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「ここが『黒ひげ商会』の本社(アジト)ですか。……衛生管理がなっていませんね」
翌日。
私たちは小型船に乗り、隣の島にある海賊の根城へとやってきた。
入り江には、ドクロマークの旗を掲げた巨大なガレオン船が停泊している。
桟橋には、柄の悪そうな男たちがたむろして酒を飲んでいた。
「ひぃぃ……帰りたい……お腹痛い……」
後ろをついてくるカメハメ王が、小刻みに震えている。
「王様、しっかりしてください。貴方は債務者(クライアント)として、立ち会う義務があります」
私はブリーフケース(書類鞄)を抱え、スタスタと桟橋を歩き出した。
私の格好は、昨日と同じアロハシャツだが、今日は「戦闘用」として、髪をきっちりと結い上げ、予備の眼鏡を装着している。
隣を歩くアイザック様は、腰にサーベルを差しているが、相変わらずバカンス気分の笑顔だ。
「おい、そこの女! ここは観光地じゃねぇぞ!」
見張りの海賊が立ち塞がった。
「観光ではありません。商談に来ました」
私は名刺(即席で作った)を差し出した。
「カメハメ王の代理人、経営コンサルタントのカルルです。社長の『黒ひげ』氏にお目にかかりたい」
「あぁ? 社長だぁ? お頭のことか? ……帰れ帰れ! 女子供の来るところじゃ……」
ドガッ!!
海賊の言葉が途切れた。
アイザック様が、笑顔のまま鞘で海賊の腹を突いた音だ。
「……すまない。妻が『会いたい』と言っている。通してくれるか?」
「う、うぐっ……」
海賊は泡を吹いて倒れた。
「……ボス。暴力による解決は最終手段とお伝えしましたが」
「いや、挨拶だ。この業界(海賊)では、これが名刺交換代わりだろう?」
「郷に入っては郷に従え、ですね。理解しました」
私たちは倒れた海賊を跨いで、ガレオン船へと乗り込んだ。
*
船長室。
そこには、樽に足を乗せ、金貨を数えている巨漢がいた。
立派な黒い髭。眼帯。フック船長のような義手。
教科書通りの海賊である。
「なんだテメェらは! 俺の昼寝を邪魔しやがって!」
黒ひげが怒鳴る。
「カメハメ! 金を持ってきたのかと思えば、なんだその貧相な連れは!」
「ひぃっ! ち、違うんですぅ! この人たちが勝手にぃ!」
カメハメ王が私の後ろに隠れる。
私は一歩前に出て、テーブルの上にドンと書類を置いた。
「初めまして、黒ひげ氏。本日は、貴社とカメハメ王との間の『金銭消費貸借契約』について、見直しを求めに参りました」
「あぁ? 見直しだぁ?」
黒ひげがニヤリと笑った。
「利息をまけろってか? ダメだダメだ! 契約書には『トイチ』って書いてあるだろうが! 払えねぇなら、国ごとよこしな!」
「その契約書ですが」
私は眼鏡を光らせた。
「無効です」
「あ?」
「国際海洋法第108条に基づき、年利20%を超える貸付は『暴利行為』として認められません。貴社の設定した『トイチ(十日で一割)』は、年利に換算すると3650%。……計算ミスにも程がありますね」
「こ、国際法だぁ? ここは俺の海だ! 俺のルールが法律だ!」
「そうですか。では、こちらの計算書をご覧ください」
私は別の書類を広げた。
「仮に法定金利(年15%)で再計算した場合、カメハメ王はすでに元本を完済し、さらに金貨三千枚分の『過払い』が発生しています」
「はぁ?」
「つまり、貴方がカメハメ王に金を返す番です。直ちに金貨三千枚を返還してください。さもなくば……」
「さもなくば、なんだってんだ!」
黒ひげが立ち上がり、剣を抜いた。
「ガタガタうるせぇ女だ! 海の藻屑にしてやる!」
ドカドカと、部下の海賊たちが雪崩れ込んできた。
総勢、五十人ほど。狭い船長室が殺気で埋まる。
「ひぃぃぃ! 殺されるぅぅ!」
王様が床に這いつくばる。
私は溜息をつき、一歩下がった。
「……交渉決裂ですね。アイザック様、プランBへ移行します」
「了解だ。待っていたよ」
アイザック様が、ゆっくりと前に出た。
彼は剣を抜かず、ただ右手を軽く挙げただけだ。
「野郎ども! やっちまえ!」
黒ひげの号令と共に、海賊たちが襲いかかってくる。
「……『凍れ(フリーズ)』」
アイザック様が短く呟いた。
パキィィィィン……!!
