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4、シエルの過去、王妃の過去
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私はいつのまにか異世界転生?をしたらしい。
過去の自分はたぶん男で、看護師をしていたはず。
患者様とコミュニケーションをとり、休みらしい休みもなく働いていた、はず。
早く退院したがる患者様の中には、重病を抱える患者様も確かにいた。
食が細く、あまり美味しくもないうす味の病院食を必死に食べていた。そして、暇を持て余していた入院生活の少女は、乙女ゲームとやらにハマっていた。
パッケージと冊子を読んだらしい10代の少女は、少し興奮しただけでも呼吸が苦しくなり、酸素マスクをよくしていた。
早くゲームしたいと言い、目を閉じながら話してくれた。
そのゲームは学園ものの小説が元となり、夢と魔法と剣、そして恋愛シミュレーションゲームだった。
成人は15歳、なのに学園は15歳から18歳の3年間。
おかしい?おかしくないか?
成人してから3年間の学園生活?!
それなら成人年齢は18歳でいいのでは?と思ってるのは私だけなのか?
ご都合主義の矛盾だらけでも、お構いなしのゲーム世界なのか?
攻略キャラは、王子とか大商人から貴族、隠しキャラもいるらしい。
ヒロインは、ピンク系で固められたゴスロリの美少女か美少年だそうだ。
女性2割、男性8割の世界で同性婚ありのBL要素ありのゲームらしい。
どうやら患者様が教えてくれたゲームに似ている世界に転生?乗り移り?したようだ。
美少年であるシエルという男の子になった私は、18歳にしては身体が小さく細いと思った。
しかも王子と婚約していたのもびっくりだった。
目覚めてからシエルの想いなどが、頭の中に流れ込んできた。
流れ込んできたシエルの記憶から言える事は、あまりにも酷い、酷すぎるって事だ。
王妃の事どう思っているかと聞かれたら、不敬は承知で、間違いなく大嫌いだと答えたい。
理由は幼い頃からシエルを虐待しているから。
王妃は自分の息子をデロデロに甘やかし、王子は王子でバカなのに勉強はサボるわ剣術もまともに出来ず、語学力はもちろん最悪だ。
サボってる事を咎めず、教師たちの教え方が悪いだの王子が興味を持つように教えろとか、王妃は王妃で歪んでいた。
シエルの王子妃教育もこのバカ王子のせいで始まった。
公爵家の三男であるシエルに、このバカ王子が一目惚れしたらしく、幼いころから婚約したらしい。
王妃としては、少なくなったとは言え女性の妃を当てがいたかったみたいだ。
王子に甘すぎる王妃は、息子の言葉を否定しなかった。それどころか、後押しする形で様々な事をシエルに押し付けてきたのだった。
「僕は勉強嫌いだけど、シエルは僕の為なら勉強もマナーや剣術もがんばれるよね」
「……。」
「だって僕は王子でシエルは公爵の息子だから、僕の方が身分が上でえらいんだから、僕のために色々してくれるのは当たり前なんだよ」
口ごたえすると、王妃が扇などで頭や服に隠れる所を叩いたり叱責したりしてきた。
王妃の顔を見ただけで言葉が出なくなるシエル。
王子の婚約者としての厳しい王妃の教育も幼少の頃から受けさせられていた。
公爵夫妻たちも黙ってはいなかったが、抗議したとかなんとかで、服で隠れる所を執拗に叩かれたり言葉の暴力も増えていった。
シエルも公爵夫妻に王妃にされた事を言わなくなり沈黙をつらぬいた。
兄弟と妹は、公爵令息と公爵令嬢としての教育を受けているのだけど、なぜか羨ましく思ってしまったシエル。
10歳を過ぎた頃から王妃から更に厳しい教育と礼儀作法を受けるようになっていった。
教育途中、体調不良になり熱が出てしまっても、怠んでいると言われ、教育を受けていた。
シエルは何度か倒れてしまったが、公爵家には連絡されず泊まりでの教育として長時間の無理矢理詰め込まれた知識やマナーで、体調は更に悪化した。
見かねた王妃の使用人がこっそり助けてくれたが、助けてくれた使用人は、シエルの体調が戻った時には辞めさせられていた。
泊まりでの教育は嫌だったが、それを拒むと次の教育が一段と厳しくなったから、仕方がなかった。
逃げられなかったシエル。
王子妃候補になれただけでもありがたいと思いなさい!!
兄弟が多いだけの三男の貴方が王族の一員になれるんだから、それ相応の努力をしなさい!!
私の息子に気に入られてるんだから、もっと努力しなさい!!と繰り返し王妃に言われ続けていた。
逃げたいのに、逃げられない。
人前では、人が変わったかのように優しくしてくる王妃が気持ち悪かった。
女性とはこんなものかと思ってしまった……。
王妃主催のお茶会も苦痛でしかなかった。
きちんとしたマナーと王妃の言いつけを守った。
甘いお菓子は食べてはいけない。
甘いものは太りやすいし、高級品だからとか、お客様用だから貴方は食べてはいけないと厳しく言われていた。
お茶会で何も食べないのもマナー違反とかなんとかで、自分が座るテーブルにはいつも王子妃候補専用の色鮮やかな野菜を挟んだだけの小さなサンドイッチがあった。
一度、王子妃専用のサンドイッチを間違えてとって食べた少女がいたが、あまりの不味さに飲み込めず泣きそうになっていた。
その後の王妃主催のお茶会で、その少女を見る事はなかった。
苦いしあまり食べたくなかったが、我慢しながら二口ほどで食べきれるミニサンドイッチを、王妃に言われた通り4口か5口で食べ、こっそり紅茶で流し込んでいた。
紅茶だけは、お客様と一緒だからそこそこ高級品で美味しいと思えた。
ミルクとお砂糖は入れてはいけないと言われていたので、甘いものとはどんな味なんだろうと幼なげな自分の中のシエルは思っていた。
公爵邸に帰ると気が緩み、うっぷんを晴らすかのようにわがままやイタズラを使用人たちにしでかしていた。
そんなシエルを兄弟と妹は遠巻きに見ているだけだった。
嫌われているのはわかっていたので、夕食は家族全員でなるべく取るようにしていた公爵家だったが、シエルは様々な理由を付け自室で一人で食べる事が多かった。
公爵邸の食事はいつも王宮の食事とはかなり違って豪華だった。
小ぶりだが3~4種類のパン、具のある美味しいスープ、お肉やお魚に、野菜が添えられた食事。
飲み物はミルクが多かった。
どれもこれも美味しい食事だったけど、胃が小さくなっていたからか、あまり食べられないシエル。
食べたいのに食べられないシエルはいつも中途半端に残しお腹がいっぱいになるのだった。
家族からは、シエルの事をよくは思われていないだろう。
兄弟からわがままで偏食ばかりしているから身体が小さいんだと言われた事もあった。
更に年を重ねるごとに王宮に泊まることも多くなった。
自分が公爵家に帰ると王妃はなぜか不機嫌になっていたそうだ。
それを勘違いした王妃専属の一部の使用人たちから、公爵家に帰ったシエルをたびたび連れ戻していた。
第一王子と王妃に気に入られているウォード公爵家の三男周りからそう思われているようだった。
15歳の成人になってからは、ほぼ毎日王宮の使用人部屋にいた。
太った王子妃候補はみっともないとの事でさらに食事制限されていた。
基本は朝と夕に小さなパン一つと具がない薄いスープだけ。たまにサラダが付いてくるがめったに付かなかった。
昼は何種類かの紅茶の味を覚える為、お菓子なしの紅茶のみのお茶会。
王妃が酷く荒れることが多くなったのは、シエルが10歳を過ぎた頃だった。
側室である第二妃と第三妃に子どもが立て続けに産まれたのだった。
