【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第九章 礼儀を知る人知らない人

77 ちゃんと報告してね  成人

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 鶴丸つるまる緋色ひいろが、鶴丸つるまる印の車に向かって歩き出した。蕪木かぶらぎたちはそのまんまだ。常陸丸ひたちまる緋色ひいろにくっついてその場から少し離れると、何人かが息を吐き出す気配がした。
 鶴丸つるまるの殺気に反応してたから、常陸丸ひたちまるから出た応戦の気配は鶴丸つるまるに向かってたんだけど、それでも怖かった? 鶴丸つるまるは、楽しそうだったけど。たくさんの応戦の気配に、楽しそうにしてた。

成人なるひと、行くぞ」

 うーん。

「髪の毛切らないの?」

 拘束もされてないのに動かない人たちは、結局何にも罰を受けてない。西の人たちは髪の毛を切るのが罰だから、とりあえず髪の毛を切っておく? どうせ伸びるけど、一応。

「切りません。このまま帰します」

 那月なつきが教えてくれた。

「そっか」

 俺は、まあ別にいいんだけど。
 髪の毛の話をしたら、また空気がぴりぴりとし始めた。髪の毛、大事なんだもんね。どうせまた伸びるけど。

「帰って、この人の上の人に、今日の顛末を報告してもらわないといけませんので」

 てんまつ? 今日あったこと、みたいな感じかな? ま、いっか。後で調べよう。

「髪の毛切ると報告できない?」
「国によっては、髪の毛が短いというだけで登城できません」
「ほえー」

 そりゃ大変だ。え? 歳をとると髪の毛が生えなくなる人とかいるけど、その人たち……。あ、そうか。だから、真中まなかは偽物の髪の毛をたくさん頭に付けてたのか。ほえー。そうかあ。

「たぶんこの方は、登城できるほどの身分の方やと思われます。果物を運ぶ商人が、常に護衛をつけて歩いとるなど聞いたこともないですからね。髪の毛を切ってしまえば、登城できなくなって報告が遅れます。また同じことが繰り返されるのも面倒です。緋色ひいろ殿下も若も、ついさっき興味失うてしもたみたいやし。ほな、次何か来たら相手するんは私やいうことになります。私かて、もう勘弁してほしいです。面倒で、片端から排除してまうかもしれません」

 そしたら、ずっと報告できなくてずっと来るかもね? それは面倒くさい。

「じゃあ、あの、帰ってちゃんと報告してね」

 息もあまりせずに俺たちの話を聞いていた蕪木かぶらぎたちに話しかけた。ちゃんと報告してね。ほんと、面倒くさいから。

成人なるひと!」
「はーい」

 緋色ひいろたちはもう、次の仕事を始めていた。木の玩具を鶴丸つるまるの車から下ろして台車に乗せている。常陸丸ひたちまるが。

「おっと。仕事、仕事」

 那月なつきが慌てて走っていった。

「じゃあね。もう来たら駄目だよ」

 蕪木かぶらぎと護衛が、こくこく、こくこくと頷く。
 あんだけ頷いてるんだから、もう大丈夫だ。
 俺と半助はんすけがそこを離れたらすぐに、蕪木かぶらぎたちの二台の車が出発した。すごい速さで走っていった。
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