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第三章 幸せの行方
78 成人 74
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買うものは、決めた。
俺は、どきどきしながらお金を払う所に品物を持っていく。これ、くださいって言う。できる。
吉野くらいの年の女の人が、
「いらっしゃい。」
と言った。練習と一緒だ。
「これ、ください。」
「はい。三つで九十円ね。」
お金を払わなくちゃ。財布を出して、台の上で十円を九個取り出す。
「はい、ちょうどいただきます。毎度あり。」
ラムネと粉入りの棒つき飴と二つ入った四角い飴を袋に入れて渡してくれた。財布をバッグに入れて、袋を手に持つ。
ふりかえると、緋色がにこにこ笑って見ていた。
「できた。お買い物できた。」
「すごいな。」
できたのに、どきどきが収まらない。楽しかった。自分のお金でお買い物しちゃった。
その後は、歩いて雑貨屋という所に移動した。何でも売っていた。何でもありすぎて、訳が分からない。俺は、何が欲しかったんだっけ?
とりあえず、うろうろしてみる。お勉強で使う道具がたくさんある。えんぴつは、黒と赤だけじゃないんだね。色えんぴつと書いてある箱を眺めて、きれいだなあ、と思った。
ガラスの金魚があった。
手のひらに乗るくらいの大きさで、金魚の形をしている。透明なガラスに薄く緋色の模様が入っていて、光が当たるときらきらする。
欲しい。
金魚、欲しい。
三百五十円。……高かった。仕方ないなあ。こんなにきれいなんだから。雫石さんの金魚と似ていて、少し丸くて可愛かった。
もっとお金を貯めてから買いに来よう。
俺は、だいぶ長いことそれを見てたけど、どうしてもお金が足りないので諦めた。
箱を買いにきたのだった、と思い出して、それっぽい物が並んでいるとこへ向かう。箱も、色んな模様が付いていて高そう。
ふたを開けてみると、音楽が流れ出した。
なんで?え?なんで?
少し甲高い音が曲を鳴らして、ぷつんと途切れた。隣の箱も開けてみる。また、違う音楽が流れる。しばらくするとぷつんと音が消えた。幾つかある箱のふたを全部開けてみた。全部、音が鳴っては消えた。ふたを閉めて、また開けても鳴らない。
緋色の手が伸びてきて、箱の横のねじを巻いた。
「開けてみろ。」
また、音楽が流れる。ねじを巻くのか。ねじを巻いたら、音が鳴る。いいなあ、これ。飴も入りそう。値段を見てみた。千八百円!無理。
俺は、そっと棚に戻した。
雑貨屋で買い物は、できそうにない……。
「どれが好きだった?」
緋色が聞いてくる。どれって?
「音だよ。色んな曲が流れてただろ?」
うーん?緋色にねじを巻いてもらって、もう一度聴いてみる。どれ、と言われてもよく分からなかった。
「分からない。買えないし、いいや。」
「じゃあ、好きな模様は?」
それならあった。蝶々の彫り物がしてある箱。それを指差すと、ふーん、と緋色が言った。
雑貨屋では、ビー玉というガラスの玉を一つ買った。きらきらしてきれいだ。明日からまた、お仕事を頑張ろう。
俺は、どきどきしながらお金を払う所に品物を持っていく。これ、くださいって言う。できる。
吉野くらいの年の女の人が、
「いらっしゃい。」
と言った。練習と一緒だ。
「これ、ください。」
「はい。三つで九十円ね。」
お金を払わなくちゃ。財布を出して、台の上で十円を九個取り出す。
「はい、ちょうどいただきます。毎度あり。」
ラムネと粉入りの棒つき飴と二つ入った四角い飴を袋に入れて渡してくれた。財布をバッグに入れて、袋を手に持つ。
ふりかえると、緋色がにこにこ笑って見ていた。
「できた。お買い物できた。」
「すごいな。」
できたのに、どきどきが収まらない。楽しかった。自分のお金でお買い物しちゃった。
その後は、歩いて雑貨屋という所に移動した。何でも売っていた。何でもありすぎて、訳が分からない。俺は、何が欲しかったんだっけ?
とりあえず、うろうろしてみる。お勉強で使う道具がたくさんある。えんぴつは、黒と赤だけじゃないんだね。色えんぴつと書いてある箱を眺めて、きれいだなあ、と思った。
ガラスの金魚があった。
手のひらに乗るくらいの大きさで、金魚の形をしている。透明なガラスに薄く緋色の模様が入っていて、光が当たるときらきらする。
欲しい。
金魚、欲しい。
三百五十円。……高かった。仕方ないなあ。こんなにきれいなんだから。雫石さんの金魚と似ていて、少し丸くて可愛かった。
もっとお金を貯めてから買いに来よう。
俺は、だいぶ長いことそれを見てたけど、どうしてもお金が足りないので諦めた。
箱を買いにきたのだった、と思い出して、それっぽい物が並んでいるとこへ向かう。箱も、色んな模様が付いていて高そう。
ふたを開けてみると、音楽が流れ出した。
なんで?え?なんで?
少し甲高い音が曲を鳴らして、ぷつんと途切れた。隣の箱も開けてみる。また、違う音楽が流れる。しばらくするとぷつんと音が消えた。幾つかある箱のふたを全部開けてみた。全部、音が鳴っては消えた。ふたを閉めて、また開けても鳴らない。
緋色の手が伸びてきて、箱の横のねじを巻いた。
「開けてみろ。」
また、音楽が流れる。ねじを巻くのか。ねじを巻いたら、音が鳴る。いいなあ、これ。飴も入りそう。値段を見てみた。千八百円!無理。
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「どれが好きだった?」
緋色が聞いてくる。どれって?
「音だよ。色んな曲が流れてただろ?」
うーん?緋色にねじを巻いてもらって、もう一度聴いてみる。どれ、と言われてもよく分からなかった。
「分からない。買えないし、いいや。」
「じゃあ、好きな模様は?」
それならあった。蝶々の彫り物がしてある箱。それを指差すと、ふーん、と緋色が言った。
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