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第32話 剣と反射、新たなる連携
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バルガスとの厳しい剣術訓練を経て、アルトは確かな手応えを感じていた。
ショートソードはもはや単なる鉄の棒ではなく、自分の意思に応えてくれる頼もしい相棒となりつつある。
そして、ギフト【ダメージ反射】と剣術を組み合わせるという、新たな戦い方の可能性も見えてきた。
「そろそろ、実戦で試してみてもいいかもしれんぞ」
師であるバルガスのその言葉に背中を押され、アルトは冒険者としての活動を再開することを決意した。
数週間の訓練期間を経て、彼は自信を持ってギルドの扉を開けた。
依頼掲示板を吟味し、アルトは一つの討伐依頼に目を留めた。
『シールドバグ討伐:森の岩場地帯に出没する大型甲虫を1匹討伐。硬質甲羅に注意。報酬銅貨25枚。ランクF以上』
シールドバグ。
その名の通り、全身を硬い甲羅で覆われた、防御力に特化したような魔物だ。
動きは比較的鈍いと聞く。
今の自分の剣術がどこまで通用するのか、そして何より、バルガスに教わった剣での受けからのカウンター反射を試すには、うってつけの相手に思えた。
アルトは依頼を受ける前に、バルガスに報告しに行った。
「バルガスさん、次の依頼、シールドバグ討伐に挑戦してみようと思います」
それを聞いたバルガスは、ニヤリと口の端を上げた。
「ほう、シールドバグか。いい選択だ。奴はとにかく硬いが、動きはノロマだからな。お前の剣術の基本、そしてあの反射のカウンター技を試すには、良い練習相手になるだろう」
そして、バルガスは経験豊富な冒険者として、具体的なアドバイスを付け加えた。
「ただし、真正面から斬りかかっても、お前の剣が折れるのがオチだ。奴の弱点は、脚の付け根、腹の下、関節部分にある。そこを的確に狙うんだ。それと、頭の角を使った突進は見た目以上に威力があるから、まともに食らうなよ。剣で綺麗に受け流すか、いっそのこと、例の反射で派手にカウンターをくれてやれ」
「はい!ありがとうございます!」
バルガスからの力強い助言を受け、アルトは依頼の準備を整えた。
手入れの行き届いたショートソード。
体にぴったりと馴染んだ革鎧。
基本的な冒険道具に加え、シールドバグの硬い甲羅を考慮し、念のため予備の砥石も荷物に入れた。
準備に抜かりはない。
アルトは依頼書に示された、森のやや開けた岩場地帯へと向かった。
そこは、シールドバグが好むという、硬い種類の苔が岩にびっしりと生えている場所だった。
以前よりも自信に満ちた足取りで岩場に到着すると、アルトはすぐに目的の魔物を発見した。
まるで巨大なカブトムシのような姿。
体長はアルトの背丈ほどもあり、全身が鈍い金属光沢を放つ、分厚い甲羅で覆われている。
頭部には、鋭く尖った一本の角。
見るからに頑丈そうで、並大抵の攻撃ではびくともしなさそうだ。
アルトの存在に気づいたシールドバグは、低い唸り声を上げ、ゆっくりと、しかし確かな敵意を込めて、こちらに向かって歩き始めた。
その重々しい足取りが、地面をわずかに震わせる。
アルトはナイフではなく、ショートソードを抜き放ち、訓練通りに腰を落とし、剣を構えた。
最初に仕掛けてきたのは、シールドバグの方だった。
その巨体に見合わぬ、意外なほどの速さで突進してくる。
アルトは冷静だった。
訓練で繰り返したフットワークを使い、突進を最小限の動きでかわす。
すれ違いざま、ショートソードでシールドバグの側面を力強く斬りつけてみた。
カキィン!
甲高い金属音が響き、剣を持つ手に強い衝撃が走る。
アルトの剣は、硬い甲羅に浅い傷をつけただけで、弾かれてしまった。
「やっぱり、硬い…!」
バルガスの言う通り、正面からの攻撃は効果が薄い。
アルトは戦術を切り替え、シールドバグの動きを観察しながら、弱点である脚の付け根や、関節の隙間を狙って、素早い突きや斬り込みを試みる。
何度か攻撃はヒットし、浅いながらもダメージを与えているようだが、決定打にはほど遠い。
シールドバグは、アルトの攻撃に苛立ったのか、頭部の鋭い角を振り下ろしてきた。
アルトはそれをショートソードで受け流す。
さらに、シールドバグは体勢を立て直し、再び強力な突進を仕掛けてきた。
「――ここだ!」
アルトはこの攻撃を、あえて避けない。
ショートソードの腹で、真正面から受け止めた。
ズシン!と、腕から肩へ、そして全身へと強烈な衝撃が伝わる。
革鎧がなければ、吹き飛ばされていたかもしれないほどの威力だ。
しかし、アルトはその衝撃に耐え、受け止めた瞬間に、全神経を集中させた。
ギフト、【ダメージ反射】発動!
