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第三章.寂寥のお絵かき
12.踊るピエロ
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「アルファとガンマは左右から、デルタは付いてこい」
「『了解!』」
猟犬を解放しながら陣形を組んで狩人たちが接近してくる……双剣を持った二人組が左右に別れ、槍と長剣のコンビがそのまま真っ直ぐこちらに突っ込んで来る。やはり軍属だけあって連携などはお手の物のようだ。
「おい成金ピエロ! 左右は任せた!」
「仕方ねぇな?! 直情ピエロはそのまま進みやがれ!」
左右の双剣使い達をそのまま追い越してカルマンに対処を任せ、自分はそのままこの小隊の隊長と随伴の供へと突っ込んで行く。
「『我が願いの対価は憤る薔薇二輪 望むは敵砕く拳』」
「二対一など舐められたものだ……」
魔法によって両腕が肘の辺りまで深紅に染まり、硬く……それこそ岩すら砕けるまでに硬化する。その強化された拳で以て振り下ろされた長剣を弾き、突き込まれた槍を裏拳で殴り付ける。
「『我が願いの対価は囁く鈴蘭 望むは頑強なる肉体』」
「いいかデルタ、魔法使いはこの様に忌まわしき魔力で以て己を強化する」
鳩尾を狙った拳の振り上げを長剣の腹を盾にしながらバックステップする事で大したダメージも無く凌がれ、手首を返して長剣を回すようにして拳を弾かれ──
「──だが同じ魔力を纏った猟犬には意味を成さん」
「がはっ?!」
長剣のこちら側とは逆の向きにある刃の中腹から銃身が飛び出し弾を撃ち出し、その激発を以て一気に加速させた斬撃で左肩から斜めに切り裂かれる。
「さらに言えば奴らは若い魔法使いだ。所詮は生物の範疇に過ぎない、弾速には追い付けん」
「ぐぅっ?!」
後方へと跳び距離を取ろうとするこちらに対して長剣を銃身へと変形させて発砲する……俺に出来るのは精々身を捩って急所を避けることぐらいだ。
「そして魔法使いにとって自身のではない魔力は毒になる」
「げぼぉっ?!」
突然頭の中を掻き回す他人の思考が捩じ込まれ、そのあまりの醜悪さに胃液を吐き出す……奴らの言う通り然るべき手順を踏まずに取り込まれた魔力は魔法使いの根源たる魔力結合を崩壊させる。そうでなくとも自身のアインデンティティが魔力に乗せられた他人の思想によって塗り潰され、自らを見失えば魔物化一直線だ。
「この様に猟犬は未加工の魔力を強制的に流し込む事で魔法使いに対する特攻となる」
「『我が願いの対価は悲哀の百合 望むは癒し』!」
急ぎ魔法によって切り裂かれたり撃たれた傷を癒しつつ、自身の魔力で遺物たる魔力を塗り潰し侵食を抑え込んでいく……話には聞いてはいたが予想以上にキツイものがある。
「我々レナリア人にはない反応……こいつらヒトモドキは即座に殺さねばならん、この先にいるメス共も含め!」
「それでも……ここから先は行かせん! 『我が願いの願いの対価は同情するデイジー 望むは全てを捉える知覚』!」
魔法によって知覚を引き延ばす事で弾速を捉える……見えるだけで躱す事など出来はしないがそれでも急所から逸らしたり、弾いたりと対処を比較的に容易とする。脳に魔力による多大な負担がかかり鼻血が垂れるがそれも仕方のない事だ。
「安い友情ごっこだな! デルタァ! 援射任せたぞ! 『氷結する──サリア』!」
「了解! 『吹き荒ぶ──ロベルト』!」
背後に控えていた狩人が後方へと距離を取り、槍を即座にスナイパーライフルへと完全に移行させこちらが踏み出そうとした地面や振り上げた拳などを撃ち抜く……その援護射撃を受けて隊長であろう男が長剣にそこら中にある雪を纏わせながら迫る。
「土くれ如きが! 無駄な抵抗をすんじゃない!」
「ぐぅっ! なんだ、随分と気が立っているじゃないか」
「黙れ! もうすぐだ、もうすぐあのメスガキを殺せるんだ!」
