16 / 26
ゴールデンなウィーク
軌道修正
しおりを挟む芳佳さんと別れたのは午後十時を回ってからだった。
そろそろ帰れ、と柾哉さんが促すまで私は芳佳さんと女子トークで盛り上がった。もちろん話題は柾哉さんのことだ。
普段の柾哉さんの様子や仕事中の彼の様子など余すことなく私は芳佳さんに伝えた。なんたって「存在自体が尊い」のだ。もうここまで大きく成長してださっただけで感謝である。
もちろん出逢えなければ私の幸せは半減もそもそも知らないので「人生最大のプレゼントです!」って言ってしまった。芳佳さんは笑っていたけど私は本気でそう思う。
なぜなら柾哉さんに出逢わなければきっと愛される幸せを知らなかったから。甘やかされているのは重々承知だけど、そこは末っ子次女だし仕方ない。昔から甘やかされていたと自覚した以上に彼は私を甘やかしてくれる。
それが負担にならない程度にしてほしいけど、彼を見ている限り今のところそのようには感じない。
芳佳さんからは柾哉さんの幼い頃の話をたくさん聞かせてもらった。お宝情報ザクザクゲットだ。おまけに、「今度アルバム見せてあげるね!」というありがたき幸せも約束された。できれば小さい柾哉さんの写真をいただきたい。絶対可愛いはずだとウキウキする私に芳佳さんは「期待してて」と言い、最後は柾哉さんに呆れられながら連絡先を交換した。
そしてようやく自宅に帰ってきた、んだけど。
「果穂?」
「ひゃい!」
扉が閉まるや否やなんか不穏な雰囲気を感じて飛び上がった。
柾哉さんを見上げれば笑顔の圧が怖い。
「どうして俺が怒ってるかわかってる?」
「…い、色々喋りすぎました?」
柾哉さんが靴を脱いでズンズンと廊下を進む。その後ろをすごすごとついて行くと寝室の扉が開いた。入っていいのかと怖気付いていると彼がくるりと振り返る。おいでと言われて部屋の中に一歩足を踏み入れた。
「それはいい」
「…じゃあどうして?」
肩にかかるジャケットが脱がされた。
ワンピースの肩紐がずらされてパサっと足下に落ちる。
「俺、今日早く二人きりになりたいって言ってたよね?」
帰りの新幹線で、と言われて今更ながらに思い出した。確かにあの時は早く二人になりたくて抱き合いたかった。昨日も一昨日もたくさんシたのに、早く彼と肌を重ねたくてソワソワして…。
「…うん」
Tシャツにショーツのまま彼を見上げた。場違いかもしれないけど、不貞腐れた顔が最高に可愛くてキュンキュンする。
(ま、柾哉さんが拗ねてる…!)
にやけそうになる口元を必死に引き締めていると彼は私のTシャツに手をかけて「万歳して」と優しく命令した。
「姉さんが来たのは突然だったし、優しい果穂が提案にのったのもわかるよ?でもちょっと俺のこと忘れ過ぎじゃない?」
柾哉さんは膝をつくとブラとショーツになった私を抱きしめて胸に顔を埋めた。白い肌に散らばる赤い痕。少し薄くなった赤に重なる紅。胸元に顎を置いて下から見上げてくる彼はおもちゃを取られた小さな子どものよう。
それに加えて故意なのか下半身が密着している。決して薄い布じゃないのに、その布の向こうから主張するソレがぷんすか怒っているように見えた。
(…か、可愛いがすぎる!!渋滞1000km!玉突き事故発生案件…っ!)
「忘れた分ちゃんと返してくれる?」
いい?と絶対断らせない声に小さく頷いた。
何度も貫かれた身体はその瞳に見つめられるだけで期待する。腰を抱く手がいつショーツを脱がしてくるのかと緊張して心拍が上がった。
「ん…」
いつもと姿勢が反対だ。なのに下から突き上がってくる舌が暴力的に思考を鈍らせていく。こぼれ落ちる唾液を互いの咥内で分け合い舌を絡める。彼の首を抱き締めてキスに夢中になっていると、柾哉さんの手がショーツに隠された秘部を撫でた。
「…っぁ、」
期待して敏感になっていた身体はその愛撫に歓声をあげた。もっと触って、と無意識に脚が開いていく。キスをねだり開いた脚で彼の手のひらに下腹部を押し付けると、下から見上げる彼が意地悪く笑った。
「…っ、いじわるっ」
「何もしてないけど?」
撫でていた指の動きが止まる。ただ指がソコに置かれたままはもどかしくて仕方ない。
それなのに「何もしていない」って…!
立派に「焦ら」してるのに…!
