【完結】島流しされた役立たず王女ですがサバイバルしている間に最強皇帝に溺愛されてました!

●やきいもほくほく●

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二章 サバイバル生活

③⓪

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それからメイジーはガブリエーレの世話をしつつ、ミミの家事を手伝い、島全体の仕事を終えたら網をひたすらに編んでいく。
それと並行して、丸く固く小さいものを探していた。

(核になるものが必要なのよね……そもそもあの噛みつき貝に核を入れることなんてできるのかしら)

真珠を作るために何年かかるかもわからないし、まだまだ実験したいこともたくさんある。

(紙とペンがあったらいいのに……葉を削って書き残すことはできるかしら)

記録をつけてトライアンドエラーを繰り返すしかないのだが、この環境ではそれも難しい。

二日ほどかけて色別に分けられているほどの網を作り上げるが、予備にともう一つ網を作らなければならない。
今日もガブリエーレに食事を運んだ後に、その場に座って網を作っていた。


『おい……』

「…………」

『聞いているのか?』

「…………」

『おい、メイジー!』

「へっ……!?」


名前を呼ばれたメイジーは驚いて肩を跳ねさせた。
キョロキョロと辺りを見回しつつも、ガブリエーレの青い瞳と目が合ったことでハッとする。
どうやら網を作るのに夢中になりすぎてしまったようだ。
彼は葉っぱに置いてある食事に一切手をつけていないではないか。

(どうしたのかしら……食欲がないとか?)

メイジーが手を止めて、ガブリエーレに向き直る。
すると不機嫌そうな彼がこちらをじっと見つめていた。


「具合でも悪いの?」

『……気分が悪いだけだ』

「どうして?」

『…………』


もう食べないないのだろうかと片付けようと手を伸ばすが『勝手なことをするな』と一蹴されてしまう。

(意味がわからないわ。どうしてほしいのかしら)

メイジーはガブリエーレを見て、ドーやデーやムーたちを思い出していた。
よくわからないわがままを言う姿は子どものようにも見えてくる。
 

「ちゃんとやって欲しいことを口にしないとわからないわよ?」

『……!』


ついミミがドーやデーたちに言っているようにガブリエーレに言ってしまった。
メイジーは失言してしまったかもと口元を抑えつつも、ガブリエーレが怒っているかと思い顔を上げる。

すると何故か真剣な表情でこちらを見ていたガブリエーレから放たれた言葉は信じられない一言だった。


『それを食わせろ』

「は……?」


驚きに目を見開いているメイジーだったが、食事を食べさせろというよくわからない命令に困惑していた。


「な、なんでわたしが……っ!」

『やって欲しいことを口にしろと言ったのはお前だぞ、メイジー』

「……っ!」


こんな時ばかりお前ではなく名前で呼ぶのはずるいと思った。
まるで肉食獣のようにこちらを捉えて離さないガブリエーレの瞳。
拒否したいのに、そうすることができない。
ガブリエーレの考えていることがわからずに困惑するばかりだ

(どうしてわたしがこんなことを……!)

そう思いつつ木の棒を削って作ったフォーク代わりのものを握ってフルーツを刺した。
ゆっくりとガブリエーレの口元へと運んでいく。
形のいい唇が開いて震える手でその中へ。
妙な背徳感にメイジーの頬が赤く染まっていく。

ガブリエーレはメイジーから視線が外れることはない。
心臓がドキドキと音を立てていた。
なんだか悔しくて睨み返すようにしてガブリエーレを見た。
するとガブリエーレは意地悪な笑みを浮かべているではないか。


『次……早くしろ』

「わかっているわよ!」


メイジーがもう一つフルーツを刺してガブリエーレの口元を見た時だった。
彼の唇と唇の間に挟まっているあるものを見て、飛びつくようにして彼に多い被さった。


『おい……! お前、何やってるんだっ』


メイジーの頭に直接響く声。
けれどメイジーはそれどころではなかった。
逃げられないようにと彼の頬を両手で顔を近づける。

(…………こ、これはっ!)


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