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第47話 再訪、ゴブリンの巣窟へ
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Eランク冒険者としての実力を証明し、次なるステップへと進むために。
アルトは、迷うことなくギルドで目的の依頼書を手に取った。
『ゴブリン・リーダー討伐:西の森洞窟。巣の主(ホブゴブリン級)の討伐、及び残存ゴブリンの掃討。報酬 銀貨3枚~。ランクE推奨(要注意)』
以前、命からがら逃げ出した、あの忌まわしい巣窟への再挑戦だ。
カウンターで依頼書を提出すると、ギルドマスターはその内容とアルトの顔を交互に見て、重々しく頷いた。
「ついに、あれに挑むか。ホブゴブリンは、ただのゴブリンとは全くの別物だぞ。力も強いが、それなりに知恵も働き、部下のゴブリンを巧みに使って攻撃してくる。前回の偵察でその存在は確認できたようだが、実際に戦うとなれば、話は全く違う。決して油断するなよ」
「はい。覚悟はできています」
アルトの目に宿る決意を見て、マスターはそれ以上何も言わず、ただ「健闘を祈る」とだけ付け加えた。
訓練場では、バルガスがアルトを呼び止めた。
「聞いたぞ、アルト。ホブゴブリンに挑むそうじゃねえか」
「はい。今の俺の実力を試してみたいんです」
「ふん、威勢だけは一人前だな。いいか、ホブゴブリン相手なら、力押しだけじゃ絶対に勝てん。相手の動き、特にあの戦斧の動きをよく読み、カウンター反射のタイミングを完璧に合わせろ。そして、奴が一瞬でも隙を見せたら、躊躇するな。躊躇なく剣で急所を突け。お前がこの数ヶ月でどれだけ成長したか、見せてみろ」
バルガスの言葉は厳しくも、その奥には確かな期待が込められていた。
アルトは力強く頷き、師からの最後の激励を胸に刻んだ。
これまでにない危険な任務になることは間違いない。
アルトは、考えうる限りの準備を整えた。
革鎧とバックラーはオイルで念入りに磨き上げられ、鈍い光を放っている。
ショートソードの刃は、砥石で極限まで鋭く研ぎ澄まされた。
腰のポーチには、通常より多めの回復軟膏と、リナが特別に調合してくれた強力な解毒薬草。
そして、長丁場になることを見越して、携帯食料と水筒も満タンにした。
ロープや松明といった基本的な道具も、改めて状態を確認する。
最後に、アルトは静かに目を閉じ、数分間、精神を統一した。
恐怖心はない。
あるのは、強敵に挑む武者震いと、必ず生きて帰るという強い決意だけだった。
そして、アルトは三度(みたび)、あのゴブリンの巣がある洞窟の前に立った。
前回とは違う。
今はもう、偵察のためにこそこそと隠れる必要はない。
目的は、巣の掃討、そしてリーダーの討伐だ。
洞窟入り口で見張りをしていたゴブリン数匹が、アルトの姿を認めるや否や、奇声を上げて襲いかかってくる。
アルトはそれを、冷静沈着に迎え撃った。
バックラーで一体の棍棒を受け止め、ショートソードで別の個体の喉を素早く掻き切る。
さらに別のゴブリンの体当たりを、腕に装着したバックラー越しに反射!