すっとぼけた彼はそのまま私をベッドまで運ぶと丁寧に転がした。しかも後ろ向きで。柾哉さんはジャケットや衣服を脱ぎ捨てるとパンツ一枚になった。
「…っや」
「ここ、すごく湿ってる」
クイっと腰を持ち上げられて濡れた箇所が晒された。布地を這う指が意地悪く行ったり来たりするのに、直接触ってこない。それなのに、すでに膨らんで硬くなったソレを後ろから押し付けてくる。
柾哉さんのおかげでいかに自分が我慢強くないか知った。こんなふうに焦らされても我慢できない。掴まれた腰をより高い位置にあげて彼の下腹部に押し付ける。ちょうど秘部が彼の膨らみの一番太い部分に擦れるように腰をしならせた。
「そんなエロいこと誰に教えられたの」
「ま、柾哉さん」
「んー?」
「だってこうしたら“くれる”って言ったもん」
振り返って見上げた顔は獲物を目の前にした肉食獣のようにギラついていた。欲望を前面に押し出した狩人の目。その目に見つめられてぞわりと腰が疼く。
「…ほしい、の」
彼に抱きつこうと膝立ちになったのに後ろから回された腕に引き寄せられた。ベッドの上に尻餅をつく。しかしそれは彼の足の間。さっきよりも近い距離で妖しく光る瞳とぶつかった。
「なにを?」
「…まさ、」
言葉を塞ぐようにキスが落ちてくる。ブラがずり上げられて押し出された胸の先端を彼の長い指が優しく挟んだ。
「こんなに硬くして」
「だって」
「でもまだだめ。俺がどれだけお預けされたと思う?」
そんなこと言われても…♡♡!
ブラのホックが外されて自由になった膨らみが彼の手のひらで弄ばれた。
口蓋を撫でる肉厚の魔物が息をする暇もないぐらい私に絡みついて離れない。
「果穂」
甘く蕩けた声が脳を揺らす。この声に呼ばれると私はもう彼の言いなりだ。
「もっと脚開いて」
「…っン」
彼の脚が私の膝下に絡みつく。熱い体温に誘導された四肢が素直に開かれた。少し姿勢を崩して柾哉さんに持たれかかったまま、私の脚がM字を作る。
「ここだけ色が違う」
「…っ」
「果穂。どうしてほしいか言って?」
「っ、ちょくせつ、さわってほしい」
「どうやって?」
「…っ、こう、して?」
私は柾哉さんの手を引いて自分のショーツの中に招いた。彼の大きな手が面積の狭いショーツからはみ出る。その画がとてつもなくいやらしくて、下腹部のキュンキュンが止まらない。
「すごい溢れてるけど。俺何もしてないよ?」
「…っだって、」
「ぁあ、ここもこんなに膨らませて」
かわいい、と耳元で囁かれてさらに体内から蜜が溢れ出す。自然と揺れてしまう腰に応えるよう、彼の指が膨らみを挟んでは軽く押し潰してと弄び始めた。外側を可愛がられているうちに内側が寂しくなる。早く指でかき混ぜてほしいのに柾哉さんは意地悪だ。
「果穂、言ってごらん?」
「…っ、ぁ、ぁあああ」
言ってごらん、って言いながら言わせてくれないのはいつもの柾哉さんだ。
だけどいつもならキスをくれるのに今日はキスをくれない。その代わりさっきまで焦らしていた指が弱いところばかり撫でてくる。
下半身が震えて目の前が真っ白に弾け飛んだ。くたりと彼にもたれかかると冷たくなったショーツを脱がされる。
「っ、ぁ、だめっ。まだ、おふろ、ぁあぁああっ♡」
熱く蠢く肉厚の魔物がぐずぐずになったそこを丁寧に舐めとった。
達したばかりの下腹部にまた波が押し寄せる。腰をくねらせて「ちょっと待って」と言ってるのに手加減してくれない。
「ぁっ、ぁああっ、やっ…っ♡♡♡」
彼の頭を太ももで挟みながら抗議すれば舌の動きが激しくなった。立て続けにイッてしまい、下半身の力がもう入らない。
「…まさや、さん…っ」
いつもならそろそろくれるはずなのに、今夜はなかなかその気配がない。
力の入らない腕を広げると「どうしたの」と私を抱きしめてくれた。
「どうして、くれないの」
「果穂がナニをほしいか言わないから」
「…いじわる!」
「いまさら?」
むぅと頬を膨らませば、彼がクスクス笑うだけだ。硬くなったそれを隠している布を脱がそうと手でそれを引っ張ると引っかかっていた指から落ちてパチンと肌をうつ音がした。
「果穂」
「ぬ、脱がしたかったの」
「脱がしてどうしたいの?」
抱きしめられた腕の中でよいしょと脚を彼の腰に引っ掛ける。直接的な単語を避けてどうやって伝えるか考えながら彼を見上げた。
「ココ、に挿れてほしぃ…です」
恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ない。一生懸命言葉にしているのに柾哉さんは私を胸に抱き込むと盛大にため息を吐き出した。
「…本当、小悪魔。いや、もう悪魔。誰だこんなおねだりを教えたのは」
「……柾哉さんしかいないよ?」
「…なら天才すぎだわ」
顔を見合わせて笑いあってどちらからともなく唇を重ねた。
12
あなたにおすすめの小説
地味女だけど次期社長と同棲してます。―昔こっぴどく振った男の子が、実は御曹子でした―
千堂みくま
恋愛
「まりか…さん」なんで初対面から名前呼び? 普通は名字じゃないの?? 北条建設に勤める地味なOL恩田真梨花は、経済的な理由から知り合ったばかりの次期社長・北条綾太と同棲することになってしまう。彼は家事の代償として同棲を持ちかけ、真梨花は戸惑いながらも了承し彼のマンションで家事代行を始める。綾太は初対面から真梨花に対して不思議な言動を繰り返していたが、とうとうある夜にその理由が明かされた。「やっと気が付いたの? まりかちゃん」彼はそう囁いて、真梨花をソファに押し倒し――。○強がりなくせに鈍いところのある真梨花が、御曹子の綾太と結ばれるシンデレラ・ストーリー。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。
結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。
絶対に離婚届に判なんて押さないからな」
既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。
まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。
紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転!
