様は黒に近いダークブルーの髪色に、真紫の瞳。お母様は、綺麗なアイスブルーの髪色に新緑のような緑色の瞳をしている。

兄たちも濃淡はあるものの青系の髪色と紫か緑の瞳をしている。
妹のミーユだけ銀髪に紅い瞳をしているが、うさぎのように可愛く、アルビノ?なのか病弱なのもあり、家族全員がミーユに対して過保護になっていた。
貴重な女性だから王家で引き取り育てると国王に言われたらしいが、公爵夫妻は猛反対した。
王族にはひけをとらない位の潤沢な資金も優秀な医師たちもいるので、王家には渡さないと言い切っていた。
婚約の打診もきたが、子どもが決める事であって親が決める事ではないとバッサリ断ったのだった。
成人した時、本人の意思で婚約や結婚をすると、言い切ったそうだ。
まぁ、0歳児で婚約とか両親のもとから引き離すとかありえない。
この世界では当たり前でも、無理!!
公爵と王族は仲が悪くなったるんじゃないのか?と思ったが、公爵夫妻は同級生だから大丈夫と楽観視していた。
だが実際には、危惧していたことが本当になったわけだが……。
特に王妃が公爵夫人…つまりオリビアお母様に対してかなり嫉妬していたのだった。
我が子に激甘な王妃は、王子の言う事に否定せず幼い頃のシエルとの婚約を仕方なく受理した。
内心では、王族なのだから女性を娶るのは当たり前なのに、格下の身分であるオリビアお母様の息子を婚約"候補"として扱い続けていた。
その王子は男爵令嬢に惚れるのだが……。
このサンブック国だけではなく、この世界そのものが女性が少ない状態。
女性は貴重で大切、発言力も高く、ほぼ王族に保護されそのまま婚約と結婚をするので地位も高くなるのだった。まれに王妃な女性もおり、プライドも身分の高さからも自分より身分が下の者に対して強気に当たることもあり、王妃のように孤立してしまうことが多いらしい。

数日間は、体力と筋力が落ちたシエルはベッドとトイレの往復ばかりしていた。
ベッドの上で、こっそり筋トレしようと思ったがすぐに息切れし筋肉がほとんどないのに筋肉痛になってしまった。
自分自身というかシエルとなった私には、チートはないのか?と思い、と心の中でつぶやいてみた。

ポンッと青みがかった四角い所に名前と年齢、体力や魔力などの情報がのっていた。

シエル・ウォード
ウォード公爵の三男  18歳
(過労・栄養失調・衰弱死の為、元看護師30代(過労死)名前消去済みと融合中)
紺色の髪、紫の瞳

体力     17
魔力               99
器用               72
素早さ            50
運                  99
物理防御   72
魔法防御   73

剣術     49
棒術     31
投擲     41

創造魔法       SSS
アイテムボックス   SSS   
腐ェニックス神の加護

99がマックスなのか?
平均がわからないからこの数値が良いのかどうかは、わからなかった。
創造魔法?
魔法は火とか水とかだよな?全属性とかあるのかな?
礼儀作法、剣術とかは暴力だろうと思うほど殴られたけど、魔法?習った覚えはない。
なぜだ?
これも王妃の仕業なのはわかるが……。
学園にもほぼ通った記憶がない。
いや、学園に在籍してるはずなのに魔法系の授業は受けてない。
魔力はあるのに、魔法が使えないのか?
おかしい?
魔法と剣の世界で、魔法が使えないって事あるのか?
でもステータス画面にはちゃんと創造魔法って書いてある。
これは、火や水、木とか土、あと回復魔法とかは別物なのか?
回復魔法とかヒーラー?すごく便利そうだし、異世界もの定番の生活魔法とか使ってみたい。
冒険者になるのもいいし、王家と関わらない生活がしたい。早く体力を取り戻して、家を出よう!!
シエルは、使用人にイタズラでさすまされないような悪意?をぶつけ怪我をさせていた事もあるし、覚えてる使用人や見覚えのない使用人にも、謝罪と感謝の気持ちを伝えた。
許してもらえるとは思わないが、した事は戻らない。
体力とこの世界での常識をある程度覚えたら、この家を出て、冒険者登録しようと思った。
家族と距離を取りつつ、公爵邸の図書館並みの図書室に通い、こっそり体力作りもした。
あとは、書き置きと数日分の着替え。
庭を散歩しながら家出の為の、逃走。
冒険者ギルドの場所もこっそり調べた。
逃走資金は、お金の勉強をしたいと言い一通りの実物のお金を見せてくれた公爵…お父様。

銅貨  10円
大銅貨  100円
銀貨   千円
金貨   1万円
白金貨 10万円

実際のお金を見た後、お小遣いとしてもらったシエル。
所持金11万1110円
「ありがとうございますお父様」
「欲しい物があれば言いなさい。すぐに商人を呼ぶから遠慮はするな」
今まで王宮で辛い思いをさせてすまなかった、と公爵様は私の中にいるシエルに謝っていた。
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