バキリ、と骨の砕ける音が響き、ゴブリンは吹き飛んだ。
見張りは、あっという間に沈黙した。
以前の苦戦が嘘のような、圧倒的な速さと効率。
アルト自身の成長が、そこにはっきりと表れていた。
洞窟内部へと足を踏み入れる。
相変わらずの悪臭と、湿った空気。
アルトは松明に火を灯し、慎重に奥へと進んでいく。
今回は、遭遇するゴブリンを一体残らず排除していくつもりだ。
リーダーとの戦いに集中するため、そして、後顧の憂いを断つために。
狭い通路で、曲がり角で、あるいは小さな広間で。
アルトは次々とゴブリンたちに遭遇した。
弓を持つ者、槍を持つ者、棍棒を振り回す者。
しかし、今のアルトにとって、通常のゴブリンはもはや脅威ではなかった。
向上した剣術で攻撃を捌き、バックラーで確実に防御し、そして必殺のカウンター反射で骨を砕く。
時には、ギフトの応用である「衝撃波(仮)」を放ち、複数の敵を同時に怯ませ、その隙に各個撃破する。
アルトの動きには無駄がなく、冷静かつ効率的だった。
できるだけ大きな物音を立てないように、一撃で仕留めることを意識しながら、彼は着実に巣の内部を制圧していく。
前回見つけた罠にも注意を払う。
鳴子は静かに dâyを切り、落とし穴の目印は記憶し、慎重に迂回する。
ゴブリンたちの稚拙な罠は、アルトの注意力を鈍らせることはできなかった。
洞窟内のゴブリンを、おそらく半数以上は掃討しただろうか。
ついに、アルトはあの最深部に位置する、広い空間へとたどり着いた。
中央の焚き火が、周囲の壁に揺らめく不気味な影を映し出している。
そして、その広間の中央、岩の玉座のような場所に、あのホブゴブリンが座っていた。
アルトの侵入に気づき、ホブゴブリンはゆっくりと立ち上がった。
その体躯はやはり大きく、鍛え上げられた筋肉が盛り上がっている。
手には、鈍い光を放つ金属製の戦斧。
周囲には、まだ5匹ほどのゴブリンが護衛として控えており、それぞれが武器を構え、殺気を放っている。
ホブゴブリンの、他のゴブリンとは明らかに違う、憎悪と狡猾さが入り混じったような鋭い瞳が、アルトを射抜いた。
「グルオオオォォ……!」
低い、しかし腹の底に響くような唸り声と共に、ホブゴブリンは巨大な戦斧を構える。
周囲のゴブリンたちも、リーダーの号令を待つかのように、一斉に武器を構え、アルトを取り囲もうと動き始めた。
一触即発の、張り詰めた空気。
(逃げない……今度は、絶対に!)
アルトは、右手にショートソードを、左腕にはバックラーを構え、ホブゴブリンとその護衛たちと真っ向から対峙する。
彼の背には、もはや退路はない。
ここで全てを終わらせる。
その覚悟が、彼の瞳に強い光を宿らせていた。
Eランク冒険者として、これまでの厳しい訓練と、数々の死線を乗り越えてきた経験。
その全てをぶつける時が来た。
剣術、盾術、そして彼だけが持つギフト【ダメージ反射】。
アルトの持つ力の全てを総動員して、この巣の絶対的な支配者との決戦に挑む。
静まり返った洞窟の広間に、アルトの荒い呼吸と、ゴブリンたちの低い唸り声だけが響いていた。
アルトは、迷うことなくギルドで目的の依頼書を手に取った。
『ゴブリン・リーダー討伐:西の森洞窟。巣の主(ホブゴブリン級)の討伐、及び残存ゴブリンの掃討。報酬 銀貨3枚~。ランクE推奨(要注意)』
以前、命からがら逃げ出した、あの忌まわしい巣窟への再挑戦だ。
カウンターで依頼書を提出すると、ギルドマスターはその内容とアルトの顔を交互に見て、重々しく頷いた。
「ついに、あれに挑むか。ホブゴブリンは、ただのゴブリンとは全くの別物だぞ。力も強いが、それなりに知恵も働き、部下のゴブリンを巧みに使って攻撃してくる。前回の偵察でその存在は確認できたようだが、実際に戦うとなれば、話は全く違う。決して油断するなよ」
「はい。覚悟はできています」
アルトの目に宿る決意を見て、マスターはそれ以上何も言わず、ただ「健闘を祈る」とだけ付け加えた。
訓練場では、バルガスがアルトを呼び止めた。
「聞いたぞ、アルト。ホブゴブリンに挑むそうじゃねえか」
「はい。今の俺の実力を試してみたいんです」
「ふん、威勢だけは一人前だな。いいか、ホブゴブリン相手なら、力押しだけじゃ絶対に勝てん。相手の動き、特にあの戦斧の動きをよく読み、カウンター反射のタイミングを完璧に合わせろ。そして、奴が一瞬でも隙を見せたら、躊躇するな。躊躇なく剣で急所を突け。お前がこの数ヶ月でどれだけ成長したか、見せてみろ」
バルガスの言葉は厳しくも、その奥には確かな期待が込められていた。
アルトは力強く頷き、師からの最後の激励を胸に刻んだ。
これまでにない危険な任務になることは間違いない。
アルトは、考えうる限りの準備を整えた。
革鎧とバックラーはオイルで念入りに磨き上げられ、鈍い光を放っている。
ショートソードの刃は、砥石で極限まで鋭く研ぎ澄まされた。
腰のポーチには、通常より多めの回復軟膏と、リナが特別に調合してくれた強力な解毒薬草。
そして、長丁場になることを見越して、携帯食料と水筒も満タンにした。
ロープや松明といった基本的な道具も、改めて状態を確認する。
最後に、アルトは静かに目を閉じ、数分間、精神を統一した。
恐怖心はない。
あるのは、強敵に挑む武者震いと、必ず生きて帰るという強い決意だけだった。
そして、アルトは三度(みたび)、あのゴブリンの巣がある洞窟の前に立った。
前回とは違う。
今はもう、偵察のためにこそこそと隠れる必要はない。
目的は、巣の掃討、そしてリーダーの討伐だ。
洞窟入り口で見張りをしていたゴブリン数匹が、アルトの姿を認めるや否や、奇声を上げて襲いかかってくる。
アルトはそれを、冷静沈着に迎え撃った。
バックラーで一体の棍棒を受け止め、ショートソードで別の個体の喉を素早く掻き切る。
さらに別のゴブリンの体当たりを、腕に装着したバックラー越しに反射!
