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11月3日、土曜日。午前11時半。
ハロウィンイベントから3日経った。お互いに休みだから、2人で昼食づくりをしている。早瀬が和風パスタを作り、俺の方はトーストを作っている。大葉としらす、チーズを乗せるだけだ。簡単なのに美味しくて、ハマっている。
「裕理さん。もう焼いてもいい?」
「いいよ。2枚だけ焼いて、残りはおかわりする時に焼こう」
「うん。裕理さんが3枚、俺が4枚だね」
あの翌日、バンドのことがテレビで流れた。SNSでも話題になり、同級生から連絡がきた。その時には必ず、早瀬のことを聞かれた。黒崎製菓の主催だから、ギタリストとして出演したことは会社に知られている。会社の方はOKだ。出演の契約をしておらず、観客からの飛び入り参加という建前があるからだ。
それ以外のことで、気になることがある。人力メリーゴーランドにて逃亡した木馬の行方のことだ。平田さんが背負っていたのは甥っ子で、お姉さんがメンバーへ謝っていた。佐久弥が乱入したことや、ステージのことで忘れていた。
「平田さんは、どうなったの?」
「あの後、戻って来たそうだ。好きな子が遊びに来ていて、飛んで行ったのが真相らしい。イベントに何度も誘っていたそうだ」
「へえー、あの格好なら面白いもんねー」
「甥っ子をダシにしたと、メンバーが文句を言っていた。来年は進化させるそうだ。君と佐久弥が入って、盛り上がったからだよ。来年も誘われている」
「喜んで参加するよ。佐久弥は来られるかな?」
「……来てもらう。そうだ、君とバンドを組みたいそうだ」
「げえええっ」
「仲良しだろう?」
「キスしたけどさ。やだよ!あんな毒々しい魔法使い。あ……」
ピコン。スマホから着信音が鳴った。さっと画面を見ると、噂の主からのラインが入っていた。
「ひいいいーー。佐久弥からだよ」
「仲良しだなあ」
「うひぇー?仕事の予定変更で、休みになったんだってー。ご飯を食べに行こうってさ。2人きりでって。やだよ」
「……はっきり断っておけ」
「さっそく送信したよ。……ひいいっ。ここのロビーに着いたって。部屋に上がっても良いかって聞かれているよ」
「どうする?嫌なら断って構わない」
「入ってもらおうよー。疲れているだろうし」
「はいはい。トーストを増やそう」
「迎えに行って来るよ!」
イベントの夜、佐久弥から、夏のイベントでのことを謝られた。本当に悪かったと言っているのが分かった。プライベートでも付き合いたい。たまに食事に行きたいと言われた。俺もそうしたいと思っていた。同じように呪いが掛かっていたのなら、全く気持ちに余裕がなかっただろう。こうして気軽に連絡できる仲になれた。良かったと思った。
ハロウィンイベントから3日経った。お互いに休みだから、2人で昼食づくりをしている。早瀬が和風パスタを作り、俺の方はトーストを作っている。大葉としらす、チーズを乗せるだけだ。簡単なのに美味しくて、ハマっている。
「裕理さん。もう焼いてもいい?」
「いいよ。2枚だけ焼いて、残りはおかわりする時に焼こう」
「うん。裕理さんが3枚、俺が4枚だね」
あの翌日、バンドのことがテレビで流れた。SNSでも話題になり、同級生から連絡がきた。その時には必ず、早瀬のことを聞かれた。黒崎製菓の主催だから、ギタリストとして出演したことは会社に知られている。会社の方はOKだ。出演の契約をしておらず、観客からの飛び入り参加という建前があるからだ。
それ以外のことで、気になることがある。人力メリーゴーランドにて逃亡した木馬の行方のことだ。平田さんが背負っていたのは甥っ子で、お姉さんがメンバーへ謝っていた。佐久弥が乱入したことや、ステージのことで忘れていた。
「平田さんは、どうなったの?」
「あの後、戻って来たそうだ。好きな子が遊びに来ていて、飛んで行ったのが真相らしい。イベントに何度も誘っていたそうだ」
「へえー、あの格好なら面白いもんねー」
「甥っ子をダシにしたと、メンバーが文句を言っていた。来年は進化させるそうだ。君と佐久弥が入って、盛り上がったからだよ。来年も誘われている」
「喜んで参加するよ。佐久弥は来られるかな?」
「……来てもらう。そうだ、君とバンドを組みたいそうだ」
「げえええっ」
「仲良しだろう?」
「キスしたけどさ。やだよ!あんな毒々しい魔法使い。あ……」
ピコン。スマホから着信音が鳴った。さっと画面を見ると、噂の主からのラインが入っていた。
「ひいいいーー。佐久弥からだよ」
「仲良しだなあ」
「うひぇー?仕事の予定変更で、休みになったんだってー。ご飯を食べに行こうってさ。2人きりでって。やだよ」
「……はっきり断っておけ」
「さっそく送信したよ。……ひいいっ。ここのロビーに着いたって。部屋に上がっても良いかって聞かれているよ」
「どうする?嫌なら断って構わない」
「入ってもらおうよー。疲れているだろうし」
「はいはい。トーストを増やそう」
「迎えに行って来るよ!」
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