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第三章.寂寥のお絵かき
13.踊るピエロその2
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「けっ、人に無理を押し付けやがって」
クレルの野郎がそのまま直進して小隊長らしき人物に突撃を敢行するのを見送りながら左右から振るわれる双剣の一撃を後ろに飛び退く事で躱しながら魔法を行使する。
「『我が願いの対価は五万ベルン 望むは双子の銃』!」
黒塗りに銀縁の銃を二つ……銃身の下の方には紅色に金色で天秤の模様を掘られた片刃が備え付けられ、遠距離のみならず近接戦闘にも耐えうる俺の常用する魔法武器を造り出す。
「『我が願いの対価は五千ベルン 望むは貴様の眼球』」
「「対魔障壁!」」
「チッ……やっぱそう上手くはいかねぇか」
あの時の狩人は死体を操っているに過ぎなかったが今のコイツらは違う。ちゃんと生きて判断や猟犬を過不足なく扱う事ができる……直接的な魔法は掻き乱されて通用しないとなると氷や炎を創り出したり、この魔法武器で直に攻撃して魔力を流し込むしかないだろう。
「……邪魔をするな魔法使い」
「いや、それは無理な相談だな……『我が願いの対価は八千ベルン 望むは頑強なる肉体』」
「巫山戯た格好をしている癖に」
依頼を遂行しないとお金が貰えないだろうが……双剣を二丁拳銃へと切り替える二人に対して左の銃で発砲するが銃身を拳銃で叩かれ弾道を逸らしながら、こちらにも発砲してくるのをさらに右の銃で相手の銃身を叩いて逸らし発砲する……頬を掠める銃弾の摩擦が熱かった。
「ピエロは意外とお捻り貰えて儲かるぜ?」
「手品ではなく魔法ではないか詐欺師め」
「タネも仕掛けも無いのは嘘じゃない」
「減らず口を……」
別に嘘も付いてないし意図的に騙そうとした訳じゃないし……領主の館では魔法使いなのを隠すために逆の嘘はついたがな。撃たれる寸前で銃身を叩き合って頬や太もも、二の腕や横腹を掠めていく銃弾の熱い痛みを無視しながら弾倉を入れ替えるために空の薬莢を腕の振りで弾き出し、それを対価に魔法を行使して小爆発を奴らの目の前で起こす。
「……小癪な真似を」
「そうカッカすんなって、商機を逃すぜ?」
一万ベルンを対価として銃弾を補充しながら足下に降り積もった雪と五千ベルンを対価に魔法を行使してトラップを仕込んでいく……左右で連携する奴らの動きにわざと乗りながら超至近距離の銃撃戦を繰り広げ、指定の位置に誘き寄せてから発動すれば硬く鋭い氷柱が一人の脚を貫く。
「ぐぅっ?!」
「貴様ッ?!」
「マヌケ」
さらに三千ベルンを対価に氷柱を変形させ木の枝のようにかえしを作る……内側から脚の外に飛び出す氷柱は紅く染まりながら奴らの一人をその場に縫い付ける。
「クソッ!」
その場に縫い付けられた一人を執拗に狙う事でもう一人の行動を制限すれば焦れたのか飛びかかってくる……顔面を狙った銃撃を首を逸らしながら銃身を叩かれる事で躱され、こちらを狙う銃撃を足を払う事で狙いをズラす。
「『反響する──マグナ』!」
「『歌え──シャナ』!」
自身の脚を貫く氷柱を破砕して起き上がり、引き摺りながらも後退しつつ真名解放した猟犬で指向性を持った爆音を響かせこちらの鼓膜ごと三半規管を震わせる……おそらく二人の猟犬の合わせ技だと思うがこれはキツイ。
「……人間は音から逃れられん、死ね魔法使い!」
「がぁっ?!」
「コイツは人ではない……コイツは人ではない……コイツは人ではない……」
耳から液体が流れる感触がする……恐らく出血したか? 三半規管が揺さぶられ視界が廻り、奴らの銃撃を避けられない……クソッタレ、これは高くつくぞ?
