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第五章 それは日々の話
204 期間限定たこ焼き屋台構想 緋色
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「たこ焼きとかいう食べ物を、私も食べてみたいんだが」
どこから話が広がったものか、朱実がにこやかに俺を呼び止めた。
「兄上が食べるような品じゃありませんよ。下賎な見た目と味です」
「私は、そういった品もとても好きだよ。若い頃は赤璃とよく街の散策に出掛けて、買い食いなどもしてみたことがあるんだよ」
「へえ」
変装して街に出ていたことは知っていたが、買い食いは初耳だな。
街の中で売っている品を買ってすぐに食べるなんて、周りの人間が大変だったことだろう。俺と違ってお前は、特にたくさんの護衛がいたしな。
たこ焼きは、初登場の日から、しょっちゅうおやつに採用されている。
初めて作った日が休日であったことから、休日に離宮にいなかった者に話が広がり、すぐにまた作ることになった。
更に、成人が張り切って焼く手伝いをする姿が可愛らしかった、との話が流れれば、それを見ていない者がまた、自分も見たい、食べたい、となって、結構な頻度で登場するおやつとなっている。
俺としても、甘いものより余程好みだし、どんどん上手になっていく成人が嬉しそうなので、毎日作っても構わないくらいだ。
ただし、これらの話は全て離宮内のことであって、外に漏れるようなことはない。
まさか、一ノ瀬の報告書にわざわざ離宮のおやつのことまで書かせているのか?そんなもんまで読んでる暇があるとは思えないんだが。
「知ってる?警備隊の間で、離宮から漂う良い匂いが気になるって噂になってるの」
「知らん」
話の出どころは警備隊か!やはり当初の予定通り、警備隊に屋台で売りつけてから、箝口令を敷いておけば良かったかなー。
「外で売れば、余計に噂は広がるからね?」
「何も言ってねえだろ」
相変わらず人の心を読むの、止めてくんねえかな。
んー。そうだな。
「外に屋台を出して売るから、買いに来てください」
「はあ?」
「城の近くで、数量限定で焼くから」
「数量限定」
「数が限られてるから、早くから並んで待ってないと買えない品のことだけど?」
「言葉は知ってるよ。ただ、数量限定の品も、望めば手に入るのが私たちだと思うんだが?」
「特別扱いはしないんで、食べられることを祈ってます」
「ふむ。侍従に見張らせておいて、屋台が出たらすぐに並ぶようにと言っておこう」
「きったねえ。買った者がその場で食べることって決まりにしてやる」
なんでだよ、と常陸丸の呟きがぼそりと聞こえた。
ん?そうだな。
なんで屋台にしたんだっけ?
朱実に十個ほど渡しとけば済む話だよな。だがあれは、熱いうちが旨い。
「失礼します、緋色殿下。なんで屋台なんです?」
常陸丸が溜め息を吐いて、口を挟んだ。
城での仕事終わりに、離宮に帰ろうとした所で呼び止められたから、廊下での立ち話だ。文官の仕事部屋の並ぶ辺りだから人通りもあり、なかなかに邪魔になっていたかもしれない。
俺と朱実の会話に口を挟むなんて常陸丸くらいにしかできないから、話を切り上げるきっかけをくれたらしい。
「朱実が、離宮に来なくても食べられるように」
「それなら、鉄板の注文先をお教えして、ご自分の厨房で作って頂いたら如何ですか?」
常陸丸、天才だな。それ、採用。
「ってことです、兄上。何ならたこ焼きを作る鉄板を注文してお贈りしますんで、自分ちで作ってください」
「それまでに、すぐ食べたいから、また行くね」
ちっ。
駄目か。
どこから話が広がったものか、朱実がにこやかに俺を呼び止めた。
「兄上が食べるような品じゃありませんよ。下賎な見た目と味です」
「私は、そういった品もとても好きだよ。若い頃は赤璃とよく街の散策に出掛けて、買い食いなどもしてみたことがあるんだよ」
「へえ」
変装して街に出ていたことは知っていたが、買い食いは初耳だな。
街の中で売っている品を買ってすぐに食べるなんて、周りの人間が大変だったことだろう。俺と違ってお前は、特にたくさんの護衛がいたしな。
たこ焼きは、初登場の日から、しょっちゅうおやつに採用されている。
初めて作った日が休日であったことから、休日に離宮にいなかった者に話が広がり、すぐにまた作ることになった。
更に、成人が張り切って焼く手伝いをする姿が可愛らしかった、との話が流れれば、それを見ていない者がまた、自分も見たい、食べたい、となって、結構な頻度で登場するおやつとなっている。
俺としても、甘いものより余程好みだし、どんどん上手になっていく成人が嬉しそうなので、毎日作っても構わないくらいだ。
ただし、これらの話は全て離宮内のことであって、外に漏れるようなことはない。
まさか、一ノ瀬の報告書にわざわざ離宮のおやつのことまで書かせているのか?そんなもんまで読んでる暇があるとは思えないんだが。
「知ってる?警備隊の間で、離宮から漂う良い匂いが気になるって噂になってるの」
「知らん」
話の出どころは警備隊か!やはり当初の予定通り、警備隊に屋台で売りつけてから、箝口令を敷いておけば良かったかなー。
「外で売れば、余計に噂は広がるからね?」
「何も言ってねえだろ」
相変わらず人の心を読むの、止めてくんねえかな。
んー。そうだな。
「外に屋台を出して売るから、買いに来てください」
「はあ?」
「城の近くで、数量限定で焼くから」
「数量限定」
「数が限られてるから、早くから並んで待ってないと買えない品のことだけど?」
「言葉は知ってるよ。ただ、数量限定の品も、望めば手に入るのが私たちだと思うんだが?」
「特別扱いはしないんで、食べられることを祈ってます」
「ふむ。侍従に見張らせておいて、屋台が出たらすぐに並ぶようにと言っておこう」
「きったねえ。買った者がその場で食べることって決まりにしてやる」
なんでだよ、と常陸丸の呟きがぼそりと聞こえた。
ん?そうだな。
なんで屋台にしたんだっけ?
朱実に十個ほど渡しとけば済む話だよな。だがあれは、熱いうちが旨い。
「失礼します、緋色殿下。なんで屋台なんです?」
常陸丸が溜め息を吐いて、口を挟んだ。
城での仕事終わりに、離宮に帰ろうとした所で呼び止められたから、廊下での立ち話だ。文官の仕事部屋の並ぶ辺りだから人通りもあり、なかなかに邪魔になっていたかもしれない。
俺と朱実の会話に口を挟むなんて常陸丸くらいにしかできないから、話を切り上げるきっかけをくれたらしい。
「朱実が、離宮に来なくても食べられるように」
「それなら、鉄板の注文先をお教えして、ご自分の厨房で作って頂いたら如何ですか?」
常陸丸、天才だな。それ、採用。
「ってことです、兄上。何ならたこ焼きを作る鉄板を注文してお贈りしますんで、自分ちで作ってください」
「それまでに、すぐ食べたいから、また行くね」
ちっ。
駄目か。
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