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第109話 そして探求の旅へ
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リナとの再会、そしてギフトレベルが4割へと成長したことを大神殿で確認したアルトは、エリアーヌとのギフト研究にも、より一層熱が入っていた。
焦点は、やはり謎の特殊効果「リフレクト・ショック」の解明と制御だ。
「これまでの戦闘データと、大神殿での結果、そしてアルトさん自身の感覚を総合すると…やはり、強い『守護意志』と、生命の危機に瀕するほどの『極限状態』。この二つが、リフレクト・ショック発動の重要なトリガーとなっている可能性が極めて高いですわね」
エリアーヌは、山のような資料と格闘しながら、自身の考察を語る。
「問題は、それをどうやって意図的に、そして安全に再現するか、ですわ。精神状態を任意に極限まで高めるというのは、非常に難しい。下手をすれば、精神崩壊や、ギフトの暴走を引き起こしかねません」
彼女は少し表情を曇らせる。
「この力の制御には、単純な技術訓練だけでなく、アルトさん自身の精神的な成熟度…あるいは、ギフトとのより深いレベルでの『対話』のようなものが、必要になってくるのかもしれませんわね……」
エリアーヌの言葉は、アルトに新たな視点を与えた。
ギフトを、単なる力として使うのではなく、自分自身の内面と深く向き合い、対話する。
それが、覚醒した力を制御するための鍵となるのかもしれない。
そんなある日、エリアーヌが、いつになく興奮した様子でアルトの元へやってきた。
その手には、古びて変色した、一枚の羊皮紙の地図が握られている。
「アルトさん!見つけましたのよ!あなたのギフト…いえ、リフレクト・ショックの謎を解く鍵となるかもしれない、重要な場所を!」
彼女が広げた地図が示していたのは、王都から北へ数日ほど離れた、険しい山岳地帯に存在する、忘れ去られた古代の祭祀場の位置だった。
「この遺跡は、非常に古い時代のもの…おそらくは、神話の時代のものかもしれませんわ。古文書の断片的な記述によれば、『魂』や『精神エネルギー』そのものを祀り、研究していたとされる、極めて特殊な場所なのです!」
エリアーヌは、目を輝かせながら続ける。
「もし、その記述が正しければ、この『魂の祭祀場』には、精神エネルギーを増幅させたり、あるいは外部から干渉したりするような、未知の古代遺物が眠っている可能性があるのです!それは、あなたのリフレクト・ショックの発動メカニズムや、制御方法を解明するための、大きな、大きな手がかりとなるかもしれませんわ!」
そして、エリアーヌはアルトの目を見て、真剣な表情で言った。
「つきましては、アルトさん。これはギルドを通さない、わたくしからの個人的な依頼となりますが……どうか、この『魂の祭祀場』の調査に、協力していただけませんか?もちろん、内部は未知であり、危険も伴うでしょう。ですから、報酬はCランク依頼として最高額…いえ、それ以上をお支払いすることをお約束しますわ!」
ギフトの謎解明に繋がるかもしれない、古代の祭祀場。
アルトにとって、それは断る理由のない、非常に魅力的な依頼だった。
危険は伴うだろう。
だが、自分の力の根源を知るためなら、そのリスクを冒す価値は十分にある。
「分かりました、エリアーヌさん。その依頼、お受けします。俺も、自分のギフトのことを、もっと知りたいんです」
アルトが力強く答えると、エリアーヌは「ありがとうございます!アルトさんなら、そう言ってくださると思ってましたわ!」と、満面の笑みを浮かべた。
「わたくしも、ぜひ同行して、現地で直接調査・分析を行いたいのは山々なのですが…残念ながら、わたくしの戦闘能力は皆無に等しいですから…」
エリアーヌは少し残念そうに肩をすくめた。
