【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第五章 それは日々の話

213 三月のお誕生日会  成人

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 呼ばれて行った食堂は、十月の誕生日会の時みたいに、たくさんの飾りが付いていた。折り紙で作った輪っかを繋げたものが、あちこちにぶら下がっていて、ちり紙で作ったふわふわのお花が所々に付けてある。輪っかは、俺が気に入ったので十月から後は毎月付けているけれど、このお花は初めて見た。

「これ、きれい」

 ふわふわのお花をそっと触ってみる。
 折り紙よりやわらかくて、大きくて綺麗だ。これ、好きだなあ。来月も飾りたい。緋色ひいろの誕生日会だもの。綺麗なものを、たくさんたくさん飾りたい!
 俺にも作れるかなあ。

「いいでしょ、それ」

 乙羽おとわがにこにこしてる。これ、乙羽おとわが作ったの?すごい!乙羽おとわは折り紙とか苦手なのに、これはとても綺麗に出来上がっているよ。

凉乃絵すずのえさまが教えてくださったのよ。始めは、布でお花を作るのも素敵よって仰ってくださったんだけど、私、裁縫が苦手だから、すぐに作るのは無理で。そうしたら、ちり紙でもできるのよって」

 へええ。お洋服や靴下を作ってくれる人だね。やっぱりすごい。凉乃絵すずのえは、布以外でも、綺麗な物を作れるんだなあ。
 きょろきょろとしながら、お誕生日の人が立つ上座に移動する。緋色ひいろはもう、たこ焼きの鉄板の前にいて、嬉しくなってしまった。何故か常陸丸ひたちまる緋色ひいろの隣にいる。たこ焼きをくるくる回して焼く棒を持っているから、焼く気満々だ。

「三月のお誕生日は、力丸りきまる成人なるひとです。力丸りきまるはなんと、二十歳はたちになりました!なるはなんとなんと、十八歳になりました!おめでとう!」

 乙羽おとわが楽しそうに紹介してくれて、部屋中に、おめでとうの声が響く。嬉しい!誕生日の当日にも、たくさんたくさん言ってもらったけど、何回聞いても、とっても嬉しいものだ。
 生まれた日は特別なんだって、俺はもう知ってる。末良すえよしが生まれた時に、そういうことかって思った。上手く言えないけど、誕生日が特別ってことは、分かったんだ。
 俺の誕生日は、俺の本当に生まれた日では無いけれど、でも、それでも祝ってもらえる日があるのは嬉しい。

「ありがとう!」

 俺と力丸りきまるが返事をすると、わあっと拍手が沸いて、プレゼントを持った人が次々に寄ってきてくれた。
 ありがとう、ありがとうって言いながら、綺麗に包まれた袋や紙を開けたりする。本当に楽しい。嬉しすぎて、笑いすぎて、頬っぺたが痛くなりそう。
 毎年毎年増えていく宝物。俺の部屋はきっとそのうち、大切な物で埋め尽くされてしまうんだろう。それを思って、やっぱり俺は、とんでもなく幸せだった。
 
 
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