【完結】島流しされた役立たず王女ですがサバイバルしている間に最強皇帝に溺愛されてました!

●やきいもほくほく●

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四章 最強の皇帝

⑤④

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見渡す限りの海と肌をジリジリと焼け付く太陽。
潮の香りと波の音が聞こえる。
不思議なのはこの場所にドレス姿で立っていることだ。
クラリと目眩を感じたが、きっと暑さのせいだろう。

(……まさか本当に島に繋がっているなんて!)

感動しつつ、メイジーはガブリエーレを連れて歩いていく。
その後ろにはベルーガ、マオ、イディネスの姿。
メイジーは久しぶりに島民たちに挨拶しようとしたのだが……。


「久しぶり! ダダナやミミはいる?」

『『『…………』』』


メイジーが手を振って島民たちの元に駆け寄るが、黙り込んでしまい何も答えてはくれない。
次々に人が集まってくるのだが、同じことの繰り返しだった。
人集りができているが、その中にダダナとミミの姿も見えた。


「ダダナ、ミミ……! ムーたちも久しぶり!」


メイジーがそう言った瞬間、島民たちは再び神に祈るポーズをしている。
メイジーは後ろにいるガブリエーレたちの姿を思い出していた。
特にガブリエーレの神々しさはこの島にいる時の非ではない。

今日は大きい船はないが、マオとイディネスは言葉が通じないかはとこちらに攻撃したのだ。
怖がっているかもしれないと思っていたが、メイジーの予想を大きく裏切ることになる。


『女神様……! 女神様だ!』

『女神様、女神様……っ』


そこら中からそんな声が届く。
困惑からガブリエーレを見るものの、彼は腹を抱えて口を押さえながら噴き出すのを耐えているように見えた。

この状況で女神と呼ばれる女性は一人しかいない。
明らかにメイジーのことを指しているではないか。

(……なんで?)

初対面の時の違いすぎる態度に困惑していると、ガブリエーレにはかろうじて気がついたのだろう。
いつもより熱量の高いガブリエーレコールには圧倒されるばかりだ。
落ち着いた頃、メイジーは声を上げる。


「わ、わたし……メイジーよ?」

『『『…………』』』


島民たちはピタリと動きを止めた後にコソコソと話されている。
なんとも気まづい雰囲気にメイジーは自分の顔を指さしてアピールする。


「メイジーだよ! ほら、顔見て!」

『女神様、メイジーじゃない』

『メイジー、ガブリエーレ様に連れてかれた』


まったくの別人だと言われていることに大きなショックを受けていると……。


『メイジー!』


ダダナとミミの子どもであるムーがこちらにやってきて、ドレスにしがみつく。


「ムー、また会えてよかったわ!」

『メイジー、だいすきっ』


ムーとメイジーのやりとりを見た島民たちは、メイジーだと気がついたらしい。
『本当に? メイジー?』
『メイジー、あのメイジーか?』
そんな言葉に「今は洗濯とお昼ご飯の支度中かしら」と言うと、皆から湧き上がる歓声。

メイジーは皆との参加を喜んでいると、ガブリエーレはダダナの元へ。
彼らが何かを話している隙に、メイジーはドーとデーとムーに貝のことを問いかける。
どうやらメイジーが大切にしていた貝という認識があるようで、皆で波に流されないようにと面倒を見てくれていたらしい。

皆にお礼を言いつつ、さっそく貝を見に行こうとするとガブリエーレに止められてしまう。


『今日は帰るぞ』

「えっ……まだ貝の様子を見ていないんですけど!」

『俺が帰ると言っている』

「…………はい」


ガブリエーレから発せられる圧力に屈したメイジーは頷くしかなかった。
島民たちに別れを告げて、メイジーは通ってきた扉を潜るために岩場に戻る。
行きはガブリエーレにエスコートを受けていたため、支えられていたのだと今になって気がつく。
ドレスでは歩きづらくよたよたと歩いていると、ガブリエーレが無言でメイジーを抱え上げる。


「……きゃっ」


バランスが取れずにガブリエーレの首元に腕を巻き付けた。
しかしガブリエーレは平然としていて、気にする様子はない。
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