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第九章 礼儀を知る人知らない人
17 足の痛みが引いたなら 成人
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「……」
生松は、目をぱちぱちさせた後でちょっと笑った。
「あー、その、源さん?成人は多分、源さんが名前だと思っているのではないかと」
「え……」
うんうん。さっきまでそう思ってた。
そうか、さん。年上の人とかに付ける敬称だ。さま、よりちょっと気軽なもの。俺は緋色の伴侶だから、基本的には付けなくていいって言われたやつ。付けたければ付ければいい、とも言われた。
ええっと。源之進が長いから、上だけ取って源さんなのか。そうか。そうだったのかあ。んん?あれ?じゃあ八百屋の清さんは?金物屋の源さんは?ん?源さん?
「源さん、おんなじ!」
「誰と?!」
てきぱきと点滴の準備をしながら栄が言った。
「金物屋の源さん」
「すみません。聞いても分かりませんでした」
「商店街の、金物屋の源さんだよ」
「なるほど、同じですね。きっとその源さんも、源の付く名前なのでしょう」
生松がベッドの脇に膝をついて、源さんの足をじっくりと見ながら言う。
「ほえー。そうかあ」
そうだったのかあ。清さんは清が上につく名前なのか。え?何て名前なんだろ。知りたい。久しぶりに商店街に行きたいな。
「源さん。今度一緒に商店街行こ」
「……何でそうなりましたか?」
源さんが生松の方を向いて聞いている。あ、今のは説明できる。俺やる。
「源さんって金物屋さんがいて、清さんって八百屋さんがいて、さんが名前じゃないかもしれないから、名前聞きたい。源さん、名前が一緒かも。もう一緒だけど、全部も一緒かな」
楽しみだなー。
「あー、えー、その、なるほど?名前を聞きに。そうですか……。ほいで、何で俺も、その、一緒に商店街に行くんですか」
「ん?どうせパンツ買うし」
「パンツ」
「うん。壱臣も半助も三郎も、西の人は皆、パンツが足りなくて水瀬に怒られるんだよ。源さんは怒られる前に買いに行こう」
そうだ。そうしよう。水瀬も怒りたくないだろうし。怒られるのが好きな人には会ったことがないし。俺も怒られるの嫌い。
「成人。源さんはきちんと招かれて来られたんだから、パンツは大丈夫だと思いますよ」
「そう?」
「臣のパンツ……。そういや、家にまだ……。あ、いや。臣は着のみ着のままやった言うことか」
「まあ、そうですね。壱臣さんは一時、商店街でお店を出していらしたようですから、商店街に行けばそういったお話もお聞きできるのではないですか」
「へええ。商店街に店を?あいつが?一人で?」
「ええ」
「へええ」
「足の痛みが引いたら、お散歩がてらお出かけしてきてください」
「ああ」
パンツ、買いに行こうね。
その時、部屋の外でばたばたと走る音がした。
栄が扉を開けると、受付の人が飛び込んできた。
「生松先生、訓練所から連絡です。訓練中に倒れたまま起き上がらない方がいるので、来てほしいと」
生松は、目をぱちぱちさせた後でちょっと笑った。
「あー、その、源さん?成人は多分、源さんが名前だと思っているのではないかと」
「え……」
うんうん。さっきまでそう思ってた。
そうか、さん。年上の人とかに付ける敬称だ。さま、よりちょっと気軽なもの。俺は緋色の伴侶だから、基本的には付けなくていいって言われたやつ。付けたければ付ければいい、とも言われた。
ええっと。源之進が長いから、上だけ取って源さんなのか。そうか。そうだったのかあ。んん?あれ?じゃあ八百屋の清さんは?金物屋の源さんは?ん?源さん?
「源さん、おんなじ!」
「誰と?!」
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「金物屋の源さん」
「すみません。聞いても分かりませんでした」
「商店街の、金物屋の源さんだよ」
「なるほど、同じですね。きっとその源さんも、源の付く名前なのでしょう」
生松がベッドの脇に膝をついて、源さんの足をじっくりと見ながら言う。
「ほえー。そうかあ」
そうだったのかあ。清さんは清が上につく名前なのか。え?何て名前なんだろ。知りたい。久しぶりに商店街に行きたいな。
「源さん。今度一緒に商店街行こ」
「……何でそうなりましたか?」
源さんが生松の方を向いて聞いている。あ、今のは説明できる。俺やる。
「源さんって金物屋さんがいて、清さんって八百屋さんがいて、さんが名前じゃないかもしれないから、名前聞きたい。源さん、名前が一緒かも。もう一緒だけど、全部も一緒かな」
楽しみだなー。
「あー、えー、その、なるほど?名前を聞きに。そうですか……。ほいで、何で俺も、その、一緒に商店街に行くんですか」
「ん?どうせパンツ買うし」
「パンツ」
「うん。壱臣も半助も三郎も、西の人は皆、パンツが足りなくて水瀬に怒られるんだよ。源さんは怒られる前に買いに行こう」
そうだ。そうしよう。水瀬も怒りたくないだろうし。怒られるのが好きな人には会ったことがないし。俺も怒られるの嫌い。
「成人。源さんはきちんと招かれて来られたんだから、パンツは大丈夫だと思いますよ」
「そう?」
「臣のパンツ……。そういや、家にまだ……。あ、いや。臣は着のみ着のままやった言うことか」
「まあ、そうですね。壱臣さんは一時、商店街でお店を出していらしたようですから、商店街に行けばそういったお話もお聞きできるのではないですか」
「へええ。商店街に店を?あいつが?一人で?」
「ええ」
「へええ」
「足の痛みが引いたら、お散歩がてらお出かけしてきてください」
「ああ」
パンツ、買いに行こうね。
その時、部屋の外でばたばたと走る音がした。
栄が扉を開けると、受付の人が飛び込んできた。
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