【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第三章 幸せの行方

35 力丸 4

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 もしかして、皇国と帝国では物の売買の仕方とかが違うのかもしれない。買い物、と言わないのかも。
 パズルを並べる成人なるひとを見ながら考えるけれど、いや、ならどうやって暮らすんだ?とも思う。
 すぐにさいさんの部屋へ向かった。分からないことは、聞くに限る。
 一緒に行く、というので、成人なるひとを抱いて行く。階段は、一人で降りたら駄目だと言われているらしく、大人しく抱かれていてくれた。
 部屋の前で下ろして、ノックをする。歩いて入る成人なるひとは、ご機嫌な様子だった。
 さいさんはソファに座り、広末ひろすえが机にプリンを置いていた。

「すみません。時間を見ずに突然押しかけて。」

 俺が謝ると、

「いいえ。問題ないですよ。起きていて、良かったです。」

 とさいさんが答えた。こんなにゆっくり喋る人だったかな?

「ちょうどいいから、なる坊のおやつも持ってくる。ここで一緒に食べればいい。」
「俺も。」

 慌てて、手を挙げて俺の分も注文する。広末ひろすえは、にやにや笑った。

力丸りきまるさまの分、あったかなー。今日来るって聞きましたっけ?」
「……今日は、言ってなかったけど、だいたい毎日来るから。置いておいてよ。っていうか、俺はここに住みたいのに、魔王がなかなか許可をくれないから!」
「はいはい。待ってな。」

 さいさんは、少し笑いながら俺たちの会話を聞いていた。ソファに座る姿勢はとても良くて、だいぶ元気になってきたようだ。隣に座った生松いくまつ先生が、注意深く見守っている。使いにくそうにスプーンを左手で持って、器を机に置いたままプリンを食べ始めた。右利きじゃなかったっけ?
 右手を器に添えようとするけれど、上手くいかないみたいで、ふるふると震えている。右手が上手く動きにくいのか。頭の中を手術したんだから、まあ、色々あるよな。

さいさん。プリン好き?」
「ええ。初めて食べましたが、甘くて美味しいですね。」
「ふーん。帝国は、甘いもの、あんまり無いの?」
「……戦争で、色々な物を失って、甘いものどころではなかった。庶民は、日々を生きるための食べ物にも事欠く有り様でした。」
「そっか……。あのさ、店屋とかある?買い物したり。」
「そうですね。もう、最後の方は食料も何もかも軍に取り上げられて、店屋も売るものが無くて。配給になっていました。」
「配給?」
「はい。国がすべて管理して配るのです。持ち物はすべて国に差し出して、軍で使った余りを国民に配る。食料も衣服も。という建前になっていました。」
「だから、成人なるひとは買い物をしたことが無えの?店屋も営業してないから?」
「いえ、配給だけでは餓死しますから、闇市といって国の目を盗んだ店屋はありましたよ。成人なるひとの話でしたか……。」
「買う、が分からないみたいで。」

 さいさんは、一度目を閉じて考えた。

力丸りきまるさまは、戦闘人形ドールと聞いて、何を思いますか?」

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