眉間を狙って撃ち込まれた弾丸を引き伸ばされた知覚で以てなんとか頬を掠め、左耳を吹き飛ばされるに留めるが長剣に胸を浅く切り裂かれてしまう……その度にこちらの脳髄に侵入してくる他人の思考が気持ち悪い。
「散々我らの邪魔をしおって……我ら気高きレナリアに混ざり者は要らん!」
「……それでも半分は同じレナリア貴族ではないか、年端のいかない少女が受けるべき苦痛ではない!」
急所に当たらなければそれで良いとばかりに撃ち込まれる弾丸を無視しながら上段からの袈裟斬りを左拳で弾き、右拳による顎を狙った振り上げは足元の雪が氷柱となって突き出し腕を貫かれる。
「幼い内から両親を亡くし、今もその新芽の生命を摘まれようとしている少女に対する同情は……人の心が無いのか!」
「お前ら魔法使いが人の心を語るのか?! 己の欲望のために平気で肉親すら対価に捧げる貴様らが!」
貫かれたまま氷柱をへし折り抜かずに放たれた弾丸に対して右腕を上げて受け止める……丁度いい、直ぐには使い物にはならないしこのまま盾とする。
「あの子は肉親を殺したのか?! 奪っていったのは貴様らだろう! この人殺しが!」
「黙れぇ! 俺が人を殺したいとでも言いたいのかぁ?!」
首を狙った薙ぎ払いを顔を逸らして躱すが即座に激発を利用した加速で以て急停止の反動や振りかぶる動作を無視しての振り下ろしに片目を切り裂かれてしまう……。
「ガアァッ?!」
「俺はお前らを許さない……平気で肉親を捧げ、他者から奪い、魔物を蔓延らせ、あの少女の様な不安定な生命を産み出すお前たち魔法使いを!!」
左拳で相手の喉を殴り付けようとするが後方の狩人から肩を撃ち抜かれ動きが止まってしまう……その数秒を見逃してはくれず腹を思いっ切り長剣で貫かれる。援護射撃がキツイ……な。
「がふっ!」
「……人すら対価とする貴様らはこの世の秩序に要らん」
溢れ出る血液を留めておくことが出来ずに口から零してしまう……自身の腹から湧き出るのと相俟って足下の降り積もった雪を赤に染めるその様を見て『まるでミーナの絵だな』などと場違いな感想を思い浮かべながら膝を着く。
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「『了解!』」
猟犬を解放しながら陣形を組んで狩人たちが接近してくる……双剣を持った二人組が左右に別れ、槍と長剣のコンビがそのまま真っ直ぐこちらに突っ込んで来る。やはり軍属だけあって連携などはお手の物のようだ。
「おい成金ピエロ! 左右は任せた!」
「仕方ねぇな?! 直情ピエロはそのまま進みやがれ!」
左右の双剣使い達をそのまま追い越してカルマンに対処を任せ、自分はそのままこの小隊の隊長と随伴の供へと突っ込んで行く。
「『我が願いの対価は憤る薔薇二輪 望むは敵砕く拳』」
「二対一など舐められたものだ……」
魔法によって両腕が肘の辺りまで深紅に染まり、硬く……それこそ岩すら砕けるまでに硬化する。その強化された拳で以て振り下ろされた長剣を弾き、突き込まれた槍を裏拳で殴り付ける。
「『我が願いの対価は囁く鈴蘭 望むは頑強なる肉体』」
「いいかデルタ、魔法使いはこの様に忌まわしき魔力で以て己を強化する」
鳩尾を狙った拳の振り上げを長剣の腹を盾にしながらバックステップする事で大したダメージも無く凌がれ、手首を返して長剣を回すようにして拳を弾かれ──
「──だが同じ魔力を纏った猟犬には意味を成さん」
「がはっ?!」
長剣のこちら側とは逆の向きにある刃の中腹から銃身が飛び出し弾を撃ち出し、その激発を以て一気に加速させた斬撃で左肩から斜めに切り裂かれる。
「さらに言えば奴らは若い魔法使いだ。所詮は生物の範疇に過ぎない、弾速には追い付けん」
「ぐぅっ?!」
後方へと跳び距離を取ろうとするこちらに対して長剣を銃身へと変形させて発砲する……俺に出来るのは精々身を捩って急所を避けることぐらいだ。
「そして魔法使いにとって自身のではない魔力は毒になる」
「げぼぉっ?!」