そのあとも、側室たちは2人と3人の子が出来ていた。国王と王妃、そして18歳となったシエルと王子の仲は冷め切っていた。
王族の子どもは5人の王子と1人の王女になっていた。
王妃と国王は政略結婚をし子をもうけたが、かなり不仲だった。
しかも国王は王妃を無視する形で2人の側室の所によく通っていた。
王妃はもともとが隣国の王女でプライドも高かった。
自分が一番じゃないと激しく怒り、隣国でも嫌われがちだったらしい。
国と国を繋ぐ為、年齢的に合うのが隣国の王妃だった為、ほぼ強制的に選ばれ嫁がせられたのだった。
王妃には好きな人がいたらしいが身分差の為、認められず諦められないまま政略結婚させられた。
不仲のまま結婚した王妃と国王。
2年経っても子どもは出来ず、周りから責められていた王妃。子を作るのは義務として、側室を2人迎えることになった国王に厳しい目をする事が多くなったらしい。
3年目にしてやっと出来た王子を甘やかし可愛がっていた。
そんな可愛い息子が、女の子ではなく男であるシエルを選んだ事も気に入らなかったらしい。
同年代の公爵と公爵夫人は貴族としては珍しい恋愛結婚。夫婦仲も良く、子だくさん。
美男美女の夫婦に、美形の子どもたち。
羨ましくもあり妬ましい。
王妃の心は荒れていき、我が子を溺愛しながら公爵家の三男を妬みの対象にした。
極度の食事制限、厳しすぎる虐待並みの長時間の教育。
息子に当てた教師陣に1日の大半、勉強をシエルにさせていた。
王子妃候補として服装も質素にするように言われ、感情を表情に出さないように教育された。
卒業間近のプロフの日も、制服で出るように言われたシエルは王妃の言う通りにした。
そんな事を知らない王子は、シエルを根暗で愛想がなく、面白みがないやつだと思っていた。
着飾る事もせず、いつも貧乏じみた服装をしているから王子である自分の横に立つにはふさわしくないとまで思うようになっていた。
そんな中、偶然学園の食堂で出会った男爵令嬢に惹かれていったのだった。
学園で行動を共にする事が多くなりどんどん惹かれていった王子。
言葉に出さないものの男爵令嬢が可愛いくて、シエルがだんだんと邪魔になっていた。
月に2回程の王子とシエルのお茶会。
シエルは愛想もなく面白い会話もない、ただ紅茶だけを飲むシエルに興味がなくなった王子。
そのお茶会もサボるようになった王子。
約束をすっぽかされたシエルは、一人でポツンと王宮の中庭でひたすら待ち続ける事もよくあった。
睡眠時間を削り厳しい王子妃教育を受け続け、食事もろくに与えられないシエルはまた倒れてしまった。
だが今回のシエルは、栄養失調と寝不足、心身共に弱り過労死したのだった。
そこに私が入り込んだようだ。
転生なのか乗り移りなのかはわからないが、シエルの想いや頑張りは私の中にいる。
これからは自由に一緒に生きよう!!
私はニセモノのシエルになったけど、やっと王族から解放されたんだから、これからは好きな事を一緒にしよう!!
過労死したもの同士、仲良く生きよう。
何をする?何がしたい?うーん、何をしようかな?
とりあえず睡眠不足解消しようか。
家族仲は良さそうだけど、君と家族仲を改善してみる?
