推しを味方に付けたら最強だって知ってましたか?

●やきいもほくほく●

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番外編(本編の内容とは少し異なります。時系列バラバラです)

新しい世界2

(クーシャとリオノーラのお出かけ、リオノーラside)



「クーシャ、今日は宜しくね」

「はい」


思い立ったら即行動である。
題して「クーシャの笑顔を見てみたい」作戦の開始である。
「スフレも行きたい」と間違いなく言われてしまうので、バレないように父と母に協力してもらい計画を立てたのだった。

クーシャはリオノーラの提案に一瞬だけ戸惑った様子を見せたものの、大人しく頷いた。

護衛には背後からついてきてもらい、クーシャと町に出た。

クーシャリオノーラの背はそんなに変わらない。
むしろ少し小さい位だ。
可愛いくて綺麗な弟を連れて、お出掛けできるのは良い気分である。


「クーシャは甘いものと、しょっぱいもの、どっちが好きかしら?」


クーシャは大抵、質問すると『どちらでもいい』とか『姉上が好きな方で』と言って人に選択肢を預けてしまう。
だから今日は作戦を考えてきたのだ。

必殺、選択肢は二つだけ。

どちらかは必ず選ばせるようにもっていく。
こうして選択肢を狭めていけば、クーシャの好みが絞られていくという作戦なのだが……。


「僕は……」

「うんうん!」

「食べられれば何でもいいです」

「……!?」


結局、選択肢はリオノーラに委ねられてしまう。
しかしここでめげたりしない。

(ーーー次よ、次ッ!)

この時は自分が思っているよりも、ずっと手強いクーシャに翻弄される事になるとは、まだ思っていなかった。

雑貨屋ににて。


「クーシャ何か欲しいものある……?」

「いえ、特には」


ブティックにて。


「これ、クーシャに似合いそうね!」

「そうですか……覚えておきます」


アクセサリーショップにて。


「うーん、どっちのアクセサリーがクーシャに似合うかしら」

「このネックレス、姉上に似合いそうです」


路面店にて。


「クーシャの好きなものを買いましょうか?パン?クッキー?あ、やっぱりお肉?」

「食べられれば何でもいいです」


(デジャヴゥゥウッ……!!)



相変わらず表情が読めないクーシャ。
そして手札が無くなり困り果てていた。
休憩がてらカフェに入り、ケーキと紅茶を頼む。

問いかければ答えてくれるものの、会話は弾むことも盛り上がることもない。

元々反応が薄いため、感情が分かりにくいのが難点だ。
どんなに隠そうとしても多少なりとも感情は滲み出るものだが、クーシャの場合は完全なる『無』である。


「姉上?」

「……」

「姉上、大丈夫ですか?」

「え、あ……っ、大丈夫よ……!」


(しまったああぁ!考え込みすぎてクーシャに余計な心配を……!)


「お待たせ致しました」


ナイスなタイミングでケーキと紅茶がやってきた。
美しくデコレーションがされたチョコレートケーキと良い香りがする紅茶にリオノーラは顔を綻ばせた。

流石、ゾイに聞いた噂のカフェは素晴らしい。


「わぁ……かわいい」


ケーキをパクりと口の中へと運ぶ。
クリームが口の中で蕩けて、生チョコレートがトロトロと舌の上で溶けていく。
少しほろ苦くて、甘さもちょうどよく大変美味しい。


「ん~!!」

「………」

「クーシャ、美味しい?」

「はい」

「こっちのケーキも美味しいわよ?」

「え……?」

「あーん」

「……っん!?」

「ふふ、美味しいでしょう?」

「あ………はい」


少し困ったように此方を見ているクーシャを見て、ハッ……とする。
もしかして、やり過ぎてしまったのではないか…と。

美味しいケーキを一緒に食べたいという気持ちでいたために、何も考えていなかった。

(なんて罪なチョコレートケーキ……!あまりの美味しさに我を忘れてしまったわ)
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