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第六章 家族と暮らす
141 たくさんの喜びを 朱実
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「見て。半助の上手」
成人が、たこ焼きを三つ皿に乗せて緋色の膝へ戻ってきた。
当たり前のように。
当たり前、なのだ。先程、緋色から聞いた通りに。
「へえ。上手いもんだな。これは見可のか?」
「うん。見可も上手」
「意外だな」
くくっ、と緋色が楽しそうに笑う。
「私のだけ、不恰好ですね……」
灯可がしょげている。確かに、灯可の焼いたものは、形が悪かった。
「とても美味しく頂きましたぞ」
「旨かったぞ」
灯可の焼いた品を食べた利胤と緋色が、慰めの言葉を口にする。そのような見え透いた慰めなど、子どもの頃の私なら心の内では腹を立てていたことだろう。灯可は、どう反応するのか、と興味深く見ていると、そうですか、と素直な返事が聞こえた。
「美味しい!」
緋色の膝に座って、集めたたこ焼きを食べ始めた成人も、うんうんと頷いて言えば、
「それなら、良かったです」
と、笑顔まで見える。
「また練習してもいいか?」
と、両手でひょいひょいとたこ焼きを焼いている広末にお願いしている様子は、もう落ち込んではいないようだった。
「もちろんですよ」
広末は、どんなに素早く料理していても、笑顔で返事ができるようだ。本当に、緋色の元には、羨ましいほどに有能な人間が多い。
灯可は返事を聞くと、笑顔のまま鉄板の側から離れて、七条家の集まる席へ戻っていった。
「あ、皇太子殿下!」
成人に、急に呼び掛けられて身構える。
「なんだ?」
「皇太子殿下の分が、後からになってました。ごめんなさい」
「ああ」
ようやく思い出してくれたのかい?後回しにされたり、忘れられていたりというのは、初めての体験ばかりだったよ。
「広末の美味しいのがもうすぐできるから。弥壌もね」
「ありがとうございます。俺、手ぶらで来てしまったのが、申し訳なかったです」
「手ぶら?」
「プレゼントを持ってきていなくて」
「いいよー、そんなの」
え?
「プレゼントなんて、あげたい者がやってるだけだから、気にすんな」
成人の言葉に内心驚く私の耳に、緋色の言葉で説明がなされる。そうなのか。プレゼントのことも含めての誕生日会なのではなく?
「おめでとうって、皆で言えたらそれでいいから」
「ま、誕生日はそういうものですね」
弥壌が笑って頷く。
そういうもの。
祝ってくれる人がいて、言葉が交わされればそれで幸せ。
成人に、誕生日がどんなものか教えるために開催されたものだった誕生日会は、今ではたくさんの人間に喜びをもたらしている……。
成人が、たこ焼きを三つ皿に乗せて緋色の膝へ戻ってきた。
当たり前のように。
当たり前、なのだ。先程、緋色から聞いた通りに。
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「意外だな」
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「美味しい!」
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と、両手でひょいひょいとたこ焼きを焼いている広末にお願いしている様子は、もう落ち込んではいないようだった。
「もちろんですよ」
広末は、どんなに素早く料理していても、笑顔で返事ができるようだ。本当に、緋色の元には、羨ましいほどに有能な人間が多い。
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「あ、皇太子殿下!」
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「なんだ?」
「皇太子殿下の分が、後からになってました。ごめんなさい」
「ああ」
ようやく思い出してくれたのかい?後回しにされたり、忘れられていたりというのは、初めての体験ばかりだったよ。
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「ありがとうございます。俺、手ぶらで来てしまったのが、申し訳なかったです」
「手ぶら?」
「プレゼントを持ってきていなくて」
「いいよー、そんなの」
え?
「プレゼントなんて、あげたい者がやってるだけだから、気にすんな」
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「おめでとうって、皆で言えたらそれでいいから」
「ま、誕生日はそういうものですね」
弥壌が笑って頷く。
そういうもの。
祝ってくれる人がいて、言葉が交わされればそれで幸せ。
成人に、誕生日がどんなものか教えるために開催されたものだった誕生日会は、今ではたくさんの人間に喜びをもたらしている……。
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