営業スマイル、愛想笑いやコミュニケーションはまあまあ得意だよ。
18歳になりきれるかは、わからないけどそれなりに頑張りすぎないよう頑張るつもりだから、よろしく。
さあ、とにかく眠たいから寝よう。
明日はゆっくり朝寝坊して、のんびりしようなシエル。
あっ、倒れたシエルを助けてくれたアロン・ローレンスさん…アロン様にきちんとお礼がしたいな。
とりあえず、おやすみなさい。
過去の自分はたぶん男で、看護師をしていたはず。
患者様とコミュニケーションをとり、休みらしい休みもなく働いていた、はず。
早く退院したがる患者様の中には、重病を抱える患者様も確かにいた。
食が細く、あまり美味しくもないうす味の病院食を必死に食べていた。そして、暇を持て余していた入院生活の少女は、乙女ゲームとやらにハマっていた。
パッケージと冊子を読んだらしい10代の少女は、少し興奮しただけでも呼吸が苦しくなり、酸素マスクをよくしていた。
早くゲームしたいと言い、目を閉じながら話してくれた。
そのゲームは学園ものの小説が元となり、夢と魔法と剣、そして恋愛シミュレーションゲームだった。
成人は15歳、なのに学園は15歳から18歳の3年間。
おかしい?おかしくないか?
成人してから3年間の学園生活?!
それなら成人年齢は18歳でいいのでは?と思ってるのは私だけなのか?
ご都合主義の矛盾だらけでも、お構いなしのゲーム世界なのか?
攻略キャラは、王子とか大商人から貴族、隠しキャラもいるらしい。
ヒロインは、ピンク系で固められたゴスロリの美少女か美少年だそうだ。
女性2割、男性8割の世界で同性婚ありのBL要素ありのゲームらしい。
どうやら患者様が教えてくれたゲームに似ている世界に転生?乗り移り?したようだ。
美少年であるシエルという男の子になった私は、18歳にしては身体が小さく細いと思った。
しかも王子と婚約していたのもびっくりだった。
目覚めてからシエルの想いなどが、頭の中に流れ込んできた。
流れ込んできたシエルの記憶から言える事は、あまりにも酷い、酷すぎるって事だ。
王妃の事どう思っているかと聞かれたら、不敬は承知で、間違いなく大嫌いだと答えたい。
理由は幼い頃からシエルを虐待しているから。
王妃は自分の息子をデロデロに甘やかし、王子は王子でバカなのに勉強はサボるわ剣術もまともに出来ず、語学力はもちろん最悪だ。
サボってる事を咎めず、教師たちの教え方が悪いだの王子が興味を持つように教えろとか、王妃は王妃で歪んでいた。
シエルの王子妃教育もこのバカ王子のせいで始まった。
公爵家の三男であるシエルに、このバカ王子が一目惚れしたらしく、幼いころから婚約したらしい。
王妃としては、少なくなったとは言え女性の妃を当てがいたかったみたいだ。
王子に甘すぎる王妃は、息子の言葉を否定しなかった。それどころか、後押しする形で様々な事をシエルに押し付けてきたのだった。
「僕は勉強嫌いだけど、シエルは僕の為なら勉強もマナーや剣術もがんばれるよね」
「……。」
「だって僕は王子でシエルは公爵の息子だから、僕の方が身分が上でえらいんだから、僕のために色々してくれるのは当たり前なんだよ」
口ごたえすると、王妃が扇などで頭や服に隠れる所を叩いたり叱責したりしてきた。
王妃の顔を見ただけで言葉が出なくなるシエル。
王子の婚約者としての厳しい王妃の教育も幼少の頃から受けさせられていた。
公爵夫妻たちも黙ってはいなかったが、抗議したとかなんとかで、服で隠れる所を執拗に叩かれたり言葉の暴力も増えていった。
シエルも公爵夫妻に王妃にされた事を言わなくなり沈黙をつらぬいた。
兄弟と妹は、公爵令息と公爵令嬢としての教育を受けているのだけど、なぜか羨ましく思ってしまったシエル。
10歳を過ぎた頃から王妃から更に厳しい教育と礼儀作法を受けるようになっていった。
教育途中、体調不良になり熱が出てしまっても、怠んでいると言われ、教育を受けていた。
シエルは何度か倒れてしまったが、公爵家には連絡されず泊まりでの教育として長時間の無理矢理詰め込まれた知識やマナーで、体調は更に悪化した。
見かねた王妃の使用人がこっそり助けてくれたが、助けてくれた使用人は、シエルの体調が戻った時には辞めさせられていた。
泊まりでの教育は嫌だったが、それを拒むと次の教育が一段と厳しくなったから、仕方がなかった。
逃げられなかったシエル。
王子妃候補になれただけでもありがたいと思いなさい!!