カウンター反射!
ゴンッ!!
鈍く、重い衝撃音が響き渡る。
アルトの剣を通して伝わった衝撃と共に、反射ダメージがシールドバグの巨体を襲った。
シールドバグは「グゥ…」と苦しげな呻き声を上げ、その巨体が大きくよろめき、数歩後退した。
「効いた!」
硬い甲羅を持つ相手にも、反射ダメージは有効だ。
アルトは確かな手応えを感じた。
これならば、とアルトは戦い方を変えた。
無理に剣で弱点を狙うのではなく、相手の物理攻撃――突進や角での攻撃――を誘い、それをショートソードで確実に受け止め、カウンター反射でダメージを与えていく。
剣術は、攻撃のためだけではなく、反射を最大限に活かすための「受け」の技術としても使えるのだ。
もちろん、ただ受けて反射するだけではない。
ギフトの応用である「衝撃波(仮)」も、牽制として織り交ぜた。
硬い甲羅に直接的なダメージは与えられないが、相手の注意を逸らしたり、攻撃のタイミングをわずかにずらしたりするのに役立った。
ほんのわずかな隙が、次の反射の成功に繋がる。
地道に、しかし確実に、アルトはカウンター反射でダメージを蓄積させていく。
シールドバグの動きは、徐々に、しかし明らかに鈍くなってきていた。
そして、ついに決定的なチャンスが訪れる。
反射ダメージで大きく体勢を崩し、無防備な脚の付け根の関節部分を晒したのだ。
「もらった!」
アルトはその隙を見逃さなかった。
踏み込み、渾身の力を込めて、ショートソードをその関節部分へと突き刺した!
ズブリ、という鈍い手応え。
硬い甲羅の下の、比較的柔らかい部分に、剣先が深々と食い込んだ。
「ギシャアアアアッ!!」
シールドバグは甲高い断末魔の叫びを上げ、巨体を数度激しく震わせた後、ついに動きを止め、その場に沈黙した。
「はぁ……はぁ……やった……!」
アルトは、肩で大きく息をしながら、倒れたシールドバグを見下ろした。
硬く、手強い相手だった。
しかし、訓練した剣術と、ギフト【ダメージ反射】を連携させることで、打ち勝つことができた。
特に、剣での受けからのカウンター反射は、想像以上に強力な武器になることを実感できた。
討伐の証拠として、シールドバグの硬い甲羅の一部をナイフで慎重に剥ぎ取り、アルトは大きな達成感と共に帰路についた。
剣術訓練の成果を、初めての実戦で確認できたことは、アルトにとって何物にも代えがたい自信となった。
ショートソードはもはや単なる鉄の棒ではなく、自分の意思に応えてくれる頼もしい相棒となりつつある。
そして、ギフト【ダメージ反射】と剣術を組み合わせるという、新たな戦い方の可能性も見えてきた。
「そろそろ、実戦で試してみてもいいかもしれんぞ」
師であるバルガスのその言葉に背中を押され、アルトは冒険者としての活動を再開することを決意した。
数週間の訓練期間を経て、彼は自信を持ってギルドの扉を開けた。
依頼掲示板を吟味し、アルトは一つの討伐依頼に目を留めた。
『シールドバグ討伐:森の岩場地帯に出没する大型甲虫を1匹討伐。硬質甲羅に注意。報酬銅貨25枚。ランクF以上』
シールドバグ。
その名の通り、全身を硬い甲羅で覆われた、防御力に特化したような魔物だ。
動きは比較的鈍いと聞く。
今の自分の剣術がどこまで通用するのか、そして何より、バルガスに教わった剣での受けからのカウンター反射を試すには、うってつけの相手に思えた。
アルトは依頼を受ける前に、バルガスに報告しに行った。
「バルガスさん、次の依頼、シールドバグ討伐に挑戦してみようと思います」
それを聞いたバルガスは、ニヤリと口の端を上げた。
「ほう、シールドバグか。いい選択だ。奴はとにかく硬いが、動きはノロマだからな。お前の剣術の基本、そしてあの反射のカウンター技を試すには、良い練習相手になるだろう」
そして、バルガスは経験豊富な冒険者として、具体的なアドバイスを付け加えた。
「ただし、真正面から斬りかかっても、お前の剣が折れるのがオチだ。奴の弱点は、脚の付け根、腹の下、関節部分にある。そこを的確に狙うんだ。それと、頭の角を使った突進は見た目以上に威力があるから、まともに食らうなよ。剣で綺麗に受け流すか、いっそのこと、例の反射で派手にカウンターをくれてやれ」
「はい!ありがとうございます!」
バルガスからの力強い助言を受け、アルトは依頼の準備を整えた。
手入れの行き届いたショートソード。
体にぴったりと馴染んだ革鎧。
基本的な冒険道具に加え、シールドバグの硬い甲羅を考慮し、念のため予備の砥石も荷物に入れた。
準備に抜かりはない。
アルトは依頼書に示された、森のやや開けた岩場地帯へと向かった。
そこは、シールドバグが好むという、硬い種類の苔が岩にびっしりと生えている場所だった。
以前よりも自信に満ちた足取りで岩場に到着すると、アルトはすぐに目的の魔物を発見した。
まるで巨大なカブトムシのような姿。
体長はアルトの背丈ほどもあり、全身が鈍い金属光沢を放つ、分厚い甲羅で覆われている。
頭部には、鋭く尖った一本の角。
見るからに頑丈そうで、並大抵の攻撃ではびくともしなさそうだ。
アルトの存在に気づいたシールドバグは、低い唸り声を上げ、ゆっくりと、しかし確かな敵意を込めて、こちらに向かって歩き始めた。
その重々しい足取りが、地面をわずかに震わせる。
アルトはナイフではなく、ショートソードを抜き放ち、訓練通りに腰を落とし、剣を構えた。
最初に仕掛けてきたのは、シールドバグの方だった。
その巨体に見合わぬ、意外なほどの速さで突進してくる。
アルトは冷静だった。
訓練で繰り返したフットワークを使い、突進を最小限の動きでかわす。
すれ違いざま、ショートソードでシールドバグの側面を力強く斬りつけてみた。
カキィン!
