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最初の一音を鳴り響かせて、旋律の波を広げるイメージをした。そして、夏樹の歌声が波に乗せられた。その歌詞は意外なものだった。楽しい表現が出されると予想したのに、悲しいものだった。
「全ては偽物だと言った。いつか会えなくなっても……、君しかいない……」
サビに進んでも、悲しいものが続いていく。 夏樹はこう言っていた。黒崎さんとの出会いから今までを歌うと。つまり、出会ったばかりの時は不安定だったのかと思った。どうやって、今の関係になったのだろうか。夏樹の歌声が、俺と両親との関係に重なった。
ピアノの旋律が波なら、歌声は波に浮かぶ船だ。同じ海を渡っている。いつか同じ岸にたどり着けるのだろうか。夏樹の張り上げた声が、流れるようにして旋律に絡み合っていく。
「未来も信じられる……、大切にしてきたものは大きくてー」
2人が岸に辿り着いたようだ。安心していると、サビの部分へ入った。どんな展開になるのだろう?まるで観客になった気分だ。この後の展開を楽しんでいる。夏樹が大きく息を吸い、歌声が絡み合っていく。そして、祈りの言葉が歌詞に入った。
私たちの罪を許してください、私たちが彼らを許すようにというものだ。どうしてこんな歌詞が出てくるのだろう? さっきは未来を感じられるものだったのに。そうか、夏樹の昔の出来事を指しているのかと思った。
両親の存在にこだわり続けている自分には、きっと歌えないだろう。いや、そう思っているから、出来なのだろう。呪いをかけているのは自分自身だ。今夜、父に電話をしよう。音楽をやり続けることを伝えよう。曲がサビの部分に差し掛かり、気持ちが高揚した。
「あの日のキミは~、九条ネギ~、豆腐の値段でケンカした~、エロじじいー」
「ええええ!?」
どうしよう?思わず声を上げてしまった。さらに面白い歌詞が歌われていく。今の夏樹達の関係なのだろう。俺は込み上げて来た笑いを押し殺した。ここで笑うと台無しになる気がするが、腹まで揺れてきた。ラストに向けて盛り上がっていき、歌声がキッチンの方へ響き渡った。
「メッセージカードで団扇を作ってやったー、俺の部屋にー、置いてあるー」
ポロン……。最後のフレーズを弾いた後、僅かな間をおいて拍手が起きた。悲しくて前向きであり、本当に個性的な歌詞だった。こんなものを聞いたことがない。夏樹らしくていいと思った。
「夏樹。他の曲にも歌詞を書いてよ!桜木さん、ライブでやろうよ。バンドコンテストでも使いたいです」
「うん。頑張ろうね!」
桜木さんが満開の笑顔を浮かべた。黒崎さんが笑っている。それなのに、夏樹はぼんやりしたままだ。さすがに心配になり声をかけた後、夏樹が黒崎さんのこと見つめて笑った。黒崎さんも同じように笑っている。
「見つけたよ……。黒崎さん、見つけたよ!歌をやりたい!」
「さっきの嫌味な歌詞は置いておく。歌っている時が、一番いい顔をしている」
「うん。悠人。俺は、やり続けたいものを探していたんだ。色んな事に手を出して来たけど、どれもピンと来なかったんだ。これからは、悠人が作った曲に歌詞を付けたいんだ!」
「もちろんだよー。やろうよ。まだ他にもあるよー」
「うん。ずっと歌っていくからね!」
夏樹と手を取り合った。彼も探していた物があったのか。その行き着いた先が俺の作った曲だなんて嬉しい。大学1年生の6月9日。この日が俺達にとっての記念日になった。
「全ては偽物だと言った。いつか会えなくなっても……、君しかいない……」
サビに進んでも、悲しいものが続いていく。 夏樹はこう言っていた。黒崎さんとの出会いから今までを歌うと。つまり、出会ったばかりの時は不安定だったのかと思った。どうやって、今の関係になったのだろうか。夏樹の歌声が、俺と両親との関係に重なった。
ピアノの旋律が波なら、歌声は波に浮かぶ船だ。同じ海を渡っている。いつか同じ岸にたどり着けるのだろうか。夏樹の張り上げた声が、流れるようにして旋律に絡み合っていく。
「未来も信じられる……、大切にしてきたものは大きくてー」
2人が岸に辿り着いたようだ。安心していると、サビの部分へ入った。どんな展開になるのだろう?まるで観客になった気分だ。この後の展開を楽しんでいる。夏樹が大きく息を吸い、歌声が絡み合っていく。そして、祈りの言葉が歌詞に入った。
私たちの罪を許してください、私たちが彼らを許すようにというものだ。どうしてこんな歌詞が出てくるのだろう? さっきは未来を感じられるものだったのに。そうか、夏樹の昔の出来事を指しているのかと思った。
両親の存在にこだわり続けている自分には、きっと歌えないだろう。いや、そう思っているから、出来なのだろう。呪いをかけているのは自分自身だ。今夜、父に電話をしよう。音楽をやり続けることを伝えよう。曲がサビの部分に差し掛かり、気持ちが高揚した。
「あの日のキミは~、九条ネギ~、豆腐の値段でケンカした~、エロじじいー」
「ええええ!?」
どうしよう?思わず声を上げてしまった。さらに面白い歌詞が歌われていく。今の夏樹達の関係なのだろう。俺は込み上げて来た笑いを押し殺した。ここで笑うと台無しになる気がするが、腹まで揺れてきた。ラストに向けて盛り上がっていき、歌声がキッチンの方へ響き渡った。
「メッセージカードで団扇を作ってやったー、俺の部屋にー、置いてあるー」
ポロン……。最後のフレーズを弾いた後、僅かな間をおいて拍手が起きた。悲しくて前向きであり、本当に個性的な歌詞だった。こんなものを聞いたことがない。夏樹らしくていいと思った。
「夏樹。他の曲にも歌詞を書いてよ!桜木さん、ライブでやろうよ。バンドコンテストでも使いたいです」
「うん。頑張ろうね!」
桜木さんが満開の笑顔を浮かべた。黒崎さんが笑っている。それなのに、夏樹はぼんやりしたままだ。さすがに心配になり声をかけた後、夏樹が黒崎さんのこと見つめて笑った。黒崎さんも同じように笑っている。
「見つけたよ……。黒崎さん、見つけたよ!歌をやりたい!」
「さっきの嫌味な歌詞は置いておく。歌っている時が、一番いい顔をしている」
「うん。悠人。俺は、やり続けたいものを探していたんだ。色んな事に手を出して来たけど、どれもピンと来なかったんだ。これからは、悠人が作った曲に歌詞を付けたいんだ!」
「もちろんだよー。やろうよ。まだ他にもあるよー」
「うん。ずっと歌っていくからね!」
夏樹と手を取り合った。彼も探していた物があったのか。その行き着いた先が俺の作った曲だなんて嬉しい。大学1年生の6月9日。この日が俺達にとっての記念日になった。
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