「アルトさん、調査の全てをあなたにお任せすることになりますが、どうか、よろしくお願いしますわね!必要な情報や、役に立ちそうな道具があれば、何なりと仰ってくださいまし!」
アルトは、エリアーヌから遺跡に関する詳細な情報――想定される危険(古代の罠、アンデッド、あるいは精神に干渉する魔物など)、そして見つけるべき遺物の特徴(祭壇、クリスタル、碑文など)――を聞き、依頼遂行のための準備に取り掛かった。
今回は、アンデッドが出現する可能性も高いと考え、アルトは頑鉄工房のボルガンを訪ね、黒曜の剣に刻まれた浄化のルーンの状態を再確認してもらった。
ボルガンは「ふん、気休め程度じゃと言ったはずだがな。まあ、念には念を入れろ」と言いながらも、丁寧にルーンを調整してくれた。
銀製のナイフも、改めて念入りに手入れをする。
ダンジョン探索に不可欠な、長めのロープ、多めの松明と油、地図を作成するための羊皮紙と炭、そしてノエルに使い方を教わった、簡単な罠なら解除できるかもしれない細い金属棒なども、リュックに詰め込んだ。
出発の前日、アルトはリナに今回の依頼について話した。
「古代の祭祀場?なんだか、ちょっと怖い響きだね……。それに、アルト一人で行くの?」
リナは、アルトが単独で危険な調査に向かうことに、強い不安を感じているようだった。
「ああ。今回は、ノエルもゴルドーさんも別の依頼で都合がつかなくてね。でも、大丈夫だよ。ちゃんと準備もしたし、危険だと判断したら、無理せずすぐに引き返すから」
アルトは、リナを安心させようと、力強く言った。
「……分かった。アルトがそう言うなら、信じる。でも、絶対に、絶対に無茶はしないでね。約束だよ」
リナは、アルトの手をぎゅっと握りしめた。
「私も、こっちでアルトの無事を、一生懸命お祈りしてるから。…はい、これ、持って行って」
彼女は、大神殿で特別に祈祷してもらったという、小さな銀のロケットをアルトに手渡した。中には、リナの優しい笑顔の写真(魔法的なものだろうか?)が収められている。
「ありがとう、リナ。必ず無事に帰ってくるよ。約束だ」
アルトは、リナの温かい気持ちと、お守りを胸に、翌朝、王都の北門をくぐった。
焦点は、やはり謎の特殊効果「リフレクト・ショック」の解明と制御だ。
「これまでの戦闘データと、大神殿での結果、そしてアルトさん自身の感覚を総合すると…やはり、強い『守護意志』と、生命の危機に瀕するほどの『極限状態』。この二つが、リフレクト・ショック発動の重要なトリガーとなっている可能性が極めて高いですわね」
エリアーヌは、山のような資料と格闘しながら、自身の考察を語る。
「問題は、それをどうやって意図的に、そして安全に再現するか、ですわ。精神状態を任意に極限まで高めるというのは、非常に難しい。下手をすれば、精神崩壊や、ギフトの暴走を引き起こしかねません」
彼女は少し表情を曇らせる。
「この力の制御には、単純な技術訓練だけでなく、アルトさん自身の精神的な成熟度…あるいは、ギフトとのより深いレベルでの『対話』のようなものが、必要になってくるのかもしれませんわね……」
エリアーヌの言葉は、アルトに新たな視点を与えた。
ギフトを、単なる力として使うのではなく、自分自身の内面と深く向き合い、対話する。
それが、覚醒した力を制御するための鍵となるのかもしれない。
そんなある日、エリアーヌが、いつになく興奮した様子でアルトの元へやってきた。
その手には、古びて変色した、一枚の羊皮紙の地図が握られている。
「アルトさん!見つけましたのよ!あなたのギフト…いえ、リフレクト・ショックの謎を解く鍵となるかもしれない、重要な場所を!」
彼女が広げた地図が示していたのは、王都から北へ数日ほど離れた、険しい山岳地帯に存在する、忘れ去られた古代の祭祀場の位置だった。
