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山の神
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今、カフェでこれ書いてるんだけど。
窓の外の、あの、ごちゃごちゃしたビル群とか見てると、ふと、昔体験した、山での出来事を思い出しちまってさ…。
あれは、本当に、神隠しにでも遭うんじゃないかってくらい、怖かったんだ。
俺がまだ大学生の頃、夏休みに、サークルの仲間数人と、ちょっとした登山に行ったんだ。
まあ、本格的な登山じゃなくて、ハイキングコースみたいな、比較的楽な山だったんだけど。
その山の麓には、小さな、古びた神社があった。
「山の神様」を祀ってるって話で、登山客が安全祈願に立ち寄る、みたいな感じの。
俺たちも、登る前に、一応、そこで手を合わせてから出発したんだ。
天気も良くて、最初は、みんなでワイワイ喋りながら、気持ちよく登ってた。
でも、中腹くらいまで来た時かな。
急に、周りの空気が、ひんやりと変わった気がしたんだ。
さっきまで聞こえてた鳥の声も、風の音も、ぴたりと止んで、
シーン…と、不気味なほど静まり返った。
そして、どこからともなく、獣臭いような、濃い匂いが漂ってきた。
「…なんか、変な匂いしないか?」
仲間の一人が言った。
俺も、確かに感じてた。
それだけじゃない。
なんだか、ずっと、誰かに、見られてるような気がするんだ。
木々の奥の、暗がりから、じっと、複数の目で。
気味が悪くなって、みんな口数も少なくなって、黙々と登ってた。
そしたら、道端に、古びた、小さな石の祠(ほこら)が、ぽつんとあるのが見えた。
苔むしてて、半分土に埋もれてるような、本当に小さな祠。
その祠の前に、誰かが供えたのか、枯れかかった山野草と、小さな、歪な形をした、泥団子みたいなものが、いくつか置かれてた。
俺の仲間の一人、マコトって奴が、ふざけて、その泥団子の一つを、足でツンツンって突いたんだ。
「おい、やめろよ、バチ当たるぞ」
別の奴が言ったけど、マコトは、「へーきへーき、こんなもん」とか言って、笑ってた。
その時だった。
——— グォオオオオオオオオオオオオ……………。
山の、もっと奥の方から、今まで聞いたこともないような、巨大な獣の咆哮みたいな、地鳴りのような音が、響き渡ったんだ!
地面が、ビリビリと震えてる。
俺たち、もう、パニックだよな。
「な、なんだ今の音!?」
「熊か!? いや、もっとデカい…!」
その音は、一度だけじゃなくて、何度も、何度も、山全体を揺るがすように響いてくる。
そして、明らかに、その音は、俺たちの方へ、近づいてきてる!
木々が、ザワザワと、ありえないくらい激しく揺れて、
何かが、ものすごい勢いで、こっちへ向かってきてるのが分かった。
「逃げろ!!」
誰かが叫んで、俺たちは、もう、夢中で、来た道を駆け下りた。
途中、何度も転びそうになりながら。
背後からは、あの、咆哮と、地響きが、どんどん迫ってくる。
そして、あの、獣臭い匂いも、どんどん濃くなってくる。
もうダメだ、追いつかれる!
そう思った時、目の前に、あの、登る前に立ち寄った、麓の神社の鳥居が見えたんだ。
俺たち、最後の力を振り絞って、鳥居をくぐり抜け、神社の境内に転がり込んだ。
その瞬間。
——— ピタッ。
あれだけ激しかった、咆哮も、地響きも、獣臭い匂いも、全部、嘘みたいに消え去った。
神社の境内は、何事もなかったかのように、静まり返ってる。
ただ、俺たちの、荒い息遣いだけが響いてた。
しばらくして、恐る恐る、神社の外、さっきまでいた山の方を見たけど、何も変わった様子はない。
ただ、いつも通りの、静かな山があるだけ。
あれは、一体、何だったんだろう…?
