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第六章 家族と暮らす
12 婚姻届を探せ 成人
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「殿下の戸籍……ですか?」
「ああ。確かめたいことがあってな。この文書を見てくれ」
緋色が言うと、常陸丸が手に持っていた二つの書類を差し出す。
一枚は、手で書いた文字で名前が並んでいて、もう一枚は機械で打った文字で文章が書かれていた。俺には、ぱっと読み取ることはできない。よく見る前に、担当の者として側にいた人が持ち上げてしまった。城の入り口のとこでの話によれば、一枚はあの入り口から入れる人の名簿で、一枚は俺のことを緋色の愛し子と書いてある文書ってことなんだろう。
ふふん。愛し子って伴侶とおんなじ意味かな?緋色の大事な人ってこと?わざわざ紙で書いて皆にお知らせしてあるのかあ。嬉しいな。
はっ。じゃあ、緋色は俺の愛し子?
「しまりの無い顔をしてるな。何かおかしなこと考えてないか?」
「今日、機嫌良いなあ。いやまあ、成人は基本、機嫌良いけど、今日は更にご機嫌さんだな」
「そりゃ俺といるからだろ?」
「ああ、はいはい。にしても成人連れてると何かこう、いまいち気合いが削がれるんすよね。俺たち、何してるんでしたっけ?」
「確かに、訂正したらそれでいいような気がしてきたな」
じいやが、くくくっと笑うのが見えた。
ん?何?
「こちらへお越しください」
渡された書類をじっと読んでいた人が、大部屋の横の小さな部屋を示しながら先に立って歩き出す。
その間にも、人に声をかけて何か指示を出していた。声を掛けられた人が、丁寧に頭を下げて動き出したから、俺たちを案内しているのは身分が高い人なんだろう。
上等なソファが、背の低い机を挟んで向かい合わせに並べられた部屋で、お座りください、と示された席に着いた。俺は、抱っこのまま移動して、緋色がそのままソファに腰を下ろしたから、緋色の膝の上だ。
いいのかな?
視線を合わせると、ちゅ、と頬に口付けされる。そのまま、軽く持ち上げて俺の向きを変えて、前向きに抱え直された。お腹に回った手は緩む気配がない。
ま、いいか。
常陸丸は、いつものように緋色の座るソファの後ろに立ち、じいやは出入りする扉の近くに立った。
担当の人は、失礼しますと姿勢を正し、包拳礼の形を取った。
「緋色殿下、ご挨拶が遅れて申し訳ございません。こちらの部屋を預かる八条薫と申します」
「急な訪問をしたのはこちらだ。気にせず、座ってくれ」
「は」
八条?
「宝と一緒」
「あ、はい。宝は甥です」
甥……。また後で調べよう。同じ名字は、家族だったよね。知ってる人の家族だと思うと、何だかほっとする。
部屋の扉がこんこんと叩かれて、立派な本のようなものを抱えた人が入ってきた。
「こちらが、緋色殿下の戸籍です」
開かれた用紙には、見事な縦書きの筆字で、漢字がたくさん並んでいる。上半分に居住地と、何年何月何日に結婚したという文章。下半分に赤石、雫石と名前が並ぶ。その横に長男、朱実、と書いてありここにはばつがして消してあって、その上の欄に、生まれた年月日の他に、何年何月何日に婚姻により籍を外れる、と書いてあった。その横の次男、赤虎にもばつがされて、上の欄には生まれた年月日、その横に何年何月何日に五条家の養子となるため籍を外れる、という文章。その横の三男、緋色にはばつが無くて、上の欄には生まれた年月日のみ。
「ばつしてない」
緋色だけ、ばつがないよ?