「チィッ!」
「どこを撃っている? 狙いが定まっていないじゃないか」
廻る視界では相手をハッキリと視認出来ず上手く狙いが付けられないために見当違いの方向へと銃弾が飛ぶ……そんな中で奴らは正確に狙いを付けて来やがる。銃身を急所の盾にしつつなんとか勘で避けるしかない。
「ぐっ?!」
「惜しいな」
間一髪で首を逸らしたところで額を銃弾が掠めるというより抉っていく……あとコンマ数秒遅ければ頭を撃ち抜かれていただろうな。
「ぐっ……クソッ!」
「この寒さで身体中から……特に頭からの出血は致命的だろう? 三半規管も弱っている」
奴の言う通りで焦点が定まらず、廻る視界が鬱陶しく感じるが額から流れてきた自身の血がその気持ち悪い世界を赤に染め上げ、まるで『ミーナの絵画のようだ』とアホな思考が過ぎる。
「安心しろ、小隊長に突っ込んだ馬鹿も、仲間の雌も、混ざり物のガキも直ぐにあとを追わせてやる」
「……へへっ」
「……何が可笑しい?」
馬鹿だなぁコイツら……本当に救えないくらいに頭が悪い。クレルを殺す? ……アイツは『大樹』のセブルスの弟子だぞ? レティシャやリーシャを殺す? ……アイツらの相性は俺らよりも最高だぞ? ミーナを殺す? ……それこそアホだ、馬鹿だ、救えない。
「まさかアレだけの金の卵を産む鶏を殺すとか……お前らにマトモな金勘定は出来ないと見た」
「あの様な気持ち悪い絵など──」
「──芸術を理解しない素人は黙ってろ」
俺だって依頼じゃなければミーナを殺したりはしない、攫って行くだろう。でも奈落の底に逆らうほど馬鹿じゃない、自分の命の方がよっぽど『価値』がある……でもな? そうでないのに自分たちからミーナほどの『価値』を手放すお前らを俺は認められない。
「魔法使いに血を流させた事を後悔しろ──『我が願いの対価はこの身に流るる血と両の鼓膜 望むは愚か者を誅する罰──』」
兎に角デタラメだろうが発砲する、発砲して奴らの動きを制限する……こちらも撃たれまくり身体中穴だらけだろうが構わない、そんな事は知らん。
「『──俺の好きな物? それは金 万人に等しく価値ある金 万能の黄金 それを捨て去る愚者 価値を知らずの愚者──』」
自身から音が無くなる……鼓膜を対価にしたんだから当たり前だが発砲音すら無く飛来する弾丸には肝が冷える。無事な一人が双剣に切り替え斬りかかってくるが関係ない、それを銃身の下部についた刃で受け止める。
「──来世に期待しろ『賢者の黄金、愚者の石』!!」
奴らにとって一番価値ある物、即ち心臓を黄金へと変質させ、価値を無くし殺す……こっちは終わったがどうするクレル?
「……俺はもう無理、これ以上は追加料金だ」
自分が発した声も倒れる音すら認識出来ないまま冷たい大地に倒れ込む。
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クレルの野郎がそのまま直進して小隊長らしき人物に突撃を敢行するのを見送りながら左右から振るわれる双剣の一撃を後ろに飛び退く事で躱しながら魔法を行使する。
「『我が願いの対価は五万ベルン 望むは双子の銃』!」
黒塗りに銀縁の銃を二つ……銃身の下の方には紅色に金色で天秤の模様を掘られた片刃が備え付けられ、遠距離のみならず近接戦闘にも耐えうる俺の常用する魔法武器を造り出す。
「『我が願いの対価は五千ベルン 望むは貴様の眼球』」
「「対魔障壁!」」
「チッ……やっぱそう上手くはいかねぇか」
あの時の狩人は死体を操っているに過ぎなかったが今のコイツらは違う。ちゃんと生きて判断や猟犬を過不足なく扱う事ができる……直接的な魔法は掻き乱されて通用しないとなると氷や炎を創り出したり、この魔法武器で直に攻撃して魔力を流し込むしかないだろう。
「……邪魔をするな魔法使い」
「いや、それは無理な相談だな……『我が願いの対価は八千ベルン 望むは頑強なる肉体』」
「巫山戯た格好をしている癖に」
依頼を遂行しないとお金が貰えないだろうが……双剣を二丁拳銃へと切り替える二人に対して左の銃で発砲するが銃身を拳銃で叩かれ弾道を逸らしながら、こちらにも発砲してくるのをさらに右の銃で相手の銃身を叩いて逸らし発砲する……頬を掠める銃弾の摩擦が熱かった。
「ピエロは意外とお捻り貰えて儲かるぜ?」
「手品ではなく魔法ではないか詐欺師め」
「タネも仕掛けも無いのは嘘じゃない」
「減らず口を……」