その瞬間。
船長室の空気が、一瞬にして凍結した。
襲いかかってきた海賊たちの足元から、急速に氷が這い上がり、彼らを彫像のように固めていく。
「な、なんだ!?」
「足が! 動かねぇ!」
「さ、さみぃぃぃ!!」
ものの数秒で、五十人の海賊たちは、首から下を氷漬けにされ、身動きが取れなくなった。
黒ひげだけは、アイザック様が手加減したのか、氷が膝までで止まっている。
「な、なな、なんだテメェは……! 魔法使いか!?」
黒ひげがガチガチと歯を鳴らす。
アイザック様は、優雅に黒ひげの目の前まで歩み寄り、ニッコリと笑った。
「ただの観光客だ。……妻との会話中は静かにしてもらおうか」
その笑顔は、絶対零度の氷よりも冷たく、そして美しかった。
「ひぃっ……!」
「さて、カルル。交渉を続けようか」
アイザック様が私に振り返る。
私は何食わぬ顔で、再び電卓を叩き始めた。
「ありがとうございます。では黒ひげ氏、続きですが」
「は、はい……!」
黒ひげの態度が、180度変わった。
「過払い金三千枚の返還。これは決定事項です。現金がない場合は、現物支給でも構いません」
「げ、現物……?」
「貴社の倉庫にある『スパイス』の在庫。あれを市場価格の半値で引き取ります。それで相殺しましょう」
「は、半値ぇ!? そりゃあ殺生な……」
「おや? 氷の彫刻になりたいのですか?」
私がアイザック様に目配せすると、アイザック様が指をパチンと鳴らそうとした。
「わ、分かりましたぁぁ!! 持ってけドロボウ!!」
黒ひげが泣き叫んだ。
「交渉成立ですね」
私は満足げに契約書(和解条項付き)を差し出した。
「ここにサインを。……ああ、それから」
私はもう一つ提案をした。
「貴社は海運のプロフェッショナルとお見受けします」
「へ?」
「海賊稼業は、リスクの割に実入りが不安定でしょう? どうですか、我がグラン・ノワール公爵家の『専属運送業者』になりませんか?」
「う、運送屋?」
「ええ。サザン・アイランドのスパイスやフルーツを、我が領地まで運ぶルートが必要です。貴方たちの船と操船技術は評価に値します」
私はニヤリと笑った。
「もちろん、給料は出しますよ。海軍に追われる生活と、公爵家御用達の真っ当な商売。……どちらが『お得』か、計算できますよね?」
黒ひげはポカンと口を開け、それから私の顔と、凍りついた部下たちを見た。
そして、観念したように肩を落とした。
「……負けたよ、姐さん。いや、奥方様」
彼は震える手でペンを取り、サインをした。
「あんたの部下になるよ。……こんな化け物(旦那)がいるところに喧嘩売るより、その方が長生きできそうだ」
「賢明な判断です」
私は契約書を回収し、ブリーフケースに収めた。
「では、明日から業務開始です。遅刻は厳禁ですよ?」
*
ホテルへの帰り道。
カメハメ王は、私を拝むようにして歩いていた。
「カルル様ぁ……あんたは女神だぁ……この国の救世主だぁ……」
「女神ではありません。オーナー代行です」
