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第九章 礼儀を知る人知らない人
127 大きなお肉もひと口で 成人
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「お肉、美味しい!」
しゃぶしゃぶして、ちょっとふーふーして白っぽい甘いたれにつけたら、お肉はすぐに食べられるくらいの温かさになっていた。薄くてやわらかくて、大きいままで口に入っちゃった。
「大きいのを食ったな、成人。熱くはなかったか?」
「ちょうどいい」
「それは何より」
じいじは、野菜を山盛り取って茶色いたれに付けて、ふーふーもせずにがぶりと食べた。熱くない? と思ったけど、美味しそうに食べている。じいじは、何をする時も試しに少しだけ、とかしないから、初めての食べ物も大きな口でパクリといっちゃうんだよね。
「こりゃ旨い」
それなら良かった。あ、俺もさっき、大きいお肉をぱくりといったんだったなあ。これ、すごいんだよ、このお肉。大きいけど口に入れたら食べられちゃうんだよ。
「じいじ。お肉。お肉、しゃぶしゃぶ」
「おお、するともするとも。む? 油断しておった。肉がもうない」
ああ。静かだと思ったら、緋色と常陸丸と力丸で一つの鍋に箸を伸ばして、黙ってもりもり食べていた。さっき、力丸が野菜をたくさん突っ込んだ鍋だ。俺とじいじが食べている鍋は、着物の人、店主が丁度よく入れていってくれた鍋。皆の大きい口で食べたら、すぐに無くなりそうな量しか入っていないから、山盛り入った鍋から食べてたのか。
三人も、一応しゃぶしゃぶしてる……? あ、お肉、鍋に放り込んである。三人とも、お肉を何枚も鍋にぽいぽいと入れて、中から取り出して食べ始めちゃってるんだ。だから、お肉があっという間に空っぽになったんだな。
「緋色、しゃぶしゃぶするんだよ」
「おう、成人。これは旨いな」
「うん、美味しい」
じゃなくて。
「しゃぶしゃぶするんだよ」
「したぞ」
「お肉は全部、しゃぶしゃぶするんだよ」
「……まあ、すぐに取り出したらそんなに変わらん」
「ええー?」
なんか、なんか、それじゃ、しゃぶしゃぶじゃないんじゃ……?
「成人。お前がしゃぶしゃぶしてるんだから、それはしゃぶしゃぶだろ?」
そう? そういうもの?
「お。このブリも、とんでもなく旨いぞ、成人」
お肉がなくなってたから、魚をしゃぶしゃぶして食べたじいじが言った。
「食べる」
急がないと、魚もなくなっちゃう。
「やや。これは少し遅うなりまして申し訳ございません」
「構わん。旨いな、店主」
「ありがたきお言葉。嬉しゅうございます」
一度席を外していた店主が、ご飯や野菜、肉の入った皿を持った従業員と部屋へ戻ってきた。緋色が旨いって言ったら、すごく喜んでいる。
「魚も美味しい!」
魚、しゃぶしゃぶしたら、刺身より食べやすい。美味しい! 俺、刺身を全部しゃぶしゃぶして食べたいかも。こんなにいい具合に食べやすくなるなんて、すごい!
「お口に合って、よろしゅうございました」
すごく合います。美味しいです。
あ、ご飯もきた。嬉しい。俺、後からご飯を出されると入るお腹が無くなってて食べられないから、先にきて嬉しい。
「熱くなかったか」
俺の甘いたれの中に、野菜をどっさり置いた緋色が聞いてきた。それさっき、じいじも聞いてたよ。緋色、聞いてなかったのか。きっと、真剣に食べてたんだな。
「うん。ちょっと置いてタレにつけたら、すぐ食べれた」
「そうか」
「はあ。この、火が通ってすぐの肉、旨すぎ」
届いた野菜をまた、どっさりと鍋に放り込んだ力丸が、やっと口を開いた。
「魚も。魚もすごくすごく美味しい」
「ほんとそれなー。殿下、これ、村次をすぐに呼んで来た方がいいっすよ」
賛成! おうちでも食べたい!