バキリ、と骨の砕ける音が響き、ゴブリンは吹き飛んだ。
見張りは、あっという間に沈黙した。
以前の苦戦が嘘のような、圧倒的な速さと効率。
アルト自身の成長が、そこにはっきりと表れていた。
洞窟内部へと足を踏み入れる。
相変わらずの悪臭と、湿った空気。
アルトは松明に火を灯し、慎重に奥へと進んでいく。
今回は、遭遇するゴブリンを一体残らず排除していくつもりだ。
リーダーとの戦いに集中するため、そして、後顧の憂いを断つために。
狭い通路で、曲がり角で、あるいは小さな広間で。
アルトは次々とゴブリンたちに遭遇した。
弓を持つ者、槍を持つ者、棍棒を振り回す者。
しかし、今のアルトにとって、通常のゴブリンはもはや脅威ではなかった。
向上した剣術で攻撃を捌き、バックラーで確実に防御し、そして必殺のカウンター反射で骨を砕く。
時には、ギフトの応用である「衝撃波(仮)」を放ち、複数の敵を同時に怯ませ、その隙に各個撃破する。
アルトの動きには無駄がなく、冷静かつ効率的だった。
できるだけ大きな物音を立てないように、一撃で仕留めることを意識しながら、彼は着実に巣の内部を制圧していく。
前回見つけた罠にも注意を払う。
鳴子は静かに dâyを切り、落とし穴の目印は記憶し、慎重に迂回する。
ゴブリンたちの稚拙な罠は、アルトの注意力を鈍らせることはできなかった。
洞窟内のゴブリンを、おそらく半数以上は掃討しただろうか。
ついに、アルトはあの最深部に位置する、広い空間へとたどり着いた。
中央の焚き火が、周囲の壁に揺らめく不気味な影を映し出している。
そして、その広間の中央、岩の玉座のような場所に、あのホブゴブリンが座っていた。
アルトの侵入に気づき、ホブゴブリンはゆっくりと立ち上がった。
その体躯はやはり大きく、鍛え上げられた筋肉が盛り上がっている。
手には、鈍い光を放つ金属製の戦斧。
周囲には、まだ5匹ほどのゴブリンが護衛として控えており、それぞれが武器を構え、殺気を放っている。
ホブゴブリンの、他のゴブリンとは明らかに違う、憎悪と狡猾さが入り混じったような鋭い瞳が、アルトを射抜いた。
「グルオオオォォ……!」
低い、しかし腹の底に響くような唸り声と共に、ホブゴブリンは巨大な戦斧を構える。
周囲のゴブリンたちも、リーダーの号令を待つかのように、一斉に武器を構え、アルトを取り囲もうと動き始めた。
一触即発の、張り詰めた空気。
(逃げない……今度は、絶対に!)
アルトは、右手にショートソードを、左腕にはバックラーを構え、ホブゴブリンとその護衛たちと真っ向から対峙する。
彼の背には、もはや退路はない。
ここで全てを終わらせる。
その覚悟が、彼の瞳に強い光を宿らせていた。
Eランク冒険者として、これまでの厳しい訓練と、数々の死線を乗り越えてきた経験。
その全てをぶつける時が来た。
剣術、盾術、そして彼だけが持つギフト【ダメージ反射】。
アルトの持つ力の全てを総動員して、この巣の絶対的な支配者との決戦に挑む。
静まり返った洞窟の広間に、アルトの荒い呼吸と、ゴブリンたちの低い唸り声だけが響いていた。
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