私は冷たく訂正した。
「借金はなくなりましたが、経営再建はこれからが本番です。王様も明日から『営業部長』として働いていただきますからね」
「は、はいぃ! 一生ついていきますぅ!」
夕暮れのビーチを歩きながら、アイザック様が苦笑した。
「海賊まで従業員にするとはな。君の人事手腕には恐れ入る」
「使えるリソースは全て使う。それが経営の鉄則です」
「……で? これで仕事は終わりか?」
アイザック様が立ち止まり、私の手を取った。
「ああ、そうですね。今日の予定業務は全て完了(コンプリート)しました」
「なら……ここからは『新婚旅行』の時間だな」
水平線に沈む夕日が、海を黄金色に染めている。
ロマンチックなシチュエーション。
誰もいない砂浜。
アイザック様が私の腰を引き寄せ、顔を近づける。
「カルル。……愛している」
「……私もです」
キスをしようとした、その時。
グゥゥゥゥ……。
私のお腹が、盛大に鳴った。
「…………」
沈黙。
ムードもへったくれもない。
アイザック様が肩を震わせ、それから大声で笑い出した。
「ははは! やっぱり君だ! 最高だよ!」
「わ、笑わないでください! 交渉でエネルギーを消費しただけです!」
「ああ、そうだな。……よし、ホテルに戻ってディナーにしよう。今日は特別に、俺が魚を焼いてやる」
「……閣下が?」
「ああ。海賊船の冷蔵庫から、美味そうな魚をくすねてきたんだ」
アイザック様が悪戯っぽくウインクする。
「それ、横領ですよ?」
「いいや、『役得』だ」
私たちは手を繋ぎ、笑いながらホテルへと歩き出した。
南国の夜風が心地よい。
仕事も、冒険も、愛も。
全てが順調すぎるハネムーン。
だが、この幸せな時間が、帰国後に待っている「最大かつ最後の事件」への充電期間であることを、私たちはまだ知らなかった。
翌日。
私たちは小型船に乗り、隣の島にある海賊の根城へとやってきた。
入り江には、ドクロマークの旗を掲げた巨大なガレオン船が停泊している。
桟橋には、柄の悪そうな男たちがたむろして酒を飲んでいた。
「ひぃぃ……帰りたい……お腹痛い……」
後ろをついてくるカメハメ王が、小刻みに震えている。
「王様、しっかりしてください。貴方は債務者(クライアント)として、立ち会う義務があります」
私はブリーフケース(書類鞄)を抱え、スタスタと桟橋を歩き出した。
私の格好は、昨日と同じアロハシャツだが、今日は「戦闘用」として、髪をきっちりと結い上げ、予備の眼鏡を装着している。
隣を歩くアイザック様は、腰にサーベルを差しているが、相変わらずバカンス気分の笑顔だ。
「おい、そこの女! ここは観光地じゃねぇぞ!」
見張りの海賊が立ち塞がった。
「観光ではありません。商談に来ました」
私は名刺(即席で作った)を差し出した。
「カメハメ王の代理人、経営コンサルタントのカルルです。社長の『黒ひげ』氏にお目にかかりたい」
「あぁ? 社長だぁ? お頭のことか? ……帰れ帰れ! 女子供の来るところじゃ……」
ドガッ!!