純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。
離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。
それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。
このままでは紘希の弱点になる。
わかっているけれど……。
瑞木純華
みずきすみか
28
イベントデザイン部係長
姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点
おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち
後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない
恋に関しては夢見がち
×
矢崎紘希
やざきひろき
28
営業部課長
一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長
サバサバした爽やかくん
実体は押しが強くて粘着質
秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?
副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
有明波音
恋愛
ホテル・ザ・クラウンの客室課に勤務する倉田澪は、母親から勧められたお見合いをやむなく受けるかと重い腰をあげた矢先、副社長の七瀬飛鳥から「偽装婚約」を提案される。
「この婚約に愛は無い」と思っていたのに、飛鳥の言動や甘々な雰囲気に、つい翻弄されてしまう澪。
様々な横やり、陰謀に巻き込まれながらも
2人の関係が向かう先はーーー?
<登場人物>
・倉田 澪(くらた・みお)
ホテル・ザ・クラウン 客室課勤務
・七瀬 飛鳥(ななせ・あすか)
七瀬ホールディグス 副社長
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・出来事などとは一切関係ありません。
※本作品は、他サイトにも掲載しています。
※Rシーンなど直接的な表現が出てくる場合は、タイトル横に※マークなど入れるようにしています。
元遊び人の彼に狂わされた私の慎ましい人生計画
イセヤ レキ
恋愛
「先輩、私をダシに使わないで下さい」
「何のこと?俺は柚子ちゃんと話したかったから席を立ったんだよ?」
「‥‥あんな美人に言い寄られてるのに、勿体ない」
「こんなイイ男にアピールされてるのは、勿体なくないのか?」
「‥‥下(しも)が緩い男は、大嫌いです」
「やだなぁ、それって噂でしょ!」
「本当の話ではないとでも?」
「いや、去年まではホント♪」
「‥‥近づかないで下さい、ケダモノ」
☆☆☆
「気になってる程度なら、そのまま引き下がって下さい」
「じゃあ、好きだよ?」
「疑問系になる位の告白は要りません」
「好きだ!」
「疑問系じゃなくても要りません」
「どうしたら、信じてくれるの?」
「信じるも信じないもないんですけど‥‥そうですね、私の好きなところを400字詰め原稿用紙5枚に纏めて、1週間以内に提出したら信じます」
☆☆☆
そんな二人が織り成す物語
ギャグ(一部シリアス)/女主人公/現代/日常/ハッピーエンド/オフィスラブ/社会人/オンラインゲーム/ヤンデレ
初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる
ささゆき細雪
恋愛
樹理にはかつてひとまわり年上の婚約者がいた。けれど樹理は彼ではなく彼についてくる母親違いの弟の方に恋をしていた。
だが、高校一年生のときにとつぜん幼い頃からの婚約を破棄され、兄弟と逢うこともなくなってしまう。
あれから十年、中小企業の社長をしている父親の秘書として結婚から逃げるように働いていた樹理のもとにあらわれたのは……
幼馴染で初恋の彼が新社長になって、専属秘書にご指名ですか!?
これは、両片想いでゆるふわオフィスラブなひしょひしょばなし。
※ムーンライトノベルズで開催された「昼と夜の勝負服企画」参加作品です。他サイトにも掲載中。
「Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―」で当て馬だった紡の弟が今回のヒーローです(未読でもぜんぜん問題ないです)。
再会した御曹司は 最愛の秘書を独占溺愛する
猫とろ
恋愛
あらすじ
青樹紗凪(あおきさな)二十五歳。大手美容院『akai』クリニックの秘書という仕事にやりがいを感じていたが、赤井社長から大人の関係を求められて紗凪は断る。
しかしあらぬ噂を立てられ『akai』を退社。
次の仕事を探すものの、うまく行かず悩む日々。
そんなとき。知り合いのお爺さんから秘書の仕事を紹介され、二つ返事で飛びつく紗凪。
その仕事場なんと大手老舗化粧品会社『キセイ堂』 しかもかつて紗凪の同級生で、罰ゲームで告白してきた黄瀬薫(きせかおる)がいた。
しかも黄瀬薫は若き社長になっており、その黄瀬社長の秘書に紗凪は再就職することになった。
お互いの過去は触れず、ビジネスライクに勤める紗凪だが、黄瀬社長は紗凪を忘れてないようで!?
社長×秘書×お仕事も頑張る✨
溺愛じれじれ物語りです!
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる