悪役令嬢は美貌と権力でざまぁする

Ao

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【アルフォンス視点】婚約破棄の幸運

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俺はレヴィアタン公爵家の次男、アルフォンス。
兄が家を継ぐから、俺には重責はなく、悠々自適な生活。ただそれなりの家の令嬢の婿になり、そこそこの地位を手に入れて暮らしていくのだと、そう思っていた。

だから、王子の婚約破棄の件も正直当初はどうでもよかった。まさか愚かな王子が、あのフェリシア・ド・ヴァレンシュタイン様を手放すとは。

舞踏会で一度お見かけした時、その美しさに目を奪われた。完璧な彫像のようだった。同時に、あの圧倒的な存在感。あれこそ、支配者の器なのだと直感した。

だから、婚約が破棄され求婚状が殺到していると聞いた時、これは好機だと確信した。もしあのフェリシア様を妻にし、ヴァレンシュタイン公爵家の婿になれたら、俺の人生は大きく変わるだろう。

「レヴィアタン公爵家は、この国において、ヴァレンシュタイン公爵家と並び称される唯一の存在。そして、軍事力を有する貴方方こそが、今、最も必要な後ろ盾ですわ」

面会の席で、フェリシア様はそう言い放った。その紫水晶の瞳は、まるで俺の胸の内を見透かしているようだった。その瞳は俺にとって頼もしく、魅力的に見えた。

これほどの才覚を持つ女性と組めば、望む限りの高みへ行ける。ヴァレンシュタイン公爵家の婿として、この国の貴族社会で確固たる地位を築く。その絵図が、鮮明に見えたんだ。

結婚してからの日々は、期待以上だった。フェリシア様、いや、フェリシアは、その美貌と才覚を遺憾なく発揮し、瞬く間に貴族派の盟主としての地位を確立した。

社交界では、常に彼女の周りに人が集まっている。愚かな男たちは、彼女の美しさに惑わされ、その掌で踊らされていることに気づきもしない。

俺は、その隣で完璧な夫を演じている。
彼女の言葉に静かに頷き、彼女の意図を汲み取り、先回りして動く。

「さすがアルフォンス様、奥様をよく支えてらっしゃる。」

そんな周囲の声を聞くたび、俺は内心で満足感を覚える。美しいフェリシアの夫として、この地位にいるだけで、俺は十分だ。

彼女は、貴族たちの弱みを握るのが得意だ。裏で蓄えられた不正な財産、隠された不貞、あるいは些細な失言。彼女はそれらを巧妙に利用し、貴族たちを意のままに操っていく。

俺は、彼女が仕掛けた策略の回収役だ。彼女が情報を掴み、俺がそれを元に裏で動き貴族たちを追い詰める。この共犯関係がたまらない。

少し重めの仕事が来ようと、フェリシアの微笑みと期待の目を前にしたら気付かぬうちに首肯している俺もきっとフェリシアの美貌に踊らされている一人なのだろう。

「王家が弱体化した今、この国の未来は、私たち貴族が担うべきですわ」

彼女が社交界でそう宣言した時、貴族たちの顔は畏怖と期待に満ちていた。王宮はもはや形骸化し、この国の政治は、このヴァレンシュタイン公爵邸で動いている。そう、フェリシアの手の中でな。

王宮に呼び出された日、フェリシアは相変わらず優雅だった。王と王妃となった、かつての婚約者とその隣で怯えるリリアーナを前に、静かに微笑んでいた。

俺は一歩下がって控えていたが、その視線は常に彼らの惨めさを捉えていた。

「何を仰いますの、陛下。わたくしはただ、この国の未来を案じ、貴族として当然の責務を果たしているだけですわ」

フェリシア様の言葉は、まるで真実を語っているかのようだった。実際に、彼女の介入で領地は潤い、民は喜び、貴族は彼女に従う。全てが彼女の計算通りだ。

「反逆……?いいえ、滅相もない。わたくしはただ、この国に必要な改革を推し進めているだけ。陛下が王位に就かれてから、この国の財政は悪化の一途を辿り、民も貴族も疲弊しております。これでは、国が滅びてしまいますわ」

王子の顔は怒りで真っ赤になり、リリアーナは涙を流しながら座り込んでいた。だが、フェリシア様は容赦なく彼らを追い詰める。

「結局のところ、生まれ持った権力と美貌、そしてそれを活用することがどれほど重要だったか。今、身をもって実感していらっしゃるのではないでしょうか、陛下」

フェリシアの冷たい笑みが、王宮の空気を凍りつかせた。俺は、その哀れな姿を視線で追いながら、心の中で満ち足りた思いを抱いていた。

このバカな王がフェリシアを捨てたおかげで、俺はヴァレンシュタイン公爵家の婿という地位を得て、これほど完璧な美しさと才覚を持つフェリシア様を妻にできたのだ。これ以上の幸福があるだろうか。

もはや、この国はフェリシア様の手中にあった。王と王妃は、ただのお飾りに過ぎず、彼らは二度と、権力を取り戻すことはできなかった。
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