海賊の言葉が途切れた。
アイザック様が、笑顔のまま鞘で海賊の腹を突いた音だ。
「……すまない。妻が『会いたい』と言っている。通してくれるか?」
「う、うぐっ……」
海賊は泡を吹いて倒れた。
「……ボス。暴力による解決は最終手段とお伝えしましたが」
「いや、挨拶だ。この業界(海賊)では、これが名刺交換代わりだろう?」
「郷に入っては郷に従え、ですね。理解しました」
私たちは倒れた海賊を跨いで、ガレオン船へと乗り込んだ。
*
船長室。
そこには、樽に足を乗せ、金貨を数えている巨漢がいた。
立派な黒い髭。眼帯。フック船長のような義手。
教科書通りの海賊である。
「なんだテメェらは! 俺の昼寝を邪魔しやがって!」
黒ひげが怒鳴る。
「カメハメ! 金を持ってきたのかと思えば、なんだその貧相な連れは!」
「ひぃっ! ち、違うんですぅ! この人たちが勝手にぃ!」
カメハメ王が私の後ろに隠れる。
私は一歩前に出て、テーブルの上にドンと書類を置いた。
「初めまして、黒ひげ氏。本日は、貴社とカメハメ王との間の『金銭消費貸借契約』について、見直しを求めに参りました」
「あぁ? 見直しだぁ?」
黒ひげがニヤリと笑った。
「利息をまけろってか? ダメだダメだ! 契約書には『トイチ』って書いてあるだろうが! 払えねぇなら、国ごとよこしな!」
「その契約書ですが」
私は眼鏡を光らせた。
「無効です」
「あ?」
「国際海洋法第108条に基づき、年利20%を超える貸付は『暴利行為』として認められません。貴社の設定した『トイチ(十日で一割)』は、年利に換算すると3650%。……計算ミスにも程がありますね」
「こ、国際法だぁ? ここは俺の海だ! 俺のルールが法律だ!」
「そうですか。では、こちらの計算書をご覧ください」
私は別の書類を広げた。
「仮に法定金利(年15%)で再計算した場合、カメハメ王はすでに元本を完済し、さらに金貨三千枚分の『過払い』が発生しています」
「はぁ?」
「つまり、貴方がカメハメ王に金を返す番です。直ちに金貨三千枚を返還してください。さもなくば……」
「さもなくば、なんだってんだ!」
黒ひげが立ち上がり、剣を抜いた。
「ガタガタうるせぇ女だ! 海の藻屑にしてやる!」
ドカドカと、部下の海賊たちが雪崩れ込んできた。
総勢、五十人ほど。狭い船長室が殺気で埋まる。
「ひぃぃぃ! 殺されるぅぅ!」
王様が床に這いつくばる。
私は溜息をつき、一歩下がった。
「……交渉決裂ですね。アイザック様、プランBへ移行します」
「了解だ。待っていたよ」
アイザック様が、ゆっくりと前に出た。
彼は剣を抜かず、ただ右手を軽く挙げただけだ。
「野郎ども! やっちまえ!」
黒ひげの号令と共に、海賊たちが襲いかかってくる。
「……『凍れ(フリーズ)』」
アイザック様が短く呟いた。
パキィィィィン……!!
その瞬間。
船長室の空気が、一瞬にして凍結した。
襲いかかってきた海賊たちの足元から、急速に氷が這い上がり、彼らを彫像のように固めていく。
「な、なんだ!?」
「足が! 動かねぇ!」
「さ、さみぃぃぃ!!」
ものの数秒で、五十人の海賊たちは、首から下を氷漬けにされ、身動きが取れなくなった。
黒ひげだけは、アイザック様が手加減したのか、氷が膝までで止まっている。
「な、なな、なんだテメェは……! 魔法使いか!?」
黒ひげがガチガチと歯を鳴らす。
アイザック様は、優雅に黒ひげの目の前まで歩み寄り、ニッコリと笑った。
「ただの観光客だ。……妻との会話中は静かにしてもらおうか」
その笑顔は、絶対零度の氷よりも冷たく、そして美しかった。
「ひぃっ……!」
「さて、カルル。交渉を続けようか」
アイザック様が私に振り返る。
私は何食わぬ顔で、再び電卓を叩き始めた。
「ありがとうございます。では黒ひげ氏、続きですが」
「は、はい……!」
黒ひげの態度が、180度変わった。
