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ジブリール公爵夫人
しおりを挟むあの公国から脱出出来て本当によかったわ。
人間あそこまで醜くなるなんて思わなかった。
根拠のない噂に踊らされ、自分の国の公子が平民と結婚するのを良しとするなんて。
被害者はブリジットよ。
あの子が妃教育という名の虐待を受けているのを、母親である私が気づかないとでも?
お前たちが許されたのは、ひとえにブリジットの慈悲よ。
両国の関係の緩和。民たちの暮らしの安定。
それを願った彼女の慈悲は無惨にも踏みにじられた。
今でも涙が出てしまうわ。
従妹のローズマリーが後始末のために公国に残ってくれて助かった。
彼女が王国に戻った時、彼らは自分らのツケを払う事になるわ。
「お母様」
鈴を転がすような声が聞こえてくる。
愛しいブリジットがこちらに向かってる。
背後には凛々しく逞しい青年がいる。
彼はローズマリーの乳母兄のノエル将軍だ。
「あらあら。どうしたのブリジット」
「薔薇の砂糖漬け、完成したんです。ぜひお母様も食べてみてくださいな」
「まあ、素敵。ありがとう」
王国に来てから彼女は笑顔が増えていった。
公国という悪環境から離れて王国で暮らしているというのもあるだろう。でもきっとそれだけではないはずだ。
彼女の護衛を勤める、ノエル将軍は真摯で堅実、それでいて人を見る目のある男だ。ローズマリーは堅物でつまらないと言っていたが、男性関係で傷ついたブリジットには彼のような男性がそばにいるだけで過去の傷を癒してくれる存在となるだろう。
後は二人に任せる事にしましょうか……
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