別に嘘も付いてないし意図的に騙そうとした訳じゃないし……領主の館では魔法使いなのを隠すために逆の嘘はついたがな。撃たれる寸前で銃身を叩き合って頬や太もも、二の腕や横腹を掠めていく銃弾の熱い痛みを無視しながら弾倉を入れ替えるために空の薬莢を腕の振りで弾き出し、それを対価に魔法を行使して小爆発を奴らの目の前で起こす。
「……小癪な真似を」
「そうカッカすんなって、商機を逃すぜ?」
一万ベルンを対価として銃弾を補充しながら足下に降り積もった雪と五千ベルンを対価に魔法を行使してトラップを仕込んでいく……左右で連携する奴らの動きにわざと乗りながら超至近距離の銃撃戦を繰り広げ、指定の位置に誘き寄せてから発動すれば硬く鋭い氷柱が一人の脚を貫く。
「ぐぅっ?!」
「貴様ッ?!」
「マヌケ」
さらに三千ベルンを対価に氷柱を変形させ木の枝のようにかえしを作る……内側から脚の外に飛び出す氷柱は紅く染まりながら奴らの一人をその場に縫い付ける。
「クソッ!」
その場に縫い付けられた一人を執拗に狙う事でもう一人の行動を制限すれば焦れたのか飛びかかってくる……顔面を狙った銃撃を首を逸らしながら銃身を叩かれる事で躱され、こちらを狙う銃撃を足を払う事で狙いをズラす。
「『反響する──マグナ』!」
「『歌え──シャナ』!」
自身の脚を貫く氷柱を破砕して起き上がり、引き摺りながらも後退しつつ真名解放した猟犬で指向性を持った爆音を響かせこちらの鼓膜ごと三半規管を震わせる……おそらく二人の猟犬の合わせ技だと思うがこれはキツイ。
「……人間は音から逃れられん、死ね魔法使い!」
「がぁっ?!」
「コイツは人ではない……コイツは人ではない……コイツは人ではない……」
耳から液体が流れる感触がする……恐らく出血したか? 三半規管が揺さぶられ視界が廻り、奴らの銃撃を避けられない……クソッタレ、これは高くつくぞ?
「チィッ!」
「どこを撃っている? 狙いが定まっていないじゃないか」
廻る視界では相手をハッキリと視認出来ず上手く狙いが付けられないために見当違いの方向へと銃弾が飛ぶ……そんな中で奴らは正確に狙いを付けて来やがる。銃身を急所の盾にしつつなんとか勘で避けるしかない。
「ぐっ?!」
「惜しいな」
間一髪で首を逸らしたところで額を銃弾が掠めるというより抉っていく……あとコンマ数秒遅ければ頭を撃ち抜かれていただろうな。
「ぐっ……クソッ!」
「この寒さで身体中から……特に頭からの出血は致命的だろう? 三半規管も弱っている」
奴の言う通りで焦点が定まらず、廻る視界が鬱陶しく感じるが額から流れてきた自身の血がその気持ち悪い世界を赤に染め上げ、まるで『ミーナの絵画のようだ』とアホな思考が過ぎる。
「安心しろ、小隊長に突っ込んだ馬鹿も、仲間の雌も、混ざり物のガキも直ぐにあとを追わせてやる」
「……へへっ」
「……何が可笑しい?」
馬鹿だなぁコイツら……本当に救えないくらいに頭が悪い。クレルを殺す? ……アイツは『大樹』のセブルスの弟子だぞ? レティシャやリーシャを殺す? ……アイツらの相性は俺らよりも最高だぞ? ミーナを殺す? ……それこそアホだ、馬鹿だ、救えない。
「まさかアレだけの金の卵を産む鶏を殺すとか……お前らにマトモな金勘定は出来ないと見た」
「あの様な気持ち悪い絵など──」
「──芸術を理解しない素人は黙ってろ」
俺だって依頼じゃなければミーナを殺したりはしない、攫って行くだろう。でも奈落の底に逆らうほど馬鹿じゃない、自分の命の方がよっぽど『価値』がある……でもな? そうでないのに自分たちからミーナほどの『価値』を手放すお前らを俺は認められない。
「魔法使いに血を流させた事を後悔しろ──『我が願いの対価はこの身に流るる血と両の鼓膜 望むは愚か者を誅する罰──』」
兎に角デタラメだろうが発砲する、発砲して奴らの動きを制限する……こちらも撃たれまくり身体中穴だらけだろうが構わない、そんな事は知らん。
「『──俺の好きな物? それは金 万人に等しく価値ある金 万能の黄金 それを捨て去る愚者 価値を知らずの愚者──』」
自身から音が無くなる……鼓膜を対価にしたんだから当たり前だが発砲音すら無く飛来する弾丸には肝が冷える。無事な一人が双剣に切り替え斬りかかってくるが関係ない、それを銃身の下部についた刃で受け止める。
「──来世に期待しろ『賢者の黄金、愚者の石』!!」
奴らにとって一番価値ある物、即ち心臓を黄金へと変質させ、価値を無くし殺す……こっちは終わったがどうするクレル?
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