俺たちは、結局、その日はもう山には戻らず、そのまま帰った。
マコトは、数日間、熱を出して寝込んだ。
うなされて、ずっと、「ごめんなさい、ごめんなさい」って言ってたらしい。
あの祠の、泥団子。
あれは、もしかしたら、「山の神様」への、大切な捧げ物だったのかもしれない。
そして、俺たちは、その怒りに触れちまったのかも…。
今でも、山とか、森とかに行くと、ふと、あの時のことを思い出す。
あの、全てを圧し潰すような咆哮と、
見えない何かに追われる、絶望的な恐怖を。
そして、思うんだ。
人間が、面白半分で、踏み込んじゃいけない領域っていうのが、
この世には、まだ、たくさんあるんだろうなって。
あの山の神様は、今も、あの森の奥で、
静かに、俺たち人間を、見ているのかもしれない…。
窓の外の、あの、ごちゃごちゃしたビル群とか見てると、ふと、昔体験した、山での出来事を思い出しちまってさ…。
あれは、本当に、神隠しにでも遭うんじゃないかってくらい、怖かったんだ。
俺がまだ大学生の頃、夏休みに、サークルの仲間数人と、ちょっとした登山に行ったんだ。
まあ、本格的な登山じゃなくて、ハイキングコースみたいな、比較的楽な山だったんだけど。
その山の麓には、小さな、古びた神社があった。
「山の神様」を祀ってるって話で、登山客が安全祈願に立ち寄る、みたいな感じの。
俺たちも、登る前に、一応、そこで手を合わせてから出発したんだ。
天気も良くて、最初は、みんなでワイワイ喋りながら、気持ちよく登ってた。
でも、中腹くらいまで来た時かな。
急に、周りの空気が、ひんやりと変わった気がしたんだ。
さっきまで聞こえてた鳥の声も、風の音も、ぴたりと止んで、
シーン…と、不気味なほど静まり返った。
そして、どこからともなく、獣臭いような、濃い匂いが漂ってきた。
「…なんか、変な匂いしないか?」
仲間の一人が言った。
俺も、確かに感じてた。
それだけじゃない。
なんだか、ずっと、誰かに、見られてるような気がするんだ。
木々の奥の、暗がりから、じっと、複数の目で。
気味が悪くなって、みんな口数も少なくなって、黙々と登ってた。
そしたら、道端に、古びた、小さな石の祠(ほこら)が、ぽつんとあるのが見えた。
苔むしてて、半分土に埋もれてるような、本当に小さな祠。
その祠の前に、誰かが供えたのか、枯れかかった山野草と、小さな、歪な形をした、泥団子みたいなものが、いくつか置かれてた。
俺の仲間の一人、マコトって奴が、ふざけて、その泥団子の一つを、足でツンツンって突いたんだ。
「おい、やめろよ、バチ当たるぞ」
別の奴が言ったけど、マコトは、「へーきへーき、こんなもん」とか言って、笑ってた。
その時だった。
——— グォオオオオオオオオオオオオ……………。
山の、もっと奥の方から、今まで聞いたこともないような、巨大な獣の咆哮みたいな、地鳴りのような音が、響き渡ったんだ!
地面が、ビリビリと震えてる。
俺たち、もう、パニックだよな。
「な、なんだ今の音!?」
「熊か!? いや、もっとデカい…!」
その音は、一度だけじゃなくて、何度も、何度も、山全体を揺るがすように響いてくる。
そして、明らかに、その音は、俺たちの方へ、近づいてきてる!
木々が、ザワザワと、ありえないくらい激しく揺れて、
何かが、ものすごい勢いで、こっちへ向かってきてるのが分かった。
「逃げろ!!」
誰かが叫んで、俺たちは、もう、夢中で、来た道を駆け下りた。
途中、何度も転びそうになりながら。
背後からは、あの、咆哮と、地響きが、どんどん迫ってくる。
そして、あの、獣臭い匂いも、どんどん濃くなってくる。
もうダメだ、追いつかれる!
そう思った時、目の前に、あの、登る前に立ち寄った、麓の神社の鳥居が見えたんだ。
俺たち、最後の力を振り絞って、鳥居をくぐり抜け、神社の境内に転がり込んだ。
その瞬間。
——— ピタッ。
あれだけ激しかった、咆哮も、地響きも、獣臭い匂いも、全部、嘘みたいに消え去った。
神社の境内は、何事もなかったかのように、静まり返ってる。
ただ、俺たちの、荒い息遣いだけが響いてた。
しばらくして、恐る恐る、神社の外、さっきまでいた山の方を見たけど、何も変わった様子はない。
ただ、いつも通りの、静かな山があるだけ。
あれは、一体、何だったんだろう…?
俺たちは、結局、その日はもう山には戻らず、そのまま帰った。
マコトは、数日間、熱を出して寝込んだ。
うなされて、ずっと、「ごめんなさい、ごめんなさい」って言ってたらしい。
あの祠の、泥団子。
あれは、もしかしたら、「山の神様」への、大切な捧げ物だったのかもしれない。
そして、俺たちは、その怒りに触れちまったのかも…。
今でも、山とか、森とかに行くと、ふと、あの時のことを思い出す。
あの、全てを圧し潰すような咆哮と、
見えない何かに追われる、絶望的な恐怖を。
そして、思うんだ。
人間が、面白半分で、踏み込んじゃいけない領域っていうのが、
この世には、まだ、たくさんあるんだろうなって。
あの山の神様は、今も、あの森の奥で、
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