甲高い金属音が響き、剣を持つ手に強い衝撃が走る。
アルトの剣は、硬い甲羅に浅い傷をつけただけで、弾かれてしまった。
「やっぱり、硬い…!」
バルガスの言う通り、正面からの攻撃は効果が薄い。
アルトは戦術を切り替え、シールドバグの動きを観察しながら、弱点である脚の付け根や、関節の隙間を狙って、素早い突きや斬り込みを試みる。
何度か攻撃はヒットし、浅いながらもダメージを与えているようだが、決定打にはほど遠い。
シールドバグは、アルトの攻撃に苛立ったのか、頭部の鋭い角を振り下ろしてきた。
アルトはそれをショートソードで受け流す。
さらに、シールドバグは体勢を立て直し、再び強力な突進を仕掛けてきた。
「――ここだ!」
アルトはこの攻撃を、あえて避けない。
ショートソードの腹で、真正面から受け止めた。
ズシン!と、腕から肩へ、そして全身へと強烈な衝撃が伝わる。
革鎧がなければ、吹き飛ばされていたかもしれないほどの威力だ。
しかし、アルトはその衝撃に耐え、受け止めた瞬間に、全神経を集中させた。
ギフト、【ダメージ反射】発動!
カウンター反射!
ゴンッ!!
鈍く、重い衝撃音が響き渡る。
アルトの剣を通して伝わった衝撃と共に、反射ダメージがシールドバグの巨体を襲った。
シールドバグは「グゥ…」と苦しげな呻き声を上げ、その巨体が大きくよろめき、数歩後退した。
「効いた!」
硬い甲羅を持つ相手にも、反射ダメージは有効だ。
アルトは確かな手応えを感じた。
これならば、とアルトは戦い方を変えた。
無理に剣で弱点を狙うのではなく、相手の物理攻撃――突進や角での攻撃――を誘い、それをショートソードで確実に受け止め、カウンター反射でダメージを与えていく。
剣術は、攻撃のためだけではなく、反射を最大限に活かすための「受け」の技術としても使えるのだ。
もちろん、ただ受けて反射するだけではない。
ギフトの応用である「衝撃波(仮)」も、牽制として織り交ぜた。
硬い甲羅に直接的なダメージは与えられないが、相手の注意を逸らしたり、攻撃のタイミングをわずかにずらしたりするのに役立った。
ほんのわずかな隙が、次の反射の成功に繋がる。
地道に、しかし確実に、アルトはカウンター反射でダメージを蓄積させていく。
シールドバグの動きは、徐々に、しかし明らかに鈍くなってきていた。
そして、ついに決定的なチャンスが訪れる。
反射ダメージで大きく体勢を崩し、無防備な脚の付け根の関節部分を晒したのだ。
「もらった!」
アルトはその隙を見逃さなかった。
踏み込み、渾身の力を込めて、ショートソードをその関節部分へと突き刺した!
ズブリ、という鈍い手応え。
硬い甲羅の下の、比較的柔らかい部分に、剣先が深々と食い込んだ。
「ギシャアアアアッ!!」
シールドバグは甲高い断末魔の叫びを上げ、巨体を数度激しく震わせた後、ついに動きを止め、その場に沈黙した。
「はぁ……はぁ……やった……!」
アルトは、肩で大きく息をしながら、倒れたシールドバグを見下ろした。
硬く、手強い相手だった。
しかし、訓練した剣術と、ギフト【ダメージ反射】を連携させることで、打ち勝つことができた。
特に、剣での受けからのカウンター反射は、想像以上に強力な武器になることを実感できた。
討伐の証拠として、シールドバグの硬い甲羅の一部をナイフで慎重に剥ぎ取り、アルトは大きな達成感と共に帰路についた。
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