落ちこぼれギフト【ダメージ反射】は諦めない ~1割返しから始まる異世界冒険譚~

シマセイ

文字の大きさ
107 / 125

第109話 そして探求の旅へ

しおりを挟む
リナとの再会、そしてギフトレベルが4割へと成長したことを大神殿で確認したアルトは、エリアーヌとのギフト研究にも、より一層熱が入っていた。
焦点は、やはり謎の特殊効果「リフレクト・ショック」の解明と制御だ。

「これまでの戦闘データと、大神殿での結果、そしてアルトさん自身の感覚を総合すると…やはり、強い『守護意志』と、生命の危機に瀕するほどの『極限状態』。この二つが、リフレクト・ショック発動の重要なトリガーとなっている可能性が極めて高いですわね」
エリアーヌは、山のような資料と格闘しながら、自身の考察を語る。

「問題は、それをどうやって意図的に、そして安全に再現するか、ですわ。精神状態を任意に極限まで高めるというのは、非常に難しい。下手をすれば、精神崩壊や、ギフトの暴走を引き起こしかねません」
彼女は少し表情を曇らせる。
「この力の制御には、単純な技術訓練だけでなく、アルトさん自身の精神的な成熟度…あるいは、ギフトとのより深いレベルでの『対話』のようなものが、必要になってくるのかもしれませんわね……」

エリアーヌの言葉は、アルトに新たな視点を与えた。
ギフトを、単なる力として使うのではなく、自分自身の内面と深く向き合い、対話する。
それが、覚醒した力を制御するための鍵となるのかもしれない。

そんなある日、エリアーヌが、いつになく興奮した様子でアルトの元へやってきた。
その手には、古びて変色した、一枚の羊皮紙の地図が握られている。

「アルトさん!見つけましたのよ!あなたのギフト…いえ、リフレクト・ショックの謎を解く鍵となるかもしれない、重要な場所を!」

彼女が広げた地図が示していたのは、王都から北へ数日ほど離れた、険しい山岳地帯に存在する、忘れ去られた古代の祭祀場の位置だった。

「この遺跡は、非常に古い時代のもの…おそらくは、神話の時代のものかもしれませんわ。古文書の断片的な記述によれば、『魂』や『精神エネルギー』そのものを祀り、研究していたとされる、極めて特殊な場所なのです!」

エリアーヌは、目を輝かせながら続ける。

「もし、その記述が正しければ、この『魂の祭祀場』には、精神エネルギーを増幅させたり、あるいは外部から干渉したりするような、未知の古代遺物が眠っている可能性があるのです!それは、あなたのリフレクト・ショックの発動メカニズムや、制御方法を解明するための、大きな、大きな手がかりとなるかもしれませんわ!」

そして、エリアーヌはアルトの目を見て、真剣な表情で言った。

「つきましては、アルトさん。これはギルドを通さない、わたくしからの個人的な依頼となりますが……どうか、この『魂の祭祀場』の調査に、協力していただけませんか?もちろん、内部は未知であり、危険も伴うでしょう。ですから、報酬はCランク依頼として最高額…いえ、それ以上をお支払いすることをお約束しますわ!」

ギフトの謎解明に繋がるかもしれない、古代の祭祀場。
アルトにとって、それは断る理由のない、非常に魅力的な依頼だった。
危険は伴うだろう。
だが、自分の力の根源を知るためなら、そのリスクを冒す価値は十分にある。

「分かりました、エリアーヌさん。その依頼、お受けします。俺も、自分のギフトのことを、もっと知りたいんです」

アルトが力強く答えると、エリアーヌは「ありがとうございます!アルトさんなら、そう言ってくださると思ってましたわ!」と、満面の笑みを浮かべた。

「わたくしも、ぜひ同行して、現地で直接調査・分析を行いたいのは山々なのですが…残念ながら、わたくしの戦闘能力は皆無に等しいですから…」
エリアーヌは少し残念そうに肩をすくめた。
「アルトさん、調査の全てをあなたにお任せすることになりますが、どうか、よろしくお願いしますわね!必要な情報や、役に立ちそうな道具があれば、何なりと仰ってくださいまし!」

アルトは、エリアーヌから遺跡に関する詳細な情報――想定される危険(古代の罠、アンデッド、あるいは精神に干渉する魔物など)、そして見つけるべき遺物の特徴(祭壇、クリスタル、碑文など)――を聞き、依頼遂行のための準備に取り掛かった。

今回は、アンデッドが出現する可能性も高いと考え、アルトは頑鉄工房のボルガンを訪ね、黒曜の剣に刻まれた浄化のルーンの状態を再確認してもらった。
ボルガンは「ふん、気休め程度じゃと言ったはずだがな。まあ、念には念を入れろ」と言いながらも、丁寧にルーンを調整してくれた。
銀製のナイフも、改めて念入りに手入れをする。
ダンジョン探索に不可欠な、長めのロープ、多めの松明と油、地図を作成するための羊皮紙と炭、そしてノエルに使い方を教わった、簡単な罠なら解除できるかもしれない細い金属棒なども、リュックに詰め込んだ。

出発の前日、アルトはリナに今回の依頼について話した。

「古代の祭祀場?なんだか、ちょっと怖い響きだね……。それに、アルト一人で行くの?」
リナは、アルトが単独で危険な調査に向かうことに、強い不安を感じているようだった。

「ああ。今回は、ノエルもゴルドーさんも別の依頼で都合がつかなくてね。でも、大丈夫だよ。ちゃんと準備もしたし、危険だと判断したら、無理せずすぐに引き返すから」
アルトは、リナを安心させようと、力強く言った。

「……分かった。アルトがそう言うなら、信じる。でも、絶対に、絶対に無茶はしないでね。約束だよ」
リナは、アルトの手をぎゅっと握りしめた。
「私も、こっちでアルトの無事を、一生懸命お祈りしてるから。…はい、これ、持って行って」
彼女は、大神殿で特別に祈祷してもらったという、小さな銀のロケットをアルトに手渡した。中には、リナの優しい笑顔の写真(魔法的なものだろうか?)が収められている。

「ありがとう、リナ。必ず無事に帰ってくるよ。約束だ」

アルトは、リナの温かい気持ちと、お守りを胸に、翌朝、王都の北門をくぐった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。 同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。 仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。 ───────────── ※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。 ※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。 ※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...