【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第三章 幸せの行方

27 成人 50

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 皆で座って、いただきます、と手を合わせる。俺は真似して、肘と手を合わせる。ご挨拶するのね。餌じゃなく燃料でもなく、これはご飯だから。
 茶碗蒸しを手前に持ってきた。プリンと似てるけど、黒いのがない。美味しい。すごく、美味しい。黄色いものは、美味しいものなのかも!

「相変わらず、ばっかり食いだな」

 当たり前のように左隣に座っていた力丸りきまるが、お粥を口に入れてくる。いやん。

力丸りきまる、お前は何でここにいるんだ?」
「はあ? 今日、ただ働きしてたんですけど。何か押しかけてきたお嬢様を追い払う手伝いとか、後片付けとか、大変だったんですけど。夕食もらっても足りない働きだと思うんですよね」
「食ったらすぐ帰れ。あと、席を移動して成人なるひとから離れろ」

 俺を挟んで、緋色ひいろ力丸りきまるが喋っている。大勢で食べると、楽しいね。そして、茶碗蒸し美味しいね。

「そんなこと言っていいんですか? 成人なるひとが退院できたのって、俺のお陰ですよね。ご褒美くださいよ」

 だから、お粥はいらないってば。口に入れられた。もうっ。俺は茶碗蒸し食べてるの。
 ちっ、て緋色ひいろが舌打ちをする。

「……何がいるんだ?」
「ここに住みたい。四月から城で仕事だから、通いやすい。休みの日はすぐに成人なるひとと遊べるし」
「却下」
「いーや、それだけのことをしたね、俺は」
「却下」
力丸りきまるとすぐ遊べる?」
成人なるひと! すぐ遊べるように一緒に暮らしたいって殿下にお願いして」
「うん」

 緋色ひいろの方を見ると、ふいと横を向かれた。あれ?

成人なるひと、魚も食べてみ?」

 力丸りきまるが、俺の魚をスプーンでほんの少しすくって口に入れてくる。こんな食べ物、初めて見た。とろっとして、美味しい。ちょっと頑張って噛む。とろっとしたのが無くなったら口に残ってる魚が、柔らかいのに飲みにくい。

「ん。んくっ」

 緋色ひいろが慌てて水をくれたけど、やっぱり飲めない。一回出せ、と口から取り出してくれた。
 ちょっとむせてたら、広末ひろすえが飛んできた。

「何が詰まった?」
「魚」

 と力丸りきまるが答える。

「やっぱりか。早かったな。すまん」

 美味しかったから。悲しそうな顔はしないで、広末ひろすえ

「茶碗蒸し、美味しいね」

 空っぽの器を見せたら、嬉しそうに笑ってくれた。俺も嬉しくて笑った。
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