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誘惑の夜に
黄昏の国家06
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関東電力の株が近い将来、跳ね上がるという内容であった。
これはインサイダー取引になるのではないか?
もし、そうだとすれば内村は大いに迂闊な事を口走ったことになる。
人は腑としたことから、重要な内容を零すことがある。
内村はまさに、その典型的な人物である。
内容はすぐさま角安に連絡が入り、有益な情報として得ることが出来た。
「間違いないな、川崎副次官が関わっている」確証を持った瞬間であった。
だが、総理大臣をカバーする、副次官だけに角安もそうそう近寄れる相手ではない。
だとすると、正攻法で攻めるしかない。
インサイダー取引の証拠を掴めばよい。
角安は特Aに対して、新たな任務を与えた。内村奈々を落とす事である。
ハニートラップの反対であるが、特Aのキャパでもある為、角安は慎重ながらも期待を以てした。
時間は午後八時二十六分、内村は仕事を終えて国会議事堂前駅に向かった。
これに先回りしていた特Aが有楽町で待機する。偶然を装って食事に誘う手筈。
古くされた手法だが、時代がどれだけ進んでもこの手は使えるのだ。
「あれ?内村さん」ごく自然に近付く。
警戒はされなかったが、有楽町で逢ったことで少し気まずさを持っている感じであった。
しかし川崎副次官の秘書だけあって、笑顔で答えた。
「あら、立木さん、偶然ですわね」
特Aは立木と名乗っていた。これは官僚の中で予め、ワークステーションに登録されている情報を操作して、繋ぎ合わせた名前である。
「内村さん、ほんと偶然ですね。今、御帰りですか?」
「どうです?食事でもご一緒に。うまい串カツ屋があるんですよ」
敢えて高級なレストランではなく、庶民感覚の場所を指定する。相手が立ち寄りやすい、または人気が多い場所を選択するのも、また計略である。
内村は少し考えたが、その場所ならば逃げれると踏んだのだろう。OKを出した。
「ここからだと歩いて十分もかかりませんよ」
立木の言う通り、僅かな時間で到着した串カツ屋。
のれんを潜ると結構な広さに内村は安堵した。客も大勢いる。
立木は椅子を引いて、内村をエスコートした。
メニューは多くあり、内村は正直、串カツ屋に入った経験がなかったので、立木に内容を聞いて来た。
「この、『チューリップ』というのは、本当に植物のチューリップですか?」
周りの人がその言葉を聞いて、噴き出した。
可成り恥ずかしい事を聞いたと思い、俊とする内村だが、直ぐに立木がフォローした。
「最初は判りませんよね。これは鶏肉の手羽中の事です」
「ああ、そうなんですか?すいません。私ったら…」
早速、立木はチューリップを頼んで食すのに、注意を一つ伝えた。
「ソースですが、二度付けは禁止です。最初にたっぷりつけて食べて下さい」
ゆっくり口元に運び、内村は上品に食す。
「うん、美味しい!こんな美味しいものだなんて…」
「さぁ、ビールで乾杯しましょう」
食事は他愛無い話から、現在の政府の在り方など、時間を忘れて過ごした。
可成り酒が回った内村を、したたかな眼で立木は見ながら更に酒を勧めた。
時間は午後十時半を少し回った。店は十一時までの営業である。
内村が気が付いた時には、タクシーの中だった。
これはマズいと思ったが、飲み過ぎて身体も思考も追い付かなくなっていた。
無理もない。初めはビールから、のちにハイボールを可成り飲んだ。
しかし、ぼんやりとした目線で立木を見つめると、満更でもないと感じる。
タクシーが止まったのは、ラブホテル街だった。
二人は一角の建物の中に入っていった。
一時の情事。これで立木の任務は半分成功したことになる。
翌朝、見慣れない部屋の模様を気にしながら、内村は立木に言った。
「こうやって、女の子を手に掛けているの?」
「まさか。内村さんが初めてだよ」これは真っ赤な嘘である。
「ふーん。でも、こんな感じ、悪くないわ」
立木はそんなやり取りを過ごし、本題の入り口に入った。
「川崎先生は気性の荒い人物と聞くが、よく秘書を務めてるね」
内村はその意見に笑みを混め答えた。
「先生とはよくお泊りするわ」
なるほど、そんな関係か。まさに今、ビジョノートにて角安に配信されているとも気付かずに…。
「そうだ!ビッグ・ワンというのを知っているかい?なんでも準日本政府組織だそうだ。誰か知らんが、良く作ったものだよ」
こんな話は本当はいけないんだと思うけど、前を気をする内村。
「先生は、イザとなったら誰でも平気で手に掛けるわ」
これはインサイダー取引になるのではないか?