突然頭の中を掻き回す他人の思考が捩じ込まれ、そのあまりの醜悪さに胃液を吐き出す……奴らの言う通り然るべき手順を踏まずに取り込まれた魔力は魔法使いの根源たる魔力結合を崩壊させる。そうでなくとも自身のアインデンティティが魔力に乗せられた他人の思想によって塗り潰され、自らを見失えば魔物化一直線だ。
「この様に猟犬は未加工の魔力を強制的に流し込む事で魔法使いに対する特攻となる」
「『我が願いの対価は悲哀の百合 望むは癒し』!」
急ぎ魔法によって切り裂かれたり撃たれた傷を癒しつつ、自身の魔力で遺物たる魔力を塗り潰し侵食を抑え込んでいく……話には聞いてはいたが予想以上にキツイものがある。
「我々レナリア人にはない反応……こいつらヒトモドキは即座に殺さねばならん、この先にいるメス共も含め!」
「それでも……ここから先は行かせん! 『我が願いの願いの対価は同情するデイジー 望むは全てを捉える知覚』!」
魔法によって知覚を引き延ばす事で弾速を捉える……見えるだけで躱す事など出来はしないがそれでも急所から逸らしたり、弾いたりと対処を比較的に容易とする。脳に魔力による多大な負担がかかり鼻血が垂れるがそれも仕方のない事だ。
「安い友情ごっこだな! デルタァ! 援射任せたぞ! 『氷結する──サリア』!」
「了解! 『吹き荒ぶ──ロベルト』!」
背後に控えていた狩人が後方へと距離を取り、槍を即座にスナイパーライフルへと完全に移行させこちらが踏み出そうとした地面や振り上げた拳などを撃ち抜く……その援護射撃を受けて隊長であろう男が長剣にそこら中にある雪を纏わせながら迫る。
「土くれ如きが! 無駄な抵抗をすんじゃない!」
「ぐぅっ! なんだ、随分と気が立っているじゃないか」
「黙れ! もうすぐだ、もうすぐあのメスガキを殺せるんだ!」
眉間を狙って撃ち込まれた弾丸を引き伸ばされた知覚で以てなんとか頬を掠め、左耳を吹き飛ばされるに留めるが長剣に胸を浅く切り裂かれてしまう……その度にこちらの脳髄に侵入してくる他人の思考が気持ち悪い。
「散々我らの邪魔をしおって……我ら気高きレナリアに混ざり者は要らん!」
「……それでも半分は同じレナリア貴族ではないか、年端のいかない少女が受けるべき苦痛ではない!」
急所に当たらなければそれで良いとばかりに撃ち込まれる弾丸を無視しながら上段からの袈裟斬りを左拳で弾き、右拳による顎を狙った振り上げは足元の雪が氷柱となって突き出し腕を貫かれる。
「幼い内から両親を亡くし、今もその新芽の生命を摘まれようとしている少女に対する同情は……人の心が無いのか!」
「お前ら魔法使いが人の心を語るのか?! 己の欲望のために平気で肉親すら対価に捧げる貴様らが!」
貫かれたまま氷柱をへし折り抜かずに放たれた弾丸に対して右腕を上げて受け止める……丁度いい、直ぐには使い物にはならないしこのまま盾とする。
「あの子は肉親を殺したのか?! 奪っていったのは貴様らだろう! この人殺しが!」
「黙れぇ! 俺が人を殺したいとでも言いたいのかぁ?!」
首を狙った薙ぎ払いを顔を逸らして躱すが即座に激発を利用した加速で以て急停止の反動や振りかぶる動作を無視しての振り下ろしに片目を切り裂かれてしまう……。
「ガアァッ?!」
「俺はお前らを許さない……平気で肉親を捧げ、他者から奪い、魔物を蔓延らせ、あの少女の様な不安定な生命を産み出すお前たち魔法使いを!!」
左拳で相手の喉を殴り付けようとするが後方の狩人から肩を撃ち抜かれ動きが止まってしまう……その数秒を見逃してはくれず腹を思いっ切り長剣で貫かれる。援護射撃がキツイ……な。
「がふっ!」
「……人すら対価とする貴様らはこの世の秩序に要らん」
溢れ出る血液を留めておくことが出来ずに口から零してしまう……自身の腹から湧き出るのと相俟って足下の降り積もった雪を赤に染めるその様を見て『まるでミーナの絵だな』などと場違いな感想を思い浮かべながら膝を着く。
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