「この遺跡は、非常に古い時代のもの…おそらくは、神話の時代のものかもしれませんわ。古文書の断片的な記述によれば、『魂』や『精神エネルギー』そのものを祀り、研究していたとされる、極めて特殊な場所なのです!」
エリアーヌは、目を輝かせながら続ける。
「もし、その記述が正しければ、この『魂の祭祀場』には、精神エネルギーを増幅させたり、あるいは外部から干渉したりするような、未知の古代遺物が眠っている可能性があるのです!それは、あなたのリフレクト・ショックの発動メカニズムや、制御方法を解明するための、大きな、大きな手がかりとなるかもしれませんわ!」
そして、エリアーヌはアルトの目を見て、真剣な表情で言った。
「つきましては、アルトさん。これはギルドを通さない、わたくしからの個人的な依頼となりますが……どうか、この『魂の祭祀場』の調査に、協力していただけませんか?もちろん、内部は未知であり、危険も伴うでしょう。ですから、報酬はCランク依頼として最高額…いえ、それ以上をお支払いすることをお約束しますわ!」
ギフトの謎解明に繋がるかもしれない、古代の祭祀場。
アルトにとって、それは断る理由のない、非常に魅力的な依頼だった。
危険は伴うだろう。
だが、自分の力の根源を知るためなら、そのリスクを冒す価値は十分にある。
「分かりました、エリアーヌさん。その依頼、お受けします。俺も、自分のギフトのことを、もっと知りたいんです」
アルトが力強く答えると、エリアーヌは「ありがとうございます!アルトさんなら、そう言ってくださると思ってましたわ!」と、満面の笑みを浮かべた。
「わたくしも、ぜひ同行して、現地で直接調査・分析を行いたいのは山々なのですが…残念ながら、わたくしの戦闘能力は皆無に等しいですから…」
エリアーヌは少し残念そうに肩をすくめた。
「アルトさん、調査の全てをあなたにお任せすることになりますが、どうか、よろしくお願いしますわね!必要な情報や、役に立ちそうな道具があれば、何なりと仰ってくださいまし!」
アルトは、エリアーヌから遺跡に関する詳細な情報――想定される危険(古代の罠、アンデッド、あるいは精神に干渉する魔物など)、そして見つけるべき遺物の特徴(祭壇、クリスタル、碑文など)――を聞き、依頼遂行のための準備に取り掛かった。
今回は、アンデッドが出現する可能性も高いと考え、アルトは頑鉄工房のボルガンを訪ね、黒曜の剣に刻まれた浄化のルーンの状態を再確認してもらった。
ボルガンは「ふん、気休め程度じゃと言ったはずだがな。まあ、念には念を入れろ」と言いながらも、丁寧にルーンを調整してくれた。
銀製のナイフも、改めて念入りに手入れをする。
ダンジョン探索に不可欠な、長めのロープ、多めの松明と油、地図を作成するための羊皮紙と炭、そしてノエルに使い方を教わった、簡単な罠なら解除できるかもしれない細い金属棒なども、リュックに詰め込んだ。
出発の前日、アルトはリナに今回の依頼について話した。
「古代の祭祀場?なんだか、ちょっと怖い響きだね……。それに、アルト一人で行くの?」
リナは、アルトが単独で危険な調査に向かうことに、強い不安を感じているようだった。
「ああ。今回は、ノエルもゴルドーさんも別の依頼で都合がつかなくてね。でも、大丈夫だよ。ちゃんと準備もしたし、危険だと判断したら、無理せずすぐに引き返すから」
アルトは、リナを安心させようと、力強く言った。
「……分かった。アルトがそう言うなら、信じる。でも、絶対に、絶対に無茶はしないでね。約束だよ」
リナは、アルトの手をぎゅっと握りしめた。
「私も、こっちでアルトの無事を、一生懸命お祈りしてるから。…はい、これ、持って行って」
彼女は、大神殿で特別に祈祷してもらったという、小さな銀のロケットをアルトに手渡した。中には、リナの優しい笑顔の写真(魔法的なものだろうか?)が収められている。
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