もし、そうだとすれば内村は大いに迂闊な事を口走ったことになる。
人は腑としたことから、重要な内容を零すことがある。
内村はまさに、その典型的な人物である。
内容はすぐさま角安に連絡が入り、有益な情報として得ることが出来た。
「間違いないな、川崎副次官が関わっている」確証を持った瞬間であった。
だが、総理大臣をカバーする、副次官だけに角安もそうそう近寄れる相手ではない。
だとすると、正攻法で攻めるしかない。
インサイダー取引の証拠を掴めばよい。
角安は特Aに対して、新たな任務を与えた。内村奈々を落とす事である。
ハニートラップの反対であるが、特Aのキャパでもある為、角安は慎重ながらも期待を以てした。
時間は午後八時二十六分、内村は仕事を終えて国会議事堂前駅に向かった。
これに先回りしていた特Aが有楽町で待機する。偶然を装って食事に誘う手筈。
古くされた手法だが、時代がどれだけ進んでもこの手は使えるのだ。
「あれ?内村さん」ごく自然に近付く。
警戒はされなかったが、有楽町で逢ったことで少し気まずさを持っている感じであった。
しかし川崎副次官の秘書だけあって、笑顔で答えた。
「あら、立木さん、偶然ですわね」
特Aは立木と名乗っていた。これは官僚の中で予め、ワークステーションに登録されている情報を操作して、繋ぎ合わせた名前である。
「内村さん、ほんと偶然ですね。今、御帰りですか?」
「どうです?食事でもご一緒に。うまい串カツ屋があるんですよ」
敢えて高級なレストランではなく、庶民感覚の場所を指定する。相手が立ち寄りやすい、または人気が多い場所を選択するのも、また計略である。
内村は少し考えたが、その場所ならば逃げれると踏んだのだろう。OKを出した。
「ここからだと歩いて十分もかかりませんよ」
立木の言う通り、僅かな時間で到着した串カツ屋。
のれんを潜ると結構な広さに内村は安堵した。客も大勢いる。
立木は椅子を引いて、内村をエスコートした。
メニューは多くあり、内村は正直、串カツ屋に入った経験がなかったので、立木に内容を聞いて来た。
「この、『チューリップ』というのは、本当に植物のチューリップですか?」
周りの人がその言葉を聞いて、噴き出した。
可成り恥ずかしい事を聞いたと思い、俊とする内村だが、直ぐに立木がフォローした。
「最初は判りませんよね。これは鶏肉の手羽中の事です」
「ああ、そうなんですか?すいません。私ったら…」
早速、立木はチューリップを頼んで食すのに、注意を一つ伝えた。
「ソースですが、二度付けは禁止です。最初にたっぷりつけて食べて下さい」
ゆっくり口元に運び、内村は上品に食す。
「うん、美味しい!こんな美味しいものだなんて…」
「さぁ、ビールで乾杯しましょう」
食事は他愛無い話から、現在の政府の在り方など、時間を忘れて過ごした。
可成り酒が回った内村を、したたかな眼で立木は見ながら更に酒を勧めた。
時間は午後十時半を少し回った。店は十一時までの営業である。
内村が気が付いた時には、タクシーの中だった。
これはマズいと思ったが、飲み過ぎて身体も思考も追い付かなくなっていた。
無理もない。初めはビールから、のちにハイボールを可成り飲んだ。
しかし、ぼんやりとした目線で立木を見つめると、満更でもないと感じる。
タクシーが止まったのは、ラブホテル街だった。
二人は一角の建物の中に入っていった。
一時の情事。これで立木の任務は半分成功したことになる。
翌朝、見慣れない部屋の模様を気にしながら、内村は立木に言った。
「こうやって、女の子を手に掛けているの?」
「まさか。内村さんが初めてだよ」これは真っ赤な嘘である。
「ふーん。でも、こんな感じ、悪くないわ」
立木はそんなやり取りを過ごし、本題の入り口に入った。
「川崎先生は気性の荒い人物と聞くが、よく秘書を務めてるね」
内村はその意見に笑みを混め答えた。
「先生とはよくお泊りするわ」
なるほど、そんな関係か。まさに今、ビジョノートにて角安に配信されているとも気付かずに…。
「そうだ!ビッグ・ワンというのを知っているかい?なんでも準日本政府組織だそうだ。誰か知らんが、良く作ったものだよ」
こんな話は本当はいけないんだと思うけど、前を気をする内村。
「先生は、イザとなったら誰でも平気で手に掛けるわ」
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