「見ろ、常陸丸」
緋色の声に、常陸丸が身を乗り出す。
「一条にすら、なってねえぞ?」
「いやあ、参りましたね。え?婚姻届出しましたよね、殿下?」
「出した」
八条薫と、戸籍を持ってきた人が、びくりと体を震わす。
「婚姻届を出されていらっしゃる?」
「ああ」
「様々な行き違いは、それが受理されていないことによるもの、ということですね……」
考えながら言った八条薫が、戸籍を持ってきた人にまた指示を出した。
「緋色殿下の婚姻届を受け取った者がいないか、確認してきてくれ」
「ああ。確かめたいことがあってな。この文書を見てくれ」
緋色が言うと、常陸丸が手に持っていた二つの書類を差し出す。
一枚は、手で書いた文字で名前が並んでいて、もう一枚は機械で打った文字で文章が書かれていた。俺には、ぱっと読み取ることはできない。よく見る前に、担当の者として側にいた人が持ち上げてしまった。城の入り口のとこでの話によれば、一枚はあの入り口から入れる人の名簿で、一枚は俺のことを緋色の愛し子と書いてある文書ってことなんだろう。
ふふん。愛し子って伴侶とおんなじ意味かな?緋色の大事な人ってこと?わざわざ紙で書いて皆にお知らせしてあるのかあ。嬉しいな。
はっ。じゃあ、緋色は俺の愛し子?
「しまりの無い顔をしてるな。何かおかしなこと考えてないか?」
「今日、機嫌良いなあ。いやまあ、成人は基本、機嫌良いけど、今日は更にご機嫌さんだな」
「そりゃ俺といるからだろ?」
「ああ、はいはい。にしても成人連れてると何かこう、いまいち気合いが削がれるんすよね。俺たち、何してるんでしたっけ?」
「確かに、訂正したらそれでいいような気がしてきたな」
じいやが、くくくっと笑うのが見えた。
ん?何?
「こちらへお越しください」
渡された書類をじっと読んでいた人が、大部屋の横の小さな部屋を示しながら先に立って歩き出す。
その間にも、人に声をかけて何か指示を出していた。声を掛けられた人が、丁寧に頭を下げて動き出したから、俺たちを案内しているのは身分が高い人なんだろう。
上等なソファが、背の低い机を挟んで向かい合わせに並べられた部屋で、お座りください、と示された席に着いた。俺は、抱っこのまま移動して、緋色がそのままソファに腰を下ろしたから、緋色の膝の上だ。
いいのかな?
視線を合わせると、ちゅ、と頬に口付けされる。そのまま、軽く持ち上げて俺の向きを変えて、前向きに抱え直された。お腹に回った手は緩む気配がない。
ま、いいか。
常陸丸は、いつものように緋色の座るソファの後ろに立ち、じいやは出入りする扉の近くに立った。
担当の人は、失礼しますと姿勢を正し、包拳礼の形を取った。
「緋色殿下、ご挨拶が遅れて申し訳ございません。こちらの部屋を預かる八条薫と申します」
「急な訪問をしたのはこちらだ。気にせず、座ってくれ」
「は」
八条?
「宝と一緒」
「あ、はい。宝は甥です」
甥……。また後で調べよう。同じ名字は、家族だったよね。知ってる人の家族だと思うと、何だかほっとする。
部屋の扉がこんこんと叩かれて、立派な本のようなものを抱えた人が入ってきた。
「こちらが、緋色殿下の戸籍です」
開かれた用紙には、見事な縦書きの筆字で、漢字がたくさん並んでいる。上半分に居住地と、何年何月何日に結婚したという文章。下半分に赤石、雫石と名前が並ぶ。その横に長男、朱実、と書いてありここにはばつがして消してあって、その上の欄に、生まれた年月日の他に、何年何月何日に婚姻により籍を外れる、と書いてあった。その横の次男、赤虎にもばつがされて、上の欄には生まれた年月日、その横に何年何月何日に五条家の養子となるため籍を外れる、という文章。その横の三男、緋色にはばつが無くて、上の欄には生まれた年月日のみ。
「ばつしてない」
緋色だけ、ばつがないよ?
「見ろ、常陸丸」
緋色の声に、常陸丸が身を乗り出す。
「一条にすら、なってねえぞ?」
「いやあ、参りましたね。え?婚姻届出しましたよね、殿下?」
「出した」
八条薫と、戸籍を持ってきた人が、びくりと体を震わす。
「婚姻届を出されていらっしゃる?」
「ああ」
「様々な行き違いは、それが受理されていないことによるもの、ということですね……」
考えながら言った八条薫が、戸籍を持ってきた人にまた指示を出した。
「緋色殿下の婚姻届を受け取った者がいないか、確認してきてくれ」
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