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第四章 西からの迷い人
66 御前会議 1 赤璃
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三条家の焦りは、ついに緋色の怒りに火を点けたらしい。三条家と緋色が、同じ席に着くしかない、という席順だけが心配だった赤虎と寧子ちゃんの披露宴。三条の当主が警備隊に連れ出されるのが見えて、ため息を吐いた。それほどの騒ぎにならなかったのが幸いだ。お兄さまとお義姉さまが共にそちらへ向かわれたのは見えたから、少しはとりなしてくれたのだろう。
とりあえず、おめでたい席だ。三条の当主が退出した件について何かを尋ねてくる者もなく、主役の二人は予定通りの宴を終えた。
朱実と目配せをして、三条の当主を押し込めた部屋へと向かう。上等な応接室を開くと、三条家の当主はこちらを向いてあからさまに顔をしかめた。
数少ない、権力の効かない相手の登場に、今後の話の流れを考えているのだろう。
「召集をかけたので、会議室へご足労願おうかな。そろそろ酔いも覚めた頃だろう?」
「皇太子殿下のわざわざのお運び、いたみいります。お話ならこちらで伺いますが?」
わざとらしく包拳礼をするのを一瞥すると、朱実は黙って踵を返した。私も、無言でそれに続く。
かなり離れた頃に、それでも足音は聞こえてきた。
会議室には、先ほどの宴に参加していた三条から九条までの者が座って待っている。七条以外は伴侶や連れを先に帰したようで一人ずつだった。九条家の生松はもともと一人で披露宴に来ていた。それに、陛下と緋色。緋色の胸にうつぶせで抱かれたなるからは、穏やかな寝息が聞こえる。
ご機嫌でたくさん食べていたものね。朝から準備をして、式にも参加して、疲れたんだろう。
礼を取ろうと立ち上がりかける人々を制して、私たちも席に着いた。遅れて入ってきた三条も、陛下に包拳礼をして、三条の席に先に座っていた野花という娘を、冷たい目で見下ろしてから席に着く。娘は、ひたすらにうつむいて、周りは見えていないようだった。細くて小さな娘だ。
皇妃陛下は、結婚式と披露宴までとても頑張られたので、お部屋にお帰り頂いた。主役の二人も、今日はろくろく食事も摂れなかったので、疲れただろうと呼んでいない。
「宴で良い気分の所、集まってもらってすまない。手短にすませる故、付き合ってほしい。」
陛下が簡素な挨拶をして話を始める。
「本日は、息子の赤虎の結婚を祝ってもらい、ありがたく思う。これで、三人の息子全てが伴侶を得て、肩の荷が下りた。」
静かに紡がれる言葉は、ただ父としての実感のこもった言葉だった。
「本日集まってもらった用件を簡潔に述べる。緋色の名による令が新たに出され、故ありと認めたので発令する。その令は、三条の一族郎党は、緋色とその伴侶に話しかけてはならぬ、また、緋色の住まいに立ち入ることならぬ、というものである。」
とりあえず、おめでたい席だ。三条の当主が退出した件について何かを尋ねてくる者もなく、主役の二人は予定通りの宴を終えた。
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