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第120話 Bランクの試練、砕けた盾と新たなる誓い
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南部平原での死闘から数日。
アルトは、体中の痛みと深い疲労を引きずりながらも、巨大な鎧角獣(アーマーライノ)の角を肩に担ぎ、王都アステリアの門を再びくぐった。
彼の帰還は、すぐにギルド中に知れ渡ることになる。
ギルド本部の扉を開け、アルトがよろよろとカウンターへ向かう。
その満身創痍の姿と、明らかに尋常ではない大きさの角に、ホールにいた冒険者たちは一斉に息をのんだ。
三度、いや、もはや何度目か分からない衝撃が、ギルド全体を襲った。
「……ミノタウロス……いや、これは……鎧角獣(アーマーライノ)の角……だと……?」
カウンターの向こうで、ギルドマスターが、震える声で呟いた。
その目は、信じられないものを見るかのように、アルトのボロボロの姿と、巨大な角とを、何度も往復している。
「アルト君……君が、これを、単独で……?君は、もうBランクになったばかりだというのに……?」
「……はい。依頼……『鎧角獣討伐』、達成……しました……」
アルトは、かすれた声で、しかしはっきりとそう告げた。
その言葉が、ギルドホールに、もはや驚きを通り越し、呆れに近いような、それでいて熱狂的な興奮を巻き起こした。
「Bランク昇格直後にアーマーライノをソロで!?」「冗談だろ!?」「あのアルトって奴、本当にどこまで強くなるんだ…!」「もはや伝説級だな…」
賞賛、驚愕、そして畏敬の念すら入り混じった視線が、アルトへと一身に集中する。
ギルドマスターは、しばらくアルトの顔をじっと見つめていたが、やがて天を仰ぐようにして、深い、深いため息をついた。
そして、周囲の冒険者たちにも聞こえるように、しかしアルトに語りかけるように、力強く宣言した。
「……もはや、言葉もない。アルト君、君の実力は、疑いようもなくBランクにふさわしい。いや、その評価すら生ぬるいかもしれん!君は、このギルドの、いや、王国の宝と言っても過言ではない!」
マスターは、依頼報酬の金貨2枚に加え、Bランク冒険者による高難度魔獣単独討伐という、異例中の異例の功績に対し、再び破格の特別報酬(大量の金貨)をアルトに手渡した。
「これは、君の偉業に対する、ギルドからの最大の敬意だ。今はただ、ゆっくりと体を休めてくれ。話はそれからだ」
マスターの言葉に、周囲からは惜しみない拍手が送られた。アルトの名声は、王都で不動のものとなった。
ギルドでの報告を終え、アルトはエリアーヌの研究室にも立ち寄った。
アーマーライノ討伐の報告と共に、戦闘中にリフレクト・ショックが、前回よりも明確な形で、アルトの意志に応じて(結果的にではあるが)発動したことを伝える。
「まあ!まあまあ!ついに!意志による制御、成功ですの!?素晴らしい!アーマーライノ相手にそれを…!」
エリアーヌは、アルトの無事を喜びつつも、研究者としての興奮を隠せない。
「しかし…」彼女はアルトの消耗しきった様子を見て、表情を引き締めた。
「その力の代償…精神的な消耗は、やはり計り知れないようですわね。完全な制御法を確立するまでは、決して乱用してはなりません。あなたの魂そのものを危険に晒す行為ですわ」
二人は、今後、リフレクト・ショックのより安全で、段階的な制御訓練法、精神力の絶対量を底上げする訓練、エネルギーの指向性をより精密にコントロールする訓練、そして暴走を防ぐための精神防御術などを確立していくことを、固く確認し合った。ギフトの謎解明は、新たな、そしてより慎重さを要する段階へと入ったのだ。
アルトは、休息期間中に、頑鉄工房のボルガン親方の元も訪ねた。
砕け散ってしまったバックラー「夜鏡」の残骸と、討伐の証であるアーマーライノの巨大な角を見せる。
ボルガンは、その二つを交互に見比べ、目を丸くした後、大きなため息をついた。
「……この、大馬鹿者がァァーーッ!!だから無茶をするなと言ったであろうが!夜闇鋼でなければ、お前ごと木っ端微塵になっとったわ!!」
ボルガンは、工房中に響き渡るような大声で怒鳴りつけた。
しかし、その怒りの奥には、アルトの無事な帰還と、その信じられないほどの成長を認める、ドワーフの職人としての複雑な感情が窺えた。
