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第五章 それは日々の話
8 衣装部屋より 6
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「緋色!俺、大きくなった!」
男の先輩と手を繋いで部屋に戻って来られた成人さまが、弾んだ声を上げられる。先輩と繋いでいた手を離して緋色殿下の元へ駆けて来られた。殿下は手にしていた白くまのパーカーを机に置いて、当然のようにその細い体を膝の上に抱き上げられる。
「大きくなったか。凄いな。」
うんうんと頷く成人さまに笑いかけられる緋色殿下のお顔の優しいこと!こんなお顔もなさることができるのかと、驚きながら目が離せない。以前の、厳格な雰囲気の緋色殿下より、恋をする方が増えていそうだ。
「背が一センチ伸びておりました。体重も、ほんの少し重たくなっておられましたよ。」
先輩も、嬉しそうに報告する。成人さまは常々、大きくなったかを気にされておられるので、実測値が増えていると、ご本人が分かりやすくはしゃいでくださる。それを見ている私たちも嬉しくなるのだ。
以前はよく、背が伸びると体重が落ちていることがあった。とにかく、衣装部が見たことないほど細かった成人さまである。背の方に栄養が持っていかれてこれ以上体重が落ちることは避けてほしいが、身長の伸びを止める術などない。
成人さまの体の大きさのどんな変化にも一喜一憂していたが、どちらも増えているなんて朗報だ!
部屋中の者がにこにことする中、対面に抱いていた成人さまの体をくるりと前向きにして腕を薄いお腹に回し、緋色殿下が机に置かれたパーカーを指差された。
「白いくまと白いうさぎだそうだ。どうだ?」
「わ、白くま。おうちのくまと一緒だ。これ、俺の?」
「そ、お前の。もらっていくか?」
「いるー。嬉しい。ありがとう。」
成人さまがご機嫌なまま、こちらを向いて頭を下げておられる。
「いえ。いえいえ。成人さまに着ていただきたくて作成したのです。着て貰えると、くまも喜びます!」
「うん。」
ああ、幸せ。
「うさぎはどうする?」
「んー。くまだけでいい。」
成る程。気に入ったらそれだけでいいタイプですね。
「悪いな。」
「いいえ、とんでもございません。試作ですから、色々試しますとも。乙羽さま用に手直ししてもよろしいですし。」
「乙羽も、くまかも……。」
「畏まりました。」
緋色殿下や常陸丸さまが、うさぎの行方を気にされることなどありません。要望があるというのは、とても喜ばしいことです。
「成人さま。殿下とお揃いの格好いい服もまた、作っておきますね。」
先輩が、成人さまに目配せしている。うん、と成人さまが頷く。
むう、羨ましい。でも、男同士の特別感出して、殿下にやきもち妬かれたらどうするつもりなんです?助けませんからね!
「あ、そうだ。赤璃さまがくまのとおんなじの寝間着と部屋着欲しいって。」
赤璃さまがくまを?たとえ寝間着とはいえ、くまを?
私と先輩、涼乃絵さまは、成人さまの言葉に首を傾げながら目を見交わした。
「承りましたわ。」
けれど涼乃絵さまが、何食わぬ顔で返事をされる。後で詳細は赤璃さまの侍女にでもお聞きすればよいことだ。
今はただ、成人さまや殿下、常陸丸さまの仲の良い姿を堪能しよう。
ああ、今日も仕事が楽しい!
男の先輩と手を繋いで部屋に戻って来られた成人さまが、弾んだ声を上げられる。先輩と繋いでいた手を離して緋色殿下の元へ駆けて来られた。殿下は手にしていた白くまのパーカーを机に置いて、当然のようにその細い体を膝の上に抱き上げられる。
「大きくなったか。凄いな。」
うんうんと頷く成人さまに笑いかけられる緋色殿下のお顔の優しいこと!こんなお顔もなさることができるのかと、驚きながら目が離せない。以前の、厳格な雰囲気の緋色殿下より、恋をする方が増えていそうだ。
「背が一センチ伸びておりました。体重も、ほんの少し重たくなっておられましたよ。」
先輩も、嬉しそうに報告する。成人さまは常々、大きくなったかを気にされておられるので、実測値が増えていると、ご本人が分かりやすくはしゃいでくださる。それを見ている私たちも嬉しくなるのだ。
以前はよく、背が伸びると体重が落ちていることがあった。とにかく、衣装部が見たことないほど細かった成人さまである。背の方に栄養が持っていかれてこれ以上体重が落ちることは避けてほしいが、身長の伸びを止める術などない。
成人さまの体の大きさのどんな変化にも一喜一憂していたが、どちらも増えているなんて朗報だ!
部屋中の者がにこにことする中、対面に抱いていた成人さまの体をくるりと前向きにして腕を薄いお腹に回し、緋色殿下が机に置かれたパーカーを指差された。
「白いくまと白いうさぎだそうだ。どうだ?」
「わ、白くま。おうちのくまと一緒だ。これ、俺の?」
「そ、お前の。もらっていくか?」
「いるー。嬉しい。ありがとう。」
成人さまがご機嫌なまま、こちらを向いて頭を下げておられる。
「いえ。いえいえ。成人さまに着ていただきたくて作成したのです。着て貰えると、くまも喜びます!」
「うん。」
ああ、幸せ。
「うさぎはどうする?」
「んー。くまだけでいい。」
成る程。気に入ったらそれだけでいいタイプですね。
「悪いな。」
「いいえ、とんでもございません。試作ですから、色々試しますとも。乙羽さま用に手直ししてもよろしいですし。」
「乙羽も、くまかも……。」
「畏まりました。」
緋色殿下や常陸丸さまが、うさぎの行方を気にされることなどありません。要望があるというのは、とても喜ばしいことです。
「成人さま。殿下とお揃いの格好いい服もまた、作っておきますね。」
先輩が、成人さまに目配せしている。うん、と成人さまが頷く。
むう、羨ましい。でも、男同士の特別感出して、殿下にやきもち妬かれたらどうするつもりなんです?助けませんからね!
「あ、そうだ。赤璃さまがくまのとおんなじの寝間着と部屋着欲しいって。」
赤璃さまがくまを?たとえ寝間着とはいえ、くまを?
私と先輩、涼乃絵さまは、成人さまの言葉に首を傾げながら目を見交わした。
「承りましたわ。」
けれど涼乃絵さまが、何食わぬ顔で返事をされる。後で詳細は赤璃さまの侍女にでもお聞きすればよいことだ。
今はただ、成人さまや殿下、常陸丸さまの仲の良い姿を堪能しよう。
ああ、今日も仕事が楽しい!
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