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第四章 西からの迷い人
88 様々な初めて 三郎
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力丸さまに手を引かれて広めの食堂に入り、びくりと立ち止まった。
私と母が連れてきた者達が、座って食事をしている。固い表情だが皆、身綺麗で、酷い扱いを受けている様子は無かった。
弐角さまの顔色が、一番悪いくらいや……。
弐角さまの護衛二人と従者と見られる一人も、目の下に濃い隈がある。
たった四人で、来たのか。
母なら、なんとみっともない、と言うやろう。
自分の連れてきたのは、護衛だけで四人、母の護衛も四人。従者も四人。服の係、髪の毛の係、身の回りの世話係が二人。母は更に、服の係がもう一人居て、母方の従兄弟が二人、後学のためと付いてきている。そちらにも、従者と護衛が二人ずつ。中央で、どこかの貴族と懇意になって屋敷に招かれたときに、側近も無しで行くんは恥ずかしいから連れていき、と祖父が言うてたから、一二三の側近候補ということなんやろう。
披露宴の招待状には、招待状のある者と護衛一人しか入れんて、はっきり書いてあるのにな。
無駄な大所帯でやってきたもんや、と今なら分かる。
今さら、やけど。
「どれにする?」
身を固くして、食事をする家臣を見ていたので、力丸さまに手を引かれたままだった。
「どれって?」
「殿下にお金もらったから、好きなの食べていいよ。俺、大盛り焼き肉定食ー。」
目の前に大きな箱があって、メニューが小さく書いてあり、メニューの下にボタンがある。自動の販売機、と言うやつやな。力丸さまがお金を入れて、ボタンを押すと券がぺらりと出てきた。首を傾げたが、確かに、こんなんから定食が出てくる訳がない。
個室に案内されて、店の最高級料理です、という物が運ばれてくるのを待つ食べ方しかしたことないから、何でも珍しい。
「何これー。」
利胤さまに抱かれたままの成人さまが近寄ってきて、尋ねていた。
私も、素直に聞けたらええんやけど。
「食べたいものをあの看板で選んだだろ?それで、この券売機で券を買って、あそこでくださいってお願いするんだ。」
力丸さまの言葉に、うんうんと頷いた成人さまが、利胤さまの腕から下りて私の後ろに立つ。
「あ、先にどうぞ。」
「いいの?俺、うどん。」
「成人、何うどん?」
「普通の。」
「普通のって、何も乗ってないやつ?素うどん?」
「うん。」
成人さまが力丸さまにお金をもらって、楽しそうに入れる。左上のボタンに背伸びをした所で、力丸さまが、ひょいとそれを押した。
「あー!」
「え?なに?これだろ?」
「俺、俺がボタン……。」
「届かなかったじゃん。」
これは、力丸さまがあかんやろ。私も自分で、ボタン押してみたい。
「まったく、力丸はせっかちでいかん。もう料理を取りに行け、邪魔じゃ。成人、じいじのボタンを押してくれ。わしはこの天ぷらそばセットだ。」
「……うん。押す。」
悲しそうな顔のまま頷く成人さまを利胤さまが、ひょいと持ち上げた。ボタンを押して出てきた券を取って少し笑ったから、機嫌は直ったらしい。教えてもらってお釣りのボタンも押し、出てきた釣り銭を私の手に乗せて行ってしまった。
「決まったか?」
そちらをぼんやり見ていると、力丸さまの声がした。
「あ、すみません。」
てっきり一緒に行ったかと思っとったので驚いた。慌てて券売機にお金を入れる。ちゃりんと入っていくのが楽しい……。天ぷらそばの単品を押すと、それで足りるのか?と聞かれた。
「充分です。」
「ま、足りなきゃまた、買えばいいか。行くぞ。謝らないと。」
成人さまに謝ることを後回しにして、私のことを待ってくれたんか……。
何故かほっとした気分で、急いで力丸さまの後を追った。
私と母が連れてきた者達が、座って食事をしている。固い表情だが皆、身綺麗で、酷い扱いを受けている様子は無かった。
弐角さまの顔色が、一番悪いくらいや……。
弐角さまの護衛二人と従者と見られる一人も、目の下に濃い隈がある。
たった四人で、来たのか。
母なら、なんとみっともない、と言うやろう。
自分の連れてきたのは、護衛だけで四人、母の護衛も四人。従者も四人。服の係、髪の毛の係、身の回りの世話係が二人。母は更に、服の係がもう一人居て、母方の従兄弟が二人、後学のためと付いてきている。そちらにも、従者と護衛が二人ずつ。中央で、どこかの貴族と懇意になって屋敷に招かれたときに、側近も無しで行くんは恥ずかしいから連れていき、と祖父が言うてたから、一二三の側近候補ということなんやろう。
披露宴の招待状には、招待状のある者と護衛一人しか入れんて、はっきり書いてあるのにな。
無駄な大所帯でやってきたもんや、と今なら分かる。
今さら、やけど。
「どれにする?」
身を固くして、食事をする家臣を見ていたので、力丸さまに手を引かれたままだった。
「どれって?」
「殿下にお金もらったから、好きなの食べていいよ。俺、大盛り焼き肉定食ー。」
目の前に大きな箱があって、メニューが小さく書いてあり、メニューの下にボタンがある。自動の販売機、と言うやつやな。力丸さまがお金を入れて、ボタンを押すと券がぺらりと出てきた。首を傾げたが、確かに、こんなんから定食が出てくる訳がない。
個室に案内されて、店の最高級料理です、という物が運ばれてくるのを待つ食べ方しかしたことないから、何でも珍しい。
「何これー。」
利胤さまに抱かれたままの成人さまが近寄ってきて、尋ねていた。
私も、素直に聞けたらええんやけど。
「食べたいものをあの看板で選んだだろ?それで、この券売機で券を買って、あそこでくださいってお願いするんだ。」
力丸さまの言葉に、うんうんと頷いた成人さまが、利胤さまの腕から下りて私の後ろに立つ。
「あ、先にどうぞ。」
「いいの?俺、うどん。」
「成人、何うどん?」
「普通の。」
「普通のって、何も乗ってないやつ?素うどん?」
「うん。」
成人さまが力丸さまにお金をもらって、楽しそうに入れる。左上のボタンに背伸びをした所で、力丸さまが、ひょいとそれを押した。
「あー!」
「え?なに?これだろ?」
「俺、俺がボタン……。」
「届かなかったじゃん。」
これは、力丸さまがあかんやろ。私も自分で、ボタン押してみたい。
「まったく、力丸はせっかちでいかん。もう料理を取りに行け、邪魔じゃ。成人、じいじのボタンを押してくれ。わしはこの天ぷらそばセットだ。」
「……うん。押す。」
悲しそうな顔のまま頷く成人さまを利胤さまが、ひょいと持ち上げた。ボタンを押して出てきた券を取って少し笑ったから、機嫌は直ったらしい。教えてもらってお釣りのボタンも押し、出てきた釣り銭を私の手に乗せて行ってしまった。
「決まったか?」
そちらをぼんやり見ていると、力丸さまの声がした。
「あ、すみません。」
てっきり一緒に行ったかと思っとったので驚いた。慌てて券売機にお金を入れる。ちゃりんと入っていくのが楽しい……。天ぷらそばの単品を押すと、それで足りるのか?と聞かれた。
「充分です。」
「ま、足りなきゃまた、買えばいいか。行くぞ。謝らないと。」
成人さまに謝ることを後回しにして、私のことを待ってくれたんか……。
何故かほっとした気分で、急いで力丸さまの後を追った。
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