兄弟が多いだけの三男の貴方が王族の一員になれるんだから、それ相応の努力をしなさい!!
私の息子に気に入られてるんだから、もっと努力しなさい!!と繰り返し王妃に言われ続けていた。
逃げたいのに、逃げられない。
人前では、人が変わったかのように優しくしてくる王妃が気持ち悪かった。
女性とはこんなものかと思ってしまった……。
王妃主催のお茶会も苦痛でしかなかった。
きちんとしたマナーと王妃の言いつけを守った。
甘いお菓子は食べてはいけない。
甘いものは太りやすいし、高級品だからとか、お客様用だから貴方は食べてはいけないと厳しく言われていた。
お茶会で何も食べないのもマナー違反とかなんとかで、自分が座るテーブルにはいつも王子妃候補専用の色鮮やかな野菜を挟んだだけの小さなサンドイッチがあった。
一度、王子妃専用のサンドイッチを間違えてとって食べた少女がいたが、あまりの不味さに飲み込めず泣きそうになっていた。
その後の王妃主催のお茶会で、その少女を見る事はなかった。
苦いしあまり食べたくなかったが、我慢しながら二口ほどで食べきれるミニサンドイッチを、王妃に言われた通り4口か5口で食べ、こっそり紅茶で流し込んでいた。
紅茶だけは、お客様と一緒だからそこそこ高級品で美味しいと思えた。
ミルクとお砂糖は入れてはいけないと言われていたので、甘いものとはどんな味なんだろうと幼なげな自分の中のシエルは思っていた。
公爵邸に帰ると気が緩み、うっぷんを晴らすかのようにわがままやイタズラを使用人たちにしでかしていた。
そんなシエルを兄弟と妹は遠巻きに見ているだけだった。
嫌われているのはわかっていたので、夕食は家族全員でなるべく取るようにしていた公爵家だったが、シエルは様々な理由を付け自室で一人で食べる事が多かった。
公爵邸の食事はいつも王宮の食事とはかなり違って豪華だった。
小ぶりだが3~4種類のパン、具のある美味しいスープ、お肉やお魚に、野菜が添えられた食事。
飲み物はミルクが多かった。
どれもこれも美味しい食事だったけど、胃が小さくなっていたからか、あまり食べられないシエル。
食べたいのに食べられないシエルはいつも中途半端に残しお腹がいっぱいになるのだった。
家族からは、シエルの事をよくは思われていないだろう。
兄弟からわがままで偏食ばかりしているから身体が小さいんだと言われた事もあった。
更に年を重ねるごとに王宮に泊まることも多くなった。
自分が公爵家に帰ると王妃はなぜか不機嫌になっていたそうだ。
それを勘違いした王妃専属の一部の使用人たちから、公爵家に帰ったシエルをたびたび連れ戻していた。
第一王子と王妃に気に入られているウォード公爵家の三男周りからそう思われているようだった。
15歳の成人になってからは、ほぼ毎日王宮の使用人部屋にいた。
太った王子妃候補はみっともないとの事でさらに食事制限されていた。
基本は朝と夕に小さなパン一つと具がない薄いスープだけ。たまにサラダが付いてくるがめったに付かなかった。
昼は何種類かの紅茶の味を覚える為、お菓子なしの紅茶のみのお茶会。
王妃が酷く荒れることが多くなったのは、シエルが10歳を過ぎた頃だった。
側室である第二妃と第三妃に子どもが立て続けに産まれたのだった。
そのあとも、側室たちは2人と3人の子が出来ていた。国王と王妃、そして18歳となったシエルと王子の仲は冷め切っていた。
王族の子どもは5人の王子と1人の王女になっていた。
王妃と国王は政略結婚をし子をもうけたが、かなり不仲だった。