「……ふん。だがまあ、アーマーライノ相手に生き延び、しかも討伐してくるとはな。その根性、そしてその腕は、もはやひよっことも言えん。Bランクというのも頷けるわい」
ボルガンは、少しだけ口調を和らげると、砕けた夜鏡の残骸を手に取り、厳しい目でそれを検分した。
「……よし。約束は約束じゃ。これよりももっと頑丈な『夜鏡』を打ち直してやる。今度は、お前さんの妙な反射の力を最大限に引き出し、Bランクの、いや、それ以上の戦いにも耐えうる、わしが生涯最高の傑作となる盾をな!」
ボルガンは、炉に新たな火を入れながら、力強く宣言した。
「最高の素材と、わしの全ての魂を注ぎ込む。だから、覚悟して待っていろ。そして、今度こそ、二度と壊すんじゃねえぞ!」
ボルガンからの、これ以上ない力強い約束に、アルトは深く頭を下げた。
「ありがとうございます、親方!いくらかかっても、必ず!」
新しい、そしてさらに強力になったであろう盾の完成が、今から待ち遠しくてたまらなかった。
王都に戻ったアルトは、再び長い休息期間に入った。
Bランクになったとはいえ、アーマーライノ戦でのダメージは深く、心身ともに完全な回復には時間が必要だった。
その間、リナが毎日、下宿屋を訪れ、献身的にアルトの世話を焼いてくれた。
彼女の治癒魔法は、アルトの傷の回復を早めるだけでなく、疲弊した彼の心を優しく、温かく癒してくれた。
「アルト……Bランクなんて、本当にすごいよ…。でも、お願いだから、もう本当に、本当に無理はしないでね。アルトにもしものことがあったら、私……私は、どうしたらいいか分からないよ……」
リナは、涙を浮かべながら訴えた。
「ごめん、リナ。心配ばかりかけてるな」
アルトは、彼女の温かい手に触れながら、静かに言った。
「でも、俺はもっと強くならなきゃいけないんだ。強くならなきゃ、守れないものがたくさんある。リナのことも、故郷のみんなのことも、そして…この王都で出会った、大切な人たちのことも。だから、もう少しだけ、俺の戦いを見守っていてほしい」
彼の真剣な瞳に、リナは黙って頷くしかなかった。
Bランクへの昇格、そしてギフト「リフレクト・ショック」覚醒への確かな一歩。
アルトの物語は、大きな節目を越え、新たな次元へと向かおうとしていた。
特製の盾「夜鏡」の完成を待ちながら、彼はエリアーヌと共にギフト制御の訓練を本格化させ、そしてBランク冒険者として相応しい、心技体を磨き上げるための基礎鍛錬を再開する。
アルトは、体中の痛みと深い疲労を引きずりながらも、巨大な鎧角獣(アーマーライノ)の角を肩に担ぎ、王都アステリアの門を再びくぐった。
彼の帰還は、すぐにギルド中に知れ渡ることになる。
ギルド本部の扉を開け、アルトがよろよろとカウンターへ向かう。
その満身創痍の姿と、明らかに尋常ではない大きさの角に、ホールにいた冒険者たちは一斉に息をのんだ。
三度、いや、もはや何度目か分からない衝撃が、ギルド全体を襲った。
「……ミノタウロス……いや、これは……鎧角獣(アーマーライノ)の角……だと……?」
カウンターの向こうで、ギルドマスターが、震える声で呟いた。
その目は、信じられないものを見るかのように、アルトのボロボロの姿と、巨大な角とを、何度も往復している。
「アルト君……君が、これを、単独で……?君は、もうBランクになったばかりだというのに……?」
「……はい。依頼……『鎧角獣討伐』、達成……しました……」
アルトは、かすれた声で、しかしはっきりとそう告げた。
その言葉が、ギルドホールに、もはや驚きを通り越し、呆れに近いような、それでいて熱狂的な興奮を巻き起こした。
「Bランク昇格直後にアーマーライノをソロで!?」「冗談だろ!?」「あのアルトって奴、本当にどこまで強くなるんだ…!」「もはや伝説級だな…」
賞賛、驚愕、そして畏敬の念すら入り混じった視線が、アルトへと一身に集中する。
ギルドマスターは、しばらくアルトの顔をじっと見つめていたが、やがて天を仰ぐようにして、深い、深いため息をついた。
そして、周囲の冒険者たちにも聞こえるように、しかしアルトに語りかけるように、力強く宣言した。
「……もはや、言葉もない。アルト君、君の実力は、疑いようもなくBランクにふさわしい。いや、その評価すら生ぬるいかもしれん!君は、このギルドの、いや、王国の宝と言っても過言ではない!」
マスターは、依頼報酬の金貨2枚に加え、Bランク冒険者による高難度魔獣単独討伐という、異例中の異例の功績に対し、再び破格の特別報酬(大量の金貨)をアルトに手渡した。
