海のそばの音楽少年~あの日のキミ

夏目奈緖

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 打ち上げには佐久弥の恋人の伊神蔵之介いがみくらのすけさんも来ていて、佐久弥の隣に座っていた。とても仲が良さそうだった。そのことを言いたいのでは無いだろうか。そうなると、俺としては嫉妬してしまう。

「裕理さーん。蔵之介さんと佐久弥が仲よさそうだったから、妬いているんじゃないの?昔の恋人は、今でも自分を好きなはずだって思っている男がいるらしいよ?」
「そうじゃない。佐久弥が君に料理を取って貰っていた。そういうことをさせるのは、蔵之介しかいない」
「そういえば、佐久弥からこんなことを言われたよ。俺なら寂しい思いはさせない。どこにでも連れて行くって。男らしいと思ったよ。かっこいい」
「ほらね。君は佐久弥のことが好きになっている」
「ヤキモチを妬くなって!もうーーー」

 俺の方からキスをした。すると、早瀬が拗ねたような顔になった。初めて聞く話があったからだという。どこでも連れて行くと言われたことのことだ。早瀬はどこにも連れて行かなかったということなのだろうか。それでは寂しいだろう。今の早瀬とは反対だ。俺とはどこにでも一緒に行くからだ。しかし、それは無理をしているのではないだろうか。たまには一人になりたいのではないかと思った。

「裕理さん。たまには一人で出かけたいんじゃないの?」
「いいや。君と一緒がいい」
「俺が迷子になるからだよね?」
「それだけじゃない。さあ、慰めてくれ」
「んん……」

 脱がされたTシャツが床の上に落ちた。俺は何も着ていない状態になり、早瀬の体を受け止めた。彼はまだ服を着ているから、生地が肌に当たってくすぐったい。

「脱いでよ」
「もちろん脱ぐ」

 早瀬が起き上がった。そして、上半身裸になった。かっこいい体だと思う。思わず見とれていると、早瀬が笑った。自然な笑顔だ。そして、冗談を言う顔になった。クランユーリの登場だ。

「裕理さん。クランユーリになったね。無理しなくて良いよ」
「そうじゃないと怖いだろう?」
「え?」
「丸かじりだ」
「あ……」

 太ももにキスをされた後、歯を立てられた。思わず息が上がり、声をあげた。早瀬が微笑んだ気配がある。そして、さらに舌を這わされた。

「触るよ」
「ん……」

 起こった刺激に体をすくめた。そして、声をあげた。何度も舌で刺激されて、たまらなくなり、また声をあげた。でも、やめてくれなかった。

「やだ。あ……」
「さあ、足を開いて……」

 体をすくめたときに、足を閉じてしまっていた。早瀬の手が俺の太ももにかかり、足を開いた。そして、体の奥に新しい刺激を感じた。抵抗すると、早瀬の手が痛いかも知れない。なるべく大人しくした。でも、たまらなくなり、また体をすくめた。

「もう、だめだって」
「いいよ」
「何がだよ」
「いいよってこと」

 早瀬の舌に新しい刺激を与えられた。いっそう体が熱くなり、目の前がかすんできた。荒い息を吐いていると、早瀬が起き上がった。そして、俺の足の間に入ってきた。

「君が嫌だって言うから、こっちにする」
「んん……っ」

 息を吐いた。すると、体の奥に熱を感じだ。そして、ゆっくりと揺さぶられ始めた。肌に当たっているソファーも熱くなっている。何度か体勢を変える度にそう思った。天井が揺れている。早瀬の首筋に汗の匂いを感じた。そして、自分の体も汗ばんでいると思った。

「悠人君。大丈夫か?」
「うん……」
「俺のものだろう?」
「裕理さんのものだよ……。あ……」

 また視界がかすんできた。それを伝えると、早瀬が笑った。期待に応えると言った後、揺さぶりが大きくなった。自然と声が大きくなり、早瀬の肩にすがりついた。

 ギシ……。

 ソファーの軋む音がした。早瀨の腕に体を引き上げられて、向かい合わせに座るようにして起き上がった。そして、彼の膝の上に座った。体の奥に熱を感じたままだ。

「悠人……」
「ん……」

 揺さぶりに身を任せた。自然と出てくる声に恥ずかしくなった。それを早瀬が笑っている。笑うなと、荒い息をしながら文句を言い返すと、ごめんと言って、キスをされた。

 だんだんと熱が上がっていく。そして、視界がかすみ、お互いの体の力が抜けた後、何度もキスをされた。愛している。俺はその囁きに頷きながら、目を閉じた。
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