37 / 56
番外編(本編の内容とは少し異なります。時系列バラバラです)
⑧新しい世界(クーシャ&リオノーラ)
しおりを挟む
(王家のお茶会中、リオノーラとクーシャの会話)
「……クーシャ?」
「…………」
「どうしたの?クーシャ」
「あ……なんでもないです」
「そう。何かあったら言ってね」
ぼーっと心ここに在らずのクーシャは最近よく考え込んでいる姿を目にする。
クーシャを休ませようと声を掛けようとした時だった。
「お姉様、リオノーラお姉様……っ!私、向こうのお菓子が食べたいわ」
「お菓子ならいいわよ、お菓子ならね」
「はい、食べ過ぎないように気をつけますねっ!」
嬉しそうなスフレには、リオノーラに意図は伝わっていないだろう。
少しでもデリックの側に行きたいのか、お菓子と言いながらも人混みに行ってしまった。
やり方は乙女ゲームの中のリオノーラと違うのだが、強引ではないものの、なかなかに積極的である。
リオノーラは家の権力と横暴な態度で押し通った感じではあるが、スフレも同じ公爵令嬢だ。
周囲は不満があっても強くは出られないだろう。
スフレも心配で様子を見たいのだが、顔には出てないがクーシャもいつもと違って疲れているように思えた。
「クーシャ、大丈夫?何か食べる?」
「いえ……僕は」
「少し頂きましょう。わたくしもお腹すいたの」
「……はい」
「ふふっ、クーシャは待っててね。わたくしがクーシャの好きそうなものを持ってくるから」
「姉上っ!待ってください、僕が行きます」
「いいのよ、たまにはわたくしもクーシャに色々とやってあげたいのよ」
「……すみません」
「クーシャ、わたくし達は家族なのよ。遠慮しないで」
「え……?あっ……ありがとうございます」
「少し待っててね」
仕方がない事だが、クーシャはリオノーラや他のことに対して過度に遠慮することがある。
クーシャが以前、家で酷い扱いを受けていたことは聞いていた。
だから居る時だけでも弟として可愛がってあげたいと思うのはエゴだろうか。
クーシャとの間に、どうしても踏み込めない一線があった。
素直で、聡明で頭も回るが常に人の表情を伺い、すぐに謝罪をしてしまうのは貴族としてあまりいいらとは言えないだろう。
(どうすれがもっとクーシャが心を開いてくれるのかしらま
小さな肩にのし掛かる重圧を少しでも和らげられたらとは思うのだが、ダーカー公爵邸に帰るといつもスフレが甘えてくるのでクーシャとの時間はなかなかとれずにいる。
数年掛けて、食べ物の好みなどは知る事はできたのだが……。
(まだクーシャの笑った顔を見たことがないわ……これじゃあ姉失格かしら)
そう思うと、リオノーラは落ち込まずにはいられなかった。
(これと、これと……。デリックとかユーリンの好みはわかりやすいけど。あ、これはどうかしら)
色々と皿の上に乗せていくと山盛りになってしまった。
(こうなったら、クーシャとの時間を取るしかないわ!)
そう決意したリオノーラはクーシャの元に歩き出した。
「……クーシャ?」
「…………」
「どうしたの?クーシャ」
「あ……なんでもないです」
「そう。何かあったら言ってね」
ぼーっと心ここに在らずのクーシャは最近よく考え込んでいる姿を目にする。
クーシャを休ませようと声を掛けようとした時だった。
「お姉様、リオノーラお姉様……っ!私、向こうのお菓子が食べたいわ」
「お菓子ならいいわよ、お菓子ならね」
「はい、食べ過ぎないように気をつけますねっ!」
嬉しそうなスフレには、リオノーラに意図は伝わっていないだろう。
少しでもデリックの側に行きたいのか、お菓子と言いながらも人混みに行ってしまった。
やり方は乙女ゲームの中のリオノーラと違うのだが、強引ではないものの、なかなかに積極的である。
リオノーラは家の権力と横暴な態度で押し通った感じではあるが、スフレも同じ公爵令嬢だ。
周囲は不満があっても強くは出られないだろう。
スフレも心配で様子を見たいのだが、顔には出てないがクーシャもいつもと違って疲れているように思えた。
「クーシャ、大丈夫?何か食べる?」
「いえ……僕は」
「少し頂きましょう。わたくしもお腹すいたの」
「……はい」
「ふふっ、クーシャは待っててね。わたくしがクーシャの好きそうなものを持ってくるから」
「姉上っ!待ってください、僕が行きます」
「いいのよ、たまにはわたくしもクーシャに色々とやってあげたいのよ」
「……すみません」
「クーシャ、わたくし達は家族なのよ。遠慮しないで」
「え……?あっ……ありがとうございます」
「少し待っててね」
仕方がない事だが、クーシャはリオノーラや他のことに対して過度に遠慮することがある。
クーシャが以前、家で酷い扱いを受けていたことは聞いていた。
だから居る時だけでも弟として可愛がってあげたいと思うのはエゴだろうか。
クーシャとの間に、どうしても踏み込めない一線があった。
素直で、聡明で頭も回るが常に人の表情を伺い、すぐに謝罪をしてしまうのは貴族としてあまりいいらとは言えないだろう。
(どうすれがもっとクーシャが心を開いてくれるのかしらま
小さな肩にのし掛かる重圧を少しでも和らげられたらとは思うのだが、ダーカー公爵邸に帰るといつもスフレが甘えてくるのでクーシャとの時間はなかなかとれずにいる。
数年掛けて、食べ物の好みなどは知る事はできたのだが……。
(まだクーシャの笑った顔を見たことがないわ……これじゃあ姉失格かしら)
そう思うと、リオノーラは落ち込まずにはいられなかった。
(これと、これと……。デリックとかユーリンの好みはわかりやすいけど。あ、これはどうかしら)
色々と皿の上に乗せていくと山盛りになってしまった。
(こうなったら、クーシャとの時間を取るしかないわ!)
そう決意したリオノーラはクーシャの元に歩き出した。
407
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。