「これは、君の偉業に対する、ギルドからの最大の敬意だ。今はただ、ゆっくりと体を休めてくれ。話はそれからだ」
マスターの言葉に、周囲からは惜しみない拍手が送られた。アルトの名声は、王都で不動のものとなった。
ギルドでの報告を終え、アルトはエリアーヌの研究室にも立ち寄った。
アーマーライノ討伐の報告と共に、戦闘中にリフレクト・ショックが、前回よりも明確な形で、アルトの意志に応じて(結果的にではあるが)発動したことを伝える。
「まあ!まあまあ!ついに!意志による制御、成功ですの!?素晴らしい!アーマーライノ相手にそれを…!」
エリアーヌは、アルトの無事を喜びつつも、研究者としての興奮を隠せない。
「しかし…」彼女はアルトの消耗しきった様子を見て、表情を引き締めた。
「その力の代償…精神的な消耗は、やはり計り知れないようですわね。完全な制御法を確立するまでは、決して乱用してはなりません。あなたの魂そのものを危険に晒す行為ですわ」
二人は、今後、リフレクト・ショックのより安全で、段階的な制御訓練法、精神力の絶対量を底上げする訓練、エネルギーの指向性をより精密にコントロールする訓練、そして暴走を防ぐための精神防御術などを確立していくことを、固く確認し合った。ギフトの謎解明は、新たな、そしてより慎重さを要する段階へと入ったのだ。
アルトは、休息期間中に、頑鉄工房のボルガン親方の元も訪ねた。
砕け散ってしまったバックラー「夜鏡」の残骸と、討伐の証であるアーマーライノの巨大な角を見せる。
ボルガンは、その二つを交互に見比べ、目を丸くした後、大きなため息をついた。
「……この、大馬鹿者がァァーーッ!!だから無茶をするなと言ったであろうが!夜闇鋼でなければ、お前ごと木っ端微塵になっとったわ!!」
ボルガンは、工房中に響き渡るような大声で怒鳴りつけた。
しかし、その怒りの奥には、アルトの無事な帰還と、その信じられないほどの成長を認める、ドワーフの職人としての複雑な感情が窺えた。
「……ふん。だがまあ、アーマーライノ相手に生き延び、しかも討伐してくるとはな。その根性、そしてその腕は、もはやひよっことも言えん。Bランクというのも頷けるわい」
ボルガンは、少しだけ口調を和らげると、砕けた夜鏡の残骸を手に取り、厳しい目でそれを検分した。
「……よし。約束は約束じゃ。これよりももっと頑丈な『夜鏡』を打ち直してやる。今度は、お前さんの妙な反射の力を最大限に引き出し、Bランクの、いや、それ以上の戦いにも耐えうる、わしが生涯最高の傑作となる盾をな!」
ボルガンは、炉に新たな火を入れながら、力強く宣言した。
「最高の素材と、わしの全ての魂を注ぎ込む。だから、覚悟して待っていろ。そして、今度こそ、二度と壊すんじゃねえぞ!」
ボルガンからの、これ以上ない力強い約束に、アルトは深く頭を下げた。
「ありがとうございます、親方!いくらかかっても、必ず!」
新しい、そしてさらに強力になったであろう盾の完成が、今から待ち遠しくてたまらなかった。
王都に戻ったアルトは、再び長い休息期間に入った。
Bランクになったとはいえ、アーマーライノ戦でのダメージは深く、心身ともに完全な回復には時間が必要だった。
その間、リナが毎日、下宿屋を訪れ、献身的にアルトの世話を焼いてくれた。
彼女の治癒魔法は、アルトの傷の回復を早めるだけでなく、疲弊した彼の心を優しく、温かく癒してくれた。
「アルト……Bランクなんて、本当にすごいよ…。でも、お願いだから、もう本当に、本当に無理はしないでね。アルトにもしものことがあったら、私……私は、どうしたらいいか分からないよ……」
リナは、涙を浮かべながら訴えた。
「ごめん、リナ。心配ばかりかけてるな」
アルトは、彼女の温かい手に触れながら、静かに言った。
「でも、俺はもっと強くならなきゃいけないんだ。強くならなきゃ、守れないものがたくさんある。リナのことも、故郷のみんなのことも、そして…この王都で出会った、大切な人たちのことも。だから、もう少しだけ、俺の戦いを見守っていてほしい」
彼の真剣な瞳に、リナは黙って頷くしかなかった。
Bランクへの昇格、そしてギフト「リフレクト・ショック」覚醒への確かな一歩。
アルトの物語は、大きな節目を越え、新たな次元へと向かおうとしていた。
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