【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第七章 冠婚葬祭

125 おうちにいれば快適  成人

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「結婚式は、雨の季節が終わってからが良いの」
「うん」

 主役の一人、さいの体調が良い時がいいね。こんな風に動けなかったら、結婚式できないもの。俺も、皆の素敵な姿見たいから、出席したい。

「だが、暑くなると緋色ひいろの汗が滴るでな」
「うん」

 俺が笑ったら、緋見呼ひみこさまも笑った。
 緋色ひいろは暑いのが苦手。汗をいっぱいかく。流石、緋見呼ひみこさま。知ってるんだね。夏の式典の時とか、たくさんの人の前に出なくちゃいけない時の緋色ひいろは、顔はそんなに汗をかかずにきりっ、てしてるのに知ってるのすごい。
 何で顔は汗をかかないの?って聞いたら、気合いで止めるんだよ、気合いって言ってた。その代わり、服の下は大変なことになっているらしい。背中は、水浴びしたのかってくらい汗で濡れてるんだって。汗取りの布を当ててなければ、赤い軍服の色が変わってしまうくらい。だいたい軍服が暑いんだ。涼乃絵すずのえたちが、緋色ひいろのために頑張って夏用の薄い生地の式服を考えてくれているらしいんだけれど、それでも汗をかく。きっちり首元まで止めて、装飾を施さなければいけない長袖の式服はどうしても暑いんだよね。で、皆から見える顔だけは汗が落ちてこないようにと気合いを入れてるんだって。
 俺は、あんまり汗をかかないから分からないんだけど、汗って気合いでは止まらないんじゃないかなあ。
 皇国は、帝国よりずっと涼しいと俺は思うけど。どうなんだろう。そして冬が寒い。緋色ひいろが、廊下も全部、離宮りきゅう中が暖かくなるようにしてくれていなければ、俺は部屋からあんまり出られなかっただろうなあ。寒いとすぐ風邪をひくし。家を暖める道具があって良かった。
 お部屋を涼しくする機械もある。これは、廊下には無いんだけど。うちでは、いつも早くから動き出している。俺は、それに合わせて服をたくさん着ておく。それで、薄着の緋色ひいろと一緒に寝たらちょうどいいし、仕事の時や遊ぶ時の服も、あったかい下着にしてくれたり、服の裏についている布で、俺にちょうどいいようにしてくれているんだって。そうやって工夫してくれているから、暑がりと寒がりなのにお揃いの服が着られて嬉しい。涼乃絵すずのえ祈里いのりは凄い。今日は、差し入れを持っていけなかったなあ。

「衣装室には、手伝いが出ておるのであろ?」
「うん。坂寄さかきが残るって言ったから、涼乃絵すずのえが良かったって言ってた」
坂寄さかき?」
「うん。西の国の人。椿つばきの侍女だったけど、残るって。椿つばきは帰ったんだけど」
「ふむ……?事情を話せ。いや、やはりよい。なるは、ゼリーを食しておれ。灯可とうかもな。荘重むらしげ、説明せい」

 ええ、と?
 俺は、ゼリーを食べていればいいの?
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