【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第三章 幸せの行方

26 成人 49

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 緋色ひいろとくっついて、お昼寝した。いっぱい寝た。気持ち良かった。ちゅーもしたし。そのままずっと寝てても良かったけど、ご飯を食べなさいと広末ひろすえが呼びに来た。退院のお祝いするよって。
 大勢でご飯を食べるのは初めてだ。
 まだ歩けないので、緋色ひいろに抱かれて移動して部屋へ入った。階段を下りて食べる部屋へ行った。広い家は、どこへ行くのも大変そう。
 座卓に一人分づつの盆にのせたご飯が並んでいく。たくさんある。皆、いっぱい食べるなあ。
 
「殿下。成人なるひとの席はそちらです」

 俺を胡座の上に座らせようとしていた緋色ひいろに声がかかる。立派な座椅子が置いてあった。体を包むように、横にも支えがある。座椅子に置いてもらうと、ぽす、と背もたれにもたれて座ることができた。
 俺の前にも、同じようなご飯が置かれた。びっくりして、隣の緋色ひいろのと見比べてしまう。

「なる坊、これがお粥な。いつもの。そんで、この横のが味噌汁。具の大根も人参も柔らかくなってるから、頑張って飲んでみろ。おかずは白身魚のあんかけで、とろっとしてるからいけると思うんだが、飲めなかったら諦めて出すんだぞ。あとは、茶碗蒸しな。具は入れてないから安心して食え。これ、好きだと思うぞ」

 広末ひろすえが来て、説明してくれた。皆のには、他に緑の食べ物が入ったお皿もあったけど、だいたい一緒だった。
 口の中に涎が出てくる。いい匂い。

成人なるひと。よく帰ってきたなあ。偉い、偉い」

 じいじが喜んで、お酒を取り出す。

「おじ様、ほどほどに」
乙羽おとわさま、こんなめでたい日に不粋なことを言うでない」
「いつでも飲むくせに」

 色んな人がお茶を入れたり準備をしながら、そのやり取りを聞いてくすくす笑った。
 ご飯を食べることは、俺の中であまり重要では無かったけれど。
 この時間は、とても好きかもしれない。
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