【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第四章 西からの迷い人

36 戦闘服  成人

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朱実あけみ!」

 緋色ひいろは着替えもせずに、休日の服装のまま王城に来た。常陸丸ひたちまる乙羽おとわと一緒に体を洗いにお風呂へ向かったから、じいじを連れて来てる。じいじも休みの日の服装。俺は緋色ひいろの腕の中。ん?
 急いでるから、だって。まあいいけど。俺は頭の手術した後は動くのが遅くなったんだよなあ。攻撃が見えててもなかなか避けられないし、すぐ疲れる。
 でも、それが正しいんだって。今までが無理やり動いてて体が壊れかけていたから、博士や生松いくまつ睦峯むつみねが治してくれたんだ。急いでる時は緋色ひいろやじいやが抱っこしてくれるし、疲れたら休んだらいいから困ってない。

常陸丸ひたちまるが堪えきれないとは珍しい。何があった?」

 朱実あけみ殿下は、いつもの赤い軍服に着替えている所だった。今日は七日に一度の休みの日。どうしても全員で休むと困る仕事以外の人は、皆お休みだもんね。朱実あけみ殿下もお休みだったんだろう。

「俺の伴侶を拐う相談をしながら乙羽おとわを拐おうとしたらしい。」
「把握した。お前たちも着替えなさい。着替えたら執務室へ。」

 服がたくさん置いてある部屋へ行くと、使用人がばたばたとやって来た。

「正装。」
「はいっ。」
成人なるひとのもあるな?」
「ええ。」

 返事をした女の人が、嬉しそうに頷く。俺もお着替えするの?服は離宮おうちに置いてきちゃったよ。
 でも、すぐに数人の男の人が赤い軍服を二着持ってきた。じいじは黒。手早く着ている服を脱がされて白いシャツとその上に赤い軍服。ズボンは長ズボンで、しっかりボタンとフックで止めた。

「トイレは行けそうですか?」

 俺の服のボタンを止めていた男の人が聞いてくる。うん、これなら片手でも外せそう。後ろに少しゴムを入れてベルト無しでもずれないようにしてくれてる。
 俺が頷くと、少し笑ってくれた。
 最後に靴下を差し出される。
 靴下はいいんじゃない?いつもの黒地に赤い線が入った靴下だし。
 そう思って見たら、差し出された靴下は黒地に鮮やかな赤と白で金魚の刺繍がしてあった。金魚はぽつりと小さいのに、よく目立つ。

「金魚!」
「お使いください。」
「ありがと!」

 その人は、足元に跪いて靴下も履き替えさせてくれた。
 嬉しい。
 緋色ひいろとお揃いの赤い服。金魚の靴下。
 力丸りきまるに見せたいな。村次むらつぐにも乙羽おとわにも。そうだ、まずは。

「じいや。見てー。」
「とてもお似合いです。」
緋色ひいろと一緒。」
「ええ。」
「金魚の靴下。」
「素晴らしい出来ばえです。」

 緋色ひいろも着替え終わって横に並ぶ。

緋色ひいろ、今日も格好いい。」
「お前も似合うぞ。」
成人なるひと、よく似合っとる。」

 じいじも、すごーく強そうだよ。

「さて。西の間者に俺の伴侶の名前を聞きに行こうか。」
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