「過払い金三千枚の返還。これは決定事項です。現金がない場合は、現物支給でも構いません」
「げ、現物……?」
「貴社の倉庫にある『スパイス』の在庫。あれを市場価格の半値で引き取ります。それで相殺しましょう」
「は、半値ぇ!? そりゃあ殺生な……」
「おや? 氷の彫刻になりたいのですか?」
私がアイザック様に目配せすると、アイザック様が指をパチンと鳴らそうとした。
「わ、分かりましたぁぁ!! 持ってけドロボウ!!」
黒ひげが泣き叫んだ。
「交渉成立ですね」
私は満足げに契約書(和解条項付き)を差し出した。
「ここにサインを。……ああ、それから」
私はもう一つ提案をした。
「貴社は海運のプロフェッショナルとお見受けします」
「へ?」
「海賊稼業は、リスクの割に実入りが不安定でしょう? どうですか、我がグラン・ノワール公爵家の『専属運送業者』になりませんか?」
「う、運送屋?」
「ええ。サザン・アイランドのスパイスやフルーツを、我が領地まで運ぶルートが必要です。貴方たちの船と操船技術は評価に値します」
私はニヤリと笑った。
「もちろん、給料は出しますよ。海軍に追われる生活と、公爵家御用達の真っ当な商売。……どちらが『お得』か、計算できますよね?」
黒ひげはポカンと口を開け、それから私の顔と、凍りついた部下たちを見た。
そして、観念したように肩を落とした。
「……負けたよ、姐さん。いや、奥方様」
彼は震える手でペンを取り、サインをした。
「あんたの部下になるよ。……こんな化け物(旦那)がいるところに喧嘩売るより、その方が長生きできそうだ」
「賢明な判断です」
私は契約書を回収し、ブリーフケースに収めた。
「では、明日から業務開始です。遅刻は厳禁ですよ?」
*
ホテルへの帰り道。
カメハメ王は、私を拝むようにして歩いていた。
「カルル様ぁ……あんたは女神だぁ……この国の救世主だぁ……」
「女神ではありません。オーナー代行です」
私は冷たく訂正した。
「借金はなくなりましたが、経営再建はこれからが本番です。王様も明日から『営業部長』として働いていただきますからね」
「は、はいぃ! 一生ついていきますぅ!」
夕暮れのビーチを歩きながら、アイザック様が苦笑した。
「海賊まで従業員にするとはな。君の人事手腕には恐れ入る」
「使えるリソースは全て使う。それが経営の鉄則です」
「……で? これで仕事は終わりか?」
アイザック様が立ち止まり、私の手を取った。
「ああ、そうですね。今日の予定業務は全て完了(コンプリート)しました」
「なら……ここからは『新婚旅行』の時間だな」
水平線に沈む夕日が、海を黄金色に染めている。
ロマンチックなシチュエーション。
誰もいない砂浜。
アイザック様が私の腰を引き寄せ、顔を近づける。
「カルル。……愛している」
「……私もです」
キスをしようとした、その時。
グゥゥゥゥ……。
私のお腹が、盛大に鳴った。
「…………」
沈黙。
ムードもへったくれもない。
アイザック様が肩を震わせ、それから大声で笑い出した。
「ははは! やっぱり君だ! 最高だよ!」
「わ、笑わないでください! 交渉でエネルギーを消費しただけです!」
「ああ、そうだな。……よし、ホテルに戻ってディナーにしよう。今日は特別に、俺が魚を焼いてやる」
「……閣下が?」
「ああ。海賊船の冷蔵庫から、美味そうな魚をくすねてきたんだ」
アイザック様が悪戯っぽくウインクする。
「それ、横領ですよ?」
「いいや、『役得』だ」
私たちは手を繋ぎ、笑いながらホテルへと歩き出した。
南国の夜風が心地よい。
仕事も、冒険も、愛も。
全てが順調すぎるハネムーン。
だが、この幸せな時間が、帰国後に待っている「最大かつ最後の事件」への充電期間であることを、私たちはまだ知らなかった。
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