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第四章 西からの迷い人
5 初めての外食 成人
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ちょうど昼時になって、商店街のあちこちで食事処が混んできている。行列ができている店もあるけれど、力丸が連れていってくれたのは他に客のいない店だった。外観はまわりの建物と同じような感じ。表のガラスケースの中に色んな食べ物の見本が置いてある。
すごいなあ、これ。食べられそう。
中に入ると、新しいきれいな店だった。一人だけの店員が驚いたように、いらっしゃいと言う。力丸が、
「こんにちは。」
と言って、適当に四人掛けの席に着いた。力丸と村次が、机に置いてある薄い本を手に取って眺め始める。
「それ何?」
隣に座った力丸に聞くと、見やすいように広げてくれた。
「メニュー表だよ。ああ、お前、外食初めてだったな。」
「うん。」
「ここに書いてある料理から食べたいものを選んで注文するんだよ。そしたら作って持ってきてくれるの。」
へええ。
こんなに色々と書いてあるけど、何でも?
言ったら作ってくれるの?
「すごい。」
「何か食べたいものあるか?」
と言われてもなあ。いつも出てきた料理を食べるだけだし。料理名を見ても分からないし。
「力丸が食べたいものを頼んでよ。来た理由があるんだろ?」
俺が首を傾げてたら、村次がメニュー表を閉じて言った。
「あまり見たこと無い料理が多そうだし、任せる。」
頷いた力丸が店員を呼ぶ。店員はお水を持ってきて俺たちの前に置くと、エプロンのポケットからメモ用紙とペンを取り出した。
「だし巻き玉子定食二つと豆腐尽くし一つ、きつねうどんで。」
「はい。」
返事をしてメモ用紙に書き込んだ目の細い男の店員は、力丸の言った料理名を繰り返して、お待ちくださいと厨房に入って行った。
「西の料理か?」
「そうそう。」
「西の方の話し方だったな。」
話し方。確かにあの店員は、同じ言葉なのに変わった響きに聞こえたかも。
「西って?」
「地方の、皇都より西側にある地域のことだよ。その辺りは、もともと小国が幾つかあったのを皇国に併合したから、独自の文化が色々あって話し方とかも特徴があるんだ。」
へええ。
不思議だなあ。
皇国と帝国は、戦争していた別の国なのに、言葉や話し方はとても近い。時々、言葉のちょっとした意味合いが違うことがあるらしく、斎が戸惑っているのは見たことがあるけれど、俺は、何にも困ってない。だってあんまり喋ったことも無かったし。文化とかも料理も、ここのしか知らないし。
「で、何で西の料理?」
「先日、新しいもの好きのうちの隊の人が、ここのだし巻き玉子を買ってきて食べてたんだ。その人の口に合わなかったみたいで余るって言うからもらって食べたら美味くてさ。」
「へえ。だし巻き玉子って?」
「出てきたら分かるよ。卵焼きなんだけど、ふわふわでさ、薄いようでしっかり味もついてて。」
「へえ。」
村次が目を輝かせたところで、ご飯が運ばれてきた。
俺は、卵焼きはもそもそして苦手だから、やわらかくて食べやすい豆腐が楽しみ!
すごいなあ、これ。食べられそう。
中に入ると、新しいきれいな店だった。一人だけの店員が驚いたように、いらっしゃいと言う。力丸が、
「こんにちは。」
と言って、適当に四人掛けの席に着いた。力丸と村次が、机に置いてある薄い本を手に取って眺め始める。
「それ何?」
隣に座った力丸に聞くと、見やすいように広げてくれた。
「メニュー表だよ。ああ、お前、外食初めてだったな。」
「うん。」
「ここに書いてある料理から食べたいものを選んで注文するんだよ。そしたら作って持ってきてくれるの。」
へええ。
こんなに色々と書いてあるけど、何でも?
言ったら作ってくれるの?
「すごい。」
「何か食べたいものあるか?」
と言われてもなあ。いつも出てきた料理を食べるだけだし。料理名を見ても分からないし。
「力丸が食べたいものを頼んでよ。来た理由があるんだろ?」
俺が首を傾げてたら、村次がメニュー表を閉じて言った。
「あまり見たこと無い料理が多そうだし、任せる。」
頷いた力丸が店員を呼ぶ。店員はお水を持ってきて俺たちの前に置くと、エプロンのポケットからメモ用紙とペンを取り出した。
「だし巻き玉子定食二つと豆腐尽くし一つ、きつねうどんで。」
「はい。」
返事をしてメモ用紙に書き込んだ目の細い男の店員は、力丸の言った料理名を繰り返して、お待ちくださいと厨房に入って行った。
「西の料理か?」
「そうそう。」
「西の方の話し方だったな。」
話し方。確かにあの店員は、同じ言葉なのに変わった響きに聞こえたかも。
「西って?」
「地方の、皇都より西側にある地域のことだよ。その辺りは、もともと小国が幾つかあったのを皇国に併合したから、独自の文化が色々あって話し方とかも特徴があるんだ。」
へええ。
不思議だなあ。
皇国と帝国は、戦争していた別の国なのに、言葉や話し方はとても近い。時々、言葉のちょっとした意味合いが違うことがあるらしく、斎が戸惑っているのは見たことがあるけれど、俺は、何にも困ってない。だってあんまり喋ったことも無かったし。文化とかも料理も、ここのしか知らないし。
「で、何で西の料理?」
「先日、新しいもの好きのうちの隊の人が、ここのだし巻き玉子を買ってきて食べてたんだ。その人の口に合わなかったみたいで余るって言うからもらって食べたら美味くてさ。」
「へえ。だし巻き玉子って?」
「出てきたら分かるよ。卵焼きなんだけど、ふわふわでさ、薄いようでしっかり味もついてて。」
「へえ。」
村次が目を輝かせたところで、ご飯が運ばれてきた。
俺は、卵焼きはもそもそして苦手だから、やわらかくて食べやすい豆腐が楽しみ!
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