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第六章 家族と暮らす
140 知っていた、知らなかった 朱実
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私の知っている通りに、誕生日会は進んでいった。
誕生月の者を連れた成人が会場へ入場して、一人一人の名と年齢を紹介する。一人紹介する度に、おめでとうの声と拍手が溢れて、紹介された者は皆、素晴らしい笑顔で、ありがとうと答えていた。
利胤、壱臣、緋椀、一ノ瀬の者が二人。
私はこれを見るまで、一ノ瀬の一人一人に名があることを本当の意味では理解していなかったし、彼ら彼女らも一人の人間で、誕生日を祝われれば同じように喜ぶことを理解していなかったようだ。
影が、人の前に立って笑う。大きな声で、おめでとうと騒ぐ。そうして、他の人間と同じように生きているのだと、認識していなかった。
報告書では分からない様々な情報が、流れ込んでくる。
成人の拙い司会進行すら微笑ましいと、すべての人間が楽しそうに笑う空間。その空間から弾かれたような気がして、ふと護衛として連れてきた弥壌の方を向けば、微笑ましそうに成人を見ている。その顔は、視線を移して見た常陸丸、力丸の兄弟とよく似ていた。
プレゼントを渡す人々を見ながら、手ぶらで来てしまったなあ、と呟く様子は、すっかりこの場に溶け込んでいて、同じように溶け込めない自分を持て余す。プレゼントは、準備してあるというのに。
プレゼントを渡す人々の大騒ぎが一区切りする頃を見計らって、立ち上がる。主に、緋椀を祝いたい見可の騒ぎに人々が巻き込まれていた感じだが、それすらも微笑ましいと同じように笑いあっていた。
緋色も立ち上がっていたので、後ろから付いていくことにする。
「おめでとう。俺のは、いつもの物だから面白くもないが」
「殿下、いつもありがとうございます」
「おう」
いつも同じ、形に残らない物を渡すというのは、皇族なら当然のこと。そういうものだと思ってきた。だが、このように一つ一つの品に反応する人々を見ていれば、それぞれに合った品を選ぶという作業は楽しいのかもしれない、と思えてくる。これを毎月しているのなら、緋色はそのように思っているのではないだろうか。
緋色も、本当の意味ではこの場に溶け込めていないのかもしれない。そう思って、ふと嬉しくなってくる。やはり、緋色と分かりあえるのは……。
「このプレゼントは、緋色と一緒に考えて選んだんだよ」
成人が言った言葉に、先程浮かんだ考えが違うことを思い知らされる。利胤に渡している、酒を飲むための道具。成人一人で選べる物ではない。
成る程、そうか。
緋色は、自らの制約は破らずに、それでも楽しむ方法を知っている。そんな仲間を、自分で見つけた。
それが、私は羨ましかったのだ。
誕生月の者を連れた成人が会場へ入場して、一人一人の名と年齢を紹介する。一人紹介する度に、おめでとうの声と拍手が溢れて、紹介された者は皆、素晴らしい笑顔で、ありがとうと答えていた。
利胤、壱臣、緋椀、一ノ瀬の者が二人。
私はこれを見るまで、一ノ瀬の一人一人に名があることを本当の意味では理解していなかったし、彼ら彼女らも一人の人間で、誕生日を祝われれば同じように喜ぶことを理解していなかったようだ。
影が、人の前に立って笑う。大きな声で、おめでとうと騒ぐ。そうして、他の人間と同じように生きているのだと、認識していなかった。
報告書では分からない様々な情報が、流れ込んでくる。
成人の拙い司会進行すら微笑ましいと、すべての人間が楽しそうに笑う空間。その空間から弾かれたような気がして、ふと護衛として連れてきた弥壌の方を向けば、微笑ましそうに成人を見ている。その顔は、視線を移して見た常陸丸、力丸の兄弟とよく似ていた。
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プレゼントを渡す人々の大騒ぎが一区切りする頃を見計らって、立ち上がる。主に、緋椀を祝いたい見可の騒ぎに人々が巻き込まれていた感じだが、それすらも微笑ましいと同じように笑いあっていた。
緋色も立ち上がっていたので、後ろから付いていくことにする。
「おめでとう。俺のは、いつもの物だから面白くもないが」
「殿下、いつもありがとうございます」
「おう」
いつも同じ、形に残らない物を渡すというのは、皇族なら当然のこと。そういうものだと思ってきた。だが、このように一つ一つの品に反応する人々を見ていれば、それぞれに合った品を選ぶという作業は楽しいのかもしれない、と思えてくる。これを毎月しているのなら、緋色はそのように思っているのではないだろうか。
緋色も、本当の意味ではこの場に溶け込めていないのかもしれない。そう思って、ふと嬉しくなってくる。やはり、緋色と分かりあえるのは……。
「このプレゼントは、緋色と一緒に考えて選んだんだよ」
成人が言った言葉に、先程浮かんだ考えが違うことを思い知らされる。利胤に渡している、酒を飲むための道具。成人一人で選べる物ではない。
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それが、私は羨ましかったのだ。
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