【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第七章 冠婚葬祭

126 似た者夫夫?  成人

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「ふん。兄上の出不精が招いた喜劇じゃの」

 じいやの話を聞いた緋見呼ひみこさまが、お茶を一口飲んで言った。お話があんまり面白くなかったみたいで、途中からゼリーも食べていた。俺も、ゼリーを食べてる。冷たくてつるんとしてて美味しい。

「急な即位であった、戦争もあった。その上、義姉上あねうえがあれじゃ。何とでも理由はある。とはいえ、兄上は全く外に出なんだであろ」
「左様にございますね」
「じゃから、西国が荒れて、その上勘違いするようなやからが現れるのよ」

 んー。分からない。
 緋見呼ひみこさまの言葉はもともと難しいのに、今日のはもっと分からない。

「よい牽制になったのであれば、上々。緋色ひいろとなるの手柄としておけば良い」
「おばあさま」

 灯可とうかが口を挟んだ。ゼリー、全然食べてないね。美味しいよ?

「先程の件は、陛下の行幸が足りないために起こった出来事であったということでしょうか」
「そうじゃ。皇太子がしっかりと執務を担ってくれておるのじゃから、兄上が少々出かけてもよかったのじゃ。それを、ものぐさするものじゃから、頂点が何処にあるのかも分からぬ輩が現れる。その娘と侍女は、主家すら蔑ろにしておったと見える。それもな、兄上の前に順に立つ姿を見せておれば、序列がしかと分かったものを」
「…………」

 灯可とうかは、大きく頷いて何かを考えている。
 すごいな。分かるの?
 
「行幸啓でなくともよい。ほんの一日、お一人で滞在するだけでも、その地の領主のもてなしようで、誰よりも尊い者だと知れたろうに」
「皇太子殿下と妃殿下が、新婚旅行で各地を回られていらっしゃいましたが」
「ふむ。新婚旅行という名目上、どうしてもお披露目の意味が強かったのでな。跪かせるというより、手を振っての顔見せじゃから、効力は弱かったのであろう。それこそ、兄上の出不精で、その地の民らは皇族を目にするのが久方ぶりであったじゃろうからな」
「そうですか……。成人なるひとさま、大変でしたね」

 ん?俺?
 
「俺は、橙々だいだいが大丈夫ならそれでいいよ」
「仲が良いのか?」
「んーん。一回会っただけ。よく知らない」
「ほお?」

 緋見呼ひみこさまが、首を傾げた。灯可とうかも。よく似てるね、二人。おばあさまとも似るのか。家族って不思議だ。

緋色ひいろの友達の大事な人に何かあったら、緋色ひいろが友達と遊ぶ時間なくなっちゃうから、教えてあげた。守れないのに護衛って言うから変だし」

 椿つばきはあんなに弱いのに、何で護衛できると思ったのか、俺には今でも分からない。

「ほ、ほほ。緋色ひいろのためか」
「うん」
「ほほほほほ」

 緋見呼ひみこさまがとても楽しそうに笑って、灯可とうかがゼリーを食べ始めた。

「似た者夫夫じゃの」

 え?俺と緋色ひいろ?似てる?
 そうかなあ。

 
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