しかも国王は王妃を無視する形で2人の側室の所によく通っていた。
王妃はもともとが隣国の王女でプライドも高かった。
自分が一番じゃないと激しく怒り、隣国でも嫌われがちだったらしい。
国と国を繋ぐ為、年齢的に合うのが隣国の王妃だった為、ほぼ強制的に選ばれ嫁がせられたのだった。
王妃には好きな人がいたらしいが身分差の為、認められず諦められないまま政略結婚させられた。
不仲のまま結婚した王妃と国王。
2年経っても子どもは出来ず、周りから責められていた王妃。子を作るのは義務として、側室を2人迎えることになった国王に厳しい目をする事が多くなったらしい。
3年目にしてやっと出来た王子を甘やかし可愛がっていた。
そんな可愛い息子が、女の子ではなく男であるシエルを選んだ事も気に入らなかったらしい。
同年代の公爵と公爵夫人は貴族としては珍しい恋愛結婚。夫婦仲も良く、子だくさん。
美男美女の夫婦に、美形の子どもたち。
羨ましくもあり妬ましい。
王妃の心は荒れていき、我が子を溺愛しながら公爵家の三男を妬みの対象にした。
極度の食事制限、厳しすぎる虐待並みの長時間の教育。
息子に当てた教師陣に1日の大半、勉強をシエルにさせていた。
王子妃候補として服装も質素にするように言われ、感情を表情に出さないように教育された。
卒業間近のプロフの日も、制服で出るように言われたシエルは王妃の言う通りにした。
そんな事を知らない王子は、シエルを根暗で愛想がなく、面白みがないやつだと思っていた。
着飾る事もせず、いつも貧乏じみた服装をしているから王子である自分の横に立つにはふさわしくないとまで思うようになっていた。
そんな中、偶然学園の食堂で出会った男爵令嬢に惹かれていったのだった。
学園で行動を共にする事が多くなりどんどん惹かれていった王子。
言葉に出さないものの男爵令嬢が可愛いくて、シエルがだんだんと邪魔になっていた。
月に2回程の王子とシエルのお茶会。
シエルは愛想もなく面白い会話もない、ただ紅茶だけを飲むシエルに興味がなくなった王子。
そのお茶会もサボるようになった王子。
約束をすっぽかされたシエルは、一人でポツンと王宮の中庭でひたすら待ち続ける事もよくあった。
睡眠時間を削り厳しい王子妃教育を受け続け、食事もろくに与えられないシエルはまた倒れてしまった。
だが今回のシエルは、栄養失調と寝不足、心身共に弱り過労死したのだった。
そこに私が入り込んだようだ。
転生なのか乗り移りなのかはわからないが、シエルの想いや頑張りは私の中にいる。
これからは自由に一緒に生きよう!!
私はニセモノのシエルになったけど、やっと王族から解放されたんだから、これからは好きな事を一緒にしよう!!
過労死したもの同士、仲良く生きよう。
何をする?何がしたい?うーん、何をしようかな?
とりあえず睡眠不足解消しようか。
家族仲は良さそうだけど、君と家族仲を改善してみる?
営業スマイル、愛想笑いやコミュニケーションはまあまあ得意だよ。
18歳になりきれるかは、わからないけどそれなりに頑張りすぎないよう頑張るつもりだから、よろしく。
さあ、とにかく眠たいから寝よう。
明日はゆっくり朝寝坊して、のんびりしようなシエル。
あっ、倒れたシエルを助けてくれたアロン・ローレンスさん…アロン様にきちんとお礼がしたいな。
とりあえず、おやすみなさい。
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