しゃぶしゃぶして、ちょっとふーふーして白っぽい甘いたれにつけたら、お肉はすぐに食べられるくらいの温かさになっていた。薄くてやわらかくて、大きいままで口に入っちゃった。
「大きいのを食ったな、成人。熱くはなかったか?」
「ちょうどいい」
「それは何より」
じいじは、野菜を山盛り取って茶色いたれに付けて、ふーふーもせずにがぶりと食べた。熱くない? と思ったけど、美味しそうに食べている。じいじは、何をする時も試しに少しだけ、とかしないから、初めての食べ物も大きな口でパクリといっちゃうんだよね。
「こりゃ旨い」
それなら良かった。あ、俺もさっき、大きいお肉をぱくりといったんだったなあ。これ、すごいんだよ、このお肉。大きいけど口に入れたら食べられちゃうんだよ。
「じいじ。お肉。お肉、しゃぶしゃぶ」
「おお、するともするとも。む? 油断しておった。肉がもうない」
ああ。静かだと思ったら、緋色と常陸丸と力丸で一つの鍋に箸を伸ばして、黙ってもりもり食べていた。さっき、力丸が野菜をたくさん突っ込んだ鍋だ。俺とじいじが食べている鍋は、着物の人、店主が丁度よく入れていってくれた鍋。皆の大きい口で食べたら、すぐに無くなりそうな量しか入っていないから、山盛り入った鍋から食べてたのか。
三人も、一応しゃぶしゃぶしてる……? あ、お肉、鍋に放り込んである。三人とも、お肉を何枚も鍋にぽいぽいと入れて、中から取り出して食べ始めちゃってるんだ。だから、お肉があっという間に空っぽになったんだな。
「緋色、しゃぶしゃぶするんだよ」
「おう、成人。これは旨いな」
「うん、美味しい」
じゃなくて。
「しゃぶしゃぶするんだよ」
「したぞ」
「お肉は全部、しゃぶしゃぶするんだよ」
「……まあ、すぐに取り出したらそんなに変わらん」
「ええー?」
なんか、なんか、それじゃ、しゃぶしゃぶじゃないんじゃ……?
「成人。お前がしゃぶしゃぶしてるんだから、それはしゃぶしゃぶだろ?」
そう? そういうもの?
「お。このブリも、とんでもなく旨いぞ、成人」
お肉がなくなってたから、魚をしゃぶしゃぶして食べたじいじが言った。
「食べる」
急がないと、魚もなくなっちゃう。
「やや。これは少し遅うなりまして申し訳ございません」
「構わん。旨いな、店主」
「ありがたきお言葉。嬉しゅうございます」
一度席を外していた店主が、ご飯や野菜、肉の入った皿を持った従業員と部屋へ戻ってきた。緋色が旨いって言ったら、すごく喜んでいる。
「魚も美味しい!」
魚、しゃぶしゃぶしたら、刺身より食べやすい。美味しい! 俺、刺身を全部しゃぶしゃぶして食べたいかも。こんなにいい具合に食べやすくなるなんて、すごい!
「お口に合って、よろしゅうございました」
すごく合います。美味しいです。
あ、ご飯もきた。嬉しい。俺、後からご飯を出されると入るお腹が無くなってて食べられないから、先にきて嬉しい。
「熱くなかったか」
俺の甘いたれの中に、野菜をどっさり置いた緋色が聞いてきた。それさっき、じいじも聞いてたよ。緋色、聞いてなかったのか。きっと、真剣に食べてたんだな。
「うん。ちょっと置いてタレにつけたら、すぐ食べれた」
「そうか」
「はあ。この、火が通ってすぐの肉、旨すぎ」
届いた野菜をまた、どっさりと鍋に放り込んだ力丸が、やっと口を開いた。
「魚も。魚もすごくすごく美味しい」
「ほんとそれなー。殿下、これ、村次をすぐに呼んで来た方がいいっすよ」
賛成! おうちでも食べたい!
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