【完結】島流しされた役立たず王女ですがサバイバルしている間に最強皇帝に溺愛されてました!

●やきいもほくほく●

文字の大きさ
29 / 78
二章 サバイバル生活

②⑨

しおりを挟む

(形も疎らだしケシ真珠に近いけど……これをもし丸くできたら? 雫型のものだったらすぐにアクセサリーに加工できるんじゃないかしら)

つい癖で販売することまで考えてしまったが、この貝の真珠をうまく加工することができたら、ある程度の売り物になるのではないのか。

(色のバリエーション、艶、大きさも十分……問題は形。どのくらいの頻度でこれが出来上がるのかしら) 

シールカイズ王国には鉱山から獲れる原石ばかりで真珠はなかった。

(もしかして他の国ではポピュラーなアクセサリーとして使われるのかしら。使われてなかったら……これは商売のチャンスでは? うまくいけばぼろ儲けよ!)

今はシールカイズ王国の宝石が主流だが、それをこの真珠にできたのなら最大級の復讐にならないだろうか。

(お父様は長くは持たない。今は国が揺らいでいるから、真珠を売り込んでいけば……フフッ)

今は宰相、ディディエ、王妃、ジャシンスが国政の中心となっているはずだ。
宰相はそれなりに優秀だった。
ディディエがどのくらいの力量を持っているかにもよるが、問題はジャシンスと王妃をどこまでコントロールできるのかだ。
彼女を女王に指定しなかった理由。
普通ならば正妃と長子であるジャシンスが女王となるはずだ。

(だけど指名されたのは第二王女のわたし……)

メイジーならば反論もしないしわがままを言うことはない。
お飾りの女王にはもってこいだった。
こう考えるのが今のところ一番だろう。
あの二人が無茶ばかり言えばシールカイズ王国はどうなっていくのか簡単にわかるような気がした。

(シールカイズ王国の次に宝石で有名なのはスリーダイト帝国……!)

スリーダイト帝国の宝石は価値が高過ぎて滅多に出回らない。
魔法の力が込められたものがあり、それは様々な効果をもたらしている。
メイジーも手にしたことはないが、見てみたいとずっと思っていた。

(追い出される前に資料で読んだことがあるわ。その宝石を手にすると巨万の富を得るとか、幸運が訪れるとか……)

かなり貴重なものらしく、宝飾産業が盛んなシールカイズ王国でも滅多に出回ることはなかった。
そして普通の宝石をスリーダイト帝国の魔石だと言って高く売りつける詐欺が横行したことで、一般には出回らなくなったと聞いたことがある。

しかしその一方でその願いの込められた宝石を作り出す者がいくなったとも言われていた。

大国のスリーダイト帝国は他にも魔法によって、様々なことができるため宝石を輸出できなくなったところで大したダメージはないのかもしれない。
彼らに真珠を気に入ってもらえたら、メイジーはスリーダイト帝国で暮らしていけるのではないだろうか。

(……つまりわたくしが手を組むべきはスリーダイト帝国ね!)

次の目標が定まったメイジーの行動は早かった。
波が高くなる前に切り上げてからドーとデーと共にムーのお見舞いへ。
ミミやダダナは傷だらけのメイジーを涙ながらに抱きしめた。
そして腫れた鼻の手当てをしてもらってからムーの元へ。
ムーは元気そうにご飯を食べている。
むしろ傷だらけのメイジーの方がひどく見えてしまう。

あそこで波に飲まれると岩や貝に擦られて血まみれになるそうだ。
大体、子どもの頃には波に流されてしまい、ダダナも背中にその時の傷があると言っていた。
彼らはメイジーにお礼をしたいと言ったが、ムーにもらった真珠のような塊で十分だと答える。
それでも気が収まらないミミにあることを頼む。


「ミミ、わたしに網の作り方を教えて! やりたいことができたの」

『網……? わかった』


ミミは不思議そうにしつつも快く受け入れてくれた。
メイジーがツタで網作りに苦戦している最中も、ムーを体を張って助けたメイジーには自然と称賛の声が集まっていた。
メイジーはこの件をきっかけに島民たちから本当の意味で受け入れられた気がした。

ダダナもメイジーに協力してくれるように網の材料のツタを仲間たちと大量に取ってきてくれた。

(始めるわよ! 丸く美しい真珠を作る実験を……!)

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~

上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」  触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。  しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。 「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。  だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。  一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。  伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった  本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である ※※小説家になろうでも連載中※※

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!

さこの
恋愛
 婚約者の第五王子フランツ殿下には好きな令嬢が出来たみたい。その令嬢とは男爵家の養女で親戚筋にあたり現在私のうちに住んでいる。  婚約者の私が邪魔になり、身分剥奪そして追放される事になる。陛下や両親が留守の間に王都から追放され、辺境の町へと行く事になった。  100キロ以内近寄るな。100キロといえばクレマン? そこに第三王子フェリクス殿下が来て“グレマン”へ行くようにと言う。クレマンと“グレマン”だと方向は真逆です。  追放と言われましたので、屋敷に帰り準備をします。フランツ殿下が王族として下した命令は自分勝手なものですから、陛下達が帰って来たらどうなるでしょう?

捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています

h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。 自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。 しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━? 「おかえりなさいませ、皇太子殿下」 「は? 皇太子? 誰が?」 「俺と婚約してほしいんだが」 「はい?」 なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。

私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの
恋愛
 幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。  誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。  数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。  お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。  片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。  お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……  っと言った感じのストーリーです。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』

とびぃ
ファンタジー
追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~ -第二部(11章~20章)追加しました- 【あらすじ】 「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」 王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。 彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。 追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった! 石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。 【主な登場人物】 ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。 ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。 アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。 リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。 ロイド・バルトロメウス 『天秤と剣(スケイル&ソード)商会』の会頭。ソフィアに命を救われ、彼女の「薬学」の価値を見抜くビジネスパートナー。 